60 新たな動き
真っ暗な空の中、ただ独りぼっちで輝く惑星があった。
惑星、というより、衛星と言った方が正しいか。
その惑星は独りぼっちに輝いているのではなく──ある相棒の光によって輝いている。自分一人だけで輝いているものではない。
そう、私もそうだ。
その衛星のように、私も自分一人で輝いているのではない。
誰かによって、輝いている。
その誰かが……私の相棒が……私の……
左腕が、潰えた。
あの探偵によって。
警察によって。
あの探偵の相棒によって。
許せない。
なぜ、なんの。
恨みがあってそこまでするのか。
許せない。
赦せない。
絶対、ユルセナイ。
ユルセナイから、殺してやる──。
殺して、殺して、あの左腕の存在を、
生き返らせてやる。
その為に、今日は私の右腕が来ている。
彼は「何でしょう」と私の前で言った。
「頼み事がある」
私は言った。彼はきょとんとした目つきで、ジッと私の命令を待っている。
「あの探偵を、捜し出して欲しい」
彼は「捜し出す……その後は」と言った。
「捜し出した後は私の元に連れてきて欲しい」
そう言うと、彼は「承知致しました」と頭を下げた。
そして、その後──
「ムンク様」
とだけ言って、私から姿を消した。
羽賀野なつ。
この名前だけは一生忘れることはないだろう。
なぜなら──貴女は。
──私の眷属だからだ。




