バンドやろうぜ ④
バンドがうまくいきはじめ
そろそろメンバーを固める必要が出てきた
私は気付いたのだ
楽器屋に貼られたメン募チラシは地雷が多いと
もちろんちゃんとしたバンドマンもたくさんいるが
人脈が出来始めていた私は人づてに探すことにした
ちなみにバンドマンはギタリストが多い
ベーシストは少ないが、楽器の構造上ギタリストはベースが弾ける
少ないのはドラマーだ
◇
なお、婚活目的の女性ならドラムがおススメ
人手が足りないのでめっちゃ声がかかる
しかも意外な事に女性ドラマーは多い
友達が欲しい男性や、健全にバンドしたいだけの人にも
ドラムはおススメしておく
自力じゃ無理、難しそうとお考えなら
スタジオやヤマハ音楽教室とかのレッスンに行けばいい
3ヶ月通えばぶっちゃけ後は自力で上手くなるし
音楽知識とかセンスとか最初は必要ないから
かなり脳筋楽器だけど、なんと筋力もそんなに必要ない
練習時間が腕前に比例する「趣味の王様」な楽器だと思う
ドラムセットが高い?
んなもん普通個人で買う人いません
1000円前後のスティックだけで十分です
◇
さて、余談が長くなったが
私は経験上ドラマーが少ないことを知っていたので
知人を鍛えドラマーにすることにした
これなら急に脱退したり連絡が取れず行方不明になることもない
♪~ (電話の音)
「もしもし、Tですけど」
「あらお久しぶりね、オーホホホホ!」
「どうしたんすか?」
「あなた、ロックとか聞くかしら?」
「オフスプリングとか好きっすね」
「オケ!ヤーヤーヤーヤーヤ!」
どらえもおおおおおおおおおおおおん!
というわけでTくんにドラムを仕込んだ
ゲーセン編でやらかしてくれた、あのTくんだ
この頃はお金に余裕が出来始めていたし
なんと無料で使えるスタジオのコネもあった
そして知人からギタリストの紹介
某音楽学校を卒業したばかりのAくん
地方から来て住み込みで学校に通っていたらしい
親が大金持ちなんだってさ
私はベースを弾けるが、弾きながら歌うのは好きじゃないので
ベースをBくんにやってもらうことにした
Vo 黒い安息日
Gt Aくん
Ba Bくん
Dr Tくん
おおお……
揃ってきたじゃないの!
私のモチベーションは上がっていた
◇◇◇
その頃からライブは経験と練習の為だと割り切るようになっていた
とはいえ義理で来てくれるお客さんというか知人も増え
たまに何人分か身に覚えのないチケットが
私名義でライブハウスから売れたりもした
おおお……
野生の客さんが……
自腹も切らずに済みそうだ!
うほ♡
(ライブ) やらないか
ところで私のライブ見て、どう思う?
「すごく……音が大きいです……」
Aくんはアンプを最大音量にするのがこだわりらしい
正直迷惑だ
音が大きいのは我慢できても
ものすごく耳障りな音なのだ
インギーやティモ・トルキの影響下にあるプレイだが
とにかく音とタイム感が酷い
そして音楽学校で学んだことなのか
何かようわからん理論
たしかマイナースケールに長3度加えるんだっけか?
狂った現代音楽みたいな旋律を頻繁に使っていた
まあ、バンドが継続出来るなら……
私は我慢した
ここまでは個性の範囲内だと
ここまでは
ドラムのTくんがバンドをやめたいと言ってきた
ベースのBくんも良い顔しない
Aくんとどうしても合わないらしい
私はなんとかなだめすかした
TくんBくんの気持ちもわかる
たしかにAくんは全く喋らないし
女装してライブするどころかホルモン注射して女性化しているし
(ていうか普段も女装しだした)
衣装代どころか化粧代も私に請求してくるし
(さすがに拒否した)
ブログでは饒舌で悪口書きまくるし
でも仲間じゃないか
個性じゃないか
広い心で……バンドやろうぜ!
……後日、彼のブログを見た
私の悪口満載なので気が重いのだが
バンドのサイトにリンクしてあるので、どうしても見てしまう
その日の更新は彼の女装披露
アップで写したスカートと太もも画像が投稿されており
「バンドメンバーがボクの足を盗撮しようとするんですよ (笑)」
とコメントしていた
私はその場でAくんに電話した
「おまえ、クビな」
(実話です)
◇◇◇
ギタリスト不在の黒い安息日バンド……じゃないんだよな
そもそもBくんはギタリストなんですよ
そして私はベーシストでもあるので
ライブは中断、曲を作り録音することに専念した
うれしいことにBくんの腕がめきめきと上がりだし
そろそろライブを……と考えていた頃
ベーシストの紹介を受けた
なんと外人さん、とあるサッカー王国からお越しのカルロスだ
「オウ、私メタル大好キデース!」
めっちゃ長身
めっちゃイケメンっていうかギリシャ彫刻?
お父さんはサッカー関係者で日本代表の……
いや、サッカー詳しくないから私はわからん
お母さんはイタリア出身
某チームと契約し家族で日本に来ているそうな
注釈)名前は変えてますし、一部ボカシています
カルロスは私の音源を聞いて
めちゃくちゃに褒めてくれた
「オウ、スゴイ最高デス、ワールドツアー出来マス、はいれべるデス」
外人さんの知り合いは生まれて初めてだった
ここではこんな書き方だが
実際はお互い片言の日本語と英語で会話した
ていうかさ
外人さんって、褒めるときは盛大に褒めてくれるんだな
大げさといえばそうなんだけど
やっぱ嬉しいよ
震えたよ
泣きそうだよ
そしてモチベーションが爆発したよ
人生で大きな学びがあった瞬間だったよ
────人は褒められると、伸びる
これが私の人生訓になった
今も変わらない
安いエピソードだと思うじゃん?
でもガッチガチの実話だから
嬉しかった
幸せだった
そして外人がなぜモテるのか分かった気がした
こんな奴、嫌いになれるわけないじゃん
というわけで新メンバーが加わった
黒い安息日のバンドが黄金期を迎える直前の話である
Vo 黒い安息日
Gt Bくん
Ba カルロス
Dr Tくん
◇◇◇
出来過ぎた話だとは自分でも思いますが
実話です
Aくんの話もガチで実話です




