バンドやろうぜ ⑤【黒い安息日の古い音源含む】
その頃、久しぶりに友人と会った
彼は高校の後輩でBくんにギターをレッスンしていた先生だ
ちなみにその友人の嫁は私の友達だ
私がいなかったら出会わなかったはずだから感謝しろ
「……Bくん、カワイイでしょ?」
彼は意地悪くニタリと笑う
ああ、そうだね
Bくんはカワイイさ
ぶ っ ○ し た く な る く ら い に な !
◇◇◇
今日もBくんの家でギターの録音だ
カルロスは母国に里帰り中
私は録音したばかりの音源を編集していた
Bくんはパソコンが全く使えないのだ
波形を見ながら作業する私の横でBくんが話しかける
「ぼくね、○○でバイトしてるじゃないですか」
「はいはい」
「そしたら、なんか知らんけど」
「はいはい」
「一番偉い人に呼ばれて」
「はいはい」
「頑張ってるなってぼくだけ特別に褒めるんすよ」
「はいはい」
「それからね、なんか知らんけど売り上げが上がって」
「はいはい」
「なんか知らんけど、ぼくだけ特別に時給上げるって言うんすよ」
Bくんの話は「なんか知らんけど」「ぼくだけ特別に」
が頻繁に含まれる
そして内容はしょーもない自慢話で
加えて他人をこき下ろす
とにかく人として浅ましい
だが、不思議なのは
この頃彼のギターの腕前が尋常ではないレベルに達していたことだ
それこそ「なんかしらんけど特別」だと思うのだが
どういうわけかギターに関しては謙虚だったりする
だが、それ以外は酷い
ライブ後やらなんやらでバンドメンバーや関係者らと
食事に行くと彼は必ず
「この店クソまずいですね」
とこき下ろし
続けて「ぼくだけ特別に」知っている店の自慢を始めるのだ
私の周囲の連中も、ウンザリしていた
関係者 (お客さん) から服のプレゼントを頂いた時も
本人を前にして
「この服クソださいですね」
とこき下ろし
なんかしらんけど、ぼくだけ特別にファッションセンスがあると語り出す
なお、最初私がBくんと知り合った頃
彼はチェックのシャツをインしていた
そこを指摘すると真っ赤な顔で
「いやわかってるんですけど、これぼくのこだわりなんで」
と早口でまくしたてた
たまに殺意が湧くこともあるが
基本「はいはい」で返事している
ていうかさ
Bくんくらい凄いギターが弾けるとさ
人格も向上し悟り開いたみたいになると思ってた
呆れるというより不思議
今もって不思議
……とかなんとか言っている間に曲が完成
この頃になると1週間に1曲のペースで新曲を作っていた
当然ボツになった曲も多く、ストックが膨大になっていた
https://drive.google.com/file/d/1uSFrMt-VewiWlJSiaoJfWs813zdX2ikw/view
なんかパッとしないんでボツになった曲
タイトルは「Over Q」
誰も、たぶんBくんすら完成版を聞いていないので
供養のつもりで投稿しておきます
Bくんのギターの腕が尋常じゃなく上がっている所が聞きどころ
ボーカルは執事の爺やが担当しましてよ、ホーホホホ!
作詞 :黒い安息日
作曲 :黒い安息日
ドラム :黒い安息日 (リズムマシーン)
ベース :黒い安息日
ボーカル:爺や (執事)
コーラス:爺や (執事)
ギター :Bくん
制作日時:200x年 (覚えてねーよ)
「Over Q」
歌詞
大飯食らいの居候
頭の上には毛が三本
身長111cm
失敗ばっかりしてるんだ
Maybe I am a cool.
(意訳:だけどカッコいいつもりです)
オーバキュー
オーバキュー
I don't like a Dog.
(意訳:ボクは犬には弱いです)
ハカセが作った大発明
ゴジラがいつもの大暴れ
キザ夫の嫌味も流される
正ちゃん自宅でヘッドバンキング、イェー!
オーバキュー
オーバキュー
バケラッタ
(オバケなんだ……オバケなんだ……)
大飯食らいの居候
頭の上には毛が三本
身長111cm
失敗ばっかりしてるんだ
Maybe I am a cool.
(意訳:だけどカッコいいつもりです)
注)20年以上前に素人が作ったものなのでご了承ください
著作権等は全て私個人にありJASRACも関係御座いません
◇◇◇
爺や曰く
デスボイスと歌詞が聞き取れる中間を目指したそうです
ボツになった理由はパッとしないというのもあるけど
それより元ネタが今の子にはわからんだろうと思ったからです
てかBくんもわかってなかったでしょう
さて、なぜドラムは打ち込みのままなのでしょうか
それはドラムの録音が大変だからです
コストと手間と時間が掛かる上
ドラマーに曲を覚えてもらう為に
打ち込みを作らないといけないからです
つまり本当にドラムを録音するためには
結局このクオリティのデモ音源が必要なのです
そして……最近は曲の難易度が上がってきて
そろそろTくんでは叩けなくなってきたのです
だが私はもっと速く激しい曲がやりたかった
そう考えていた時
全く予想だにしない方向から光が射した
同じ職場の同僚
「殺すぞ」
が口癖のSである
そして、とある大イベントが近づいていた……




