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35 吸血者探偵、臨場。

 事務所から離れ、車で移動すること二十分。周辺を国道に囲まれており、商業施設が並んでいる中、現場となった公園は賑やかな雰囲気とは異なり、穏やかな雰囲気だった。規制線が未だ貼られているためか、訪れている人はいなく、公園の目の前に立っていた警察官が二人居るぐらいだった。


 美桜と夕海を先頭にして、なつと波岩は公園の中に入っていく。広々とした芝生が広がっている中、広場に沢山並べられているベンチのうち、一つだけ背もたれがないものだった。そこには血の跡がくすんではいるが、残っていた。


 「ここで被害者が息絶えて亡くなっていました」


 と言ったのは夕海だった。そんな彼女を見向きもせず、なつは被害者が倒れていたというベンチに近づいて観察をし始めた。似たような動作を波岩も同じように行うと、なつが「他に被害者の物で何か落ちていなかったのか?」と話す。その彼女の質問に応じるよう、夕海は手帳をペラペラと捲りながら話した。


 「いえ特には。被害者のすぐ近くに黒色で大きめのリュックサックが置いてあり、その中には教科書や専門書、貴重品などが入っていました。財布の中身には高額な金銭が入っていたものの、それを盗み取った痕跡がなかったそうです」


 「そうか」なつが立ち上がり、ベンチに座った。その様子に美桜は思わず顔をしかめたものの、気にせず夕海の話に耳を傾けた。


 「それじゃ、ここはもう見終わったしあそこへ行くとするか」

 「あそこ? もう行くんです?」


 と波岩が立ち上がりながら話すと、なつが「ああ」とスタスタと歩いて行く。その背中を見つつ、波岩と刑事二人も追っていく。


 「どこに行くんですか」と波岩。暫く黙った後、

 「……いけ好かない奴のもとだ」


 となつが低い声を出しながら話す。その反応に波岩はハテナマークが思い浮かんだ。

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