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45 探偵が刑事に依頼したものとは

 波岩の運転する車で移動すること、三〇分。都内の道路をトヨタ製のヤリスがエンジン音を響かせながら走り、千代田区内にある警視庁の駐車場に入っていく。駐車場の空いているスペースに波岩がヤリスを止め、なつと共に降りると、待ち構えて居たかのように知り合いの女性刑事が二人の目の前に現れた。


 「お待ちしておりました」と夕海。少し寝不足なのか、目の下に薄らとクマができており、アイラインを引いているような感じがした。


 「依頼した事件のこと、調べたのか?」

 となつ。目の前の女性は自信満々に親指を真上に立てた。


 「無論しっかりと調べておきました。なつさんに調べてくれ、と言われたらみっちりと調べるしかありませんもん」


 なぜか誇らしげに語る夕海を一瞥しながら、なつは「まあここで話すのも何だし、天下の警視庁の中に入らせてくれないか?」と夕海に話す。が、少しキョロキョロとした後、なつにヒソヒソ話をするかのように夕海が近づいてきた。


 「このことはなつさんに独自に言われて、それで私個人が調べたものなんです。だから、無論上司にも話してないし、ペアを組んでいる美桜さんにも伝えていないんです」


 「なるほど」

 と相槌を打つなつ。その隣で聴く耳を立てていた波岩は何となく首を傾げていたものの、特に考えることもないだろう、そう思って考えるのを止めた。


 「んじゃ、こっそりと話が出来る場所はないか?」

 と言うと、夕海が少し考えた後に、


 「エントランス……ぐらいかな」


 と言った。少し前のめりな口調でなつが「よし、じゃあそこで座って話をしよう」と言い、夕海と並んで歩いて行く。その後ろを波岩は追っていく。

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