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猫舌ということ。  作者: 結愛
出会い
9/60

第9話

なぜか手が油っこいため食器用洗剤に並んで置いてあるハンドソープで手を洗う。

泡を洗い流し、手から滴る水を

手のひらを合わせ指先を天井からシンクのほうに勢い良く振り吹き飛ばす。

ある程度の水は吹き飛んだがまだ普通に濡れているため

キッチンの流しの下の棚の側面にタオルをかけるところがあり

そこに掛かっているタオルで手を拭く。


昼ご飯を食べ、少し眠気が出てきた。あくびをしながらソファーに帰る。

ソファーに勢い良く腰を下ろす。

ふと左を見ると母が洗濯物の入った籠から洗濯物を取るところだった。


「手伝おうか?」

「え?あ、いいいい!大丈夫だから寛いどいて」

「あ、そ?りょーかーい」


そんなやり取りになるんだろうなぁ〜。と想像しつつサティスフィーを手に取りソファーに寝転がる。

少し左に体を捩ってテレビも見れる体勢になる。サティスフィーの電源を入れる。

「Aボタンを押してください」の画面で時刻を見る。1時30分。頭の中で逆算する。

講義が午後4時20分からだから午後3時20分に家出ればいいか。

ちょっと寝たいな。でも寝た場合起きれるかな。

お酒のアテになる話。なんの話で盛り上がってるのかな。めちゃくちゃ盛り上がってるな。


…。


ボヤーっとする。頭の中はもちろん、視界も体もボヤーっとする感覚がある。

どうやらいつの間にか寝ていたらしい。ほんの数秒ボーっとする。その次の瞬間瞬時に体を返し

手を伸ばしバッグに入れてあるスマホ取り出し電源を入れる。

ボヤーっとしていた頭の中、視界や体が瞬時に覚醒する。ロック画面に表示されるのは15時7分の文字。

少しホッっとしもう1回仰向けになる。ほんの一瞬ホッっとし目を瞑る。

しかしすぐに目を開き、体を起こしソファーに座る。 


よしっ!


と声には出さず、心の中で自分に気合いを入れ立ち上がる。

周囲を見渡すと母は先程昼ご飯を食べていた

ダイニングテーブルのイスに座りながらテレビを見ていた。

もちろん再生していたお酒のアテになる話はとっくに終わっていて 

母の手にはリモコンが握られていた。

「もぞもぞしてると思ったら急に起き上がって、立ち上がってどうしたの?」

今日の夜どんなテレビ番組がやるのか番組表を確認しながら母が言う。

「いやあと1時間後に講義なのよ」

「あら、まだこれから授業あるの?間に合うの?まだ出なくていいの?」

「全然間に合うよ。あと10分くらいはのんびりできるんだけどもう出るわ」

僕はそう言うとソファーに置いたサティスフィーとバッグを手に取り

バッグにサティスフィーとスマホを入れ、肩に掛ける。

玄関へ向かうと母も見送りのため後ろをついてくる。

「お皿洗いしてくれたんだね?「ありがと」ね?」


良かった。「ありがとう」だった。


心の中でそう思い心の中で少し微笑む。

「ん」

声のような鼻を鳴らしたような声のような音ようなもので返事をする。

玄関で母に背を向けながら靴を履くためしゃがみ込む。


そういえば母さんに伝えとかないと。


顔を一瞬上げ、そう思う。

「あ、そうだ。今日大学のあと飲みだから夜ご飯は3人で食べて」

母に背を向けたまましゃがみ、靴を履きながらそう言う。

「あら、そうなの?それは寂しいわね」

顔を見なくてもわかるほど冗談めかした口調で母が言う。

「あ、帰りは?何時ころ?」


そう言われてみれば何時に終わるんだろう。


少し考えるように左上を見る。


そもそもに終わるのかな?


もはやサークルの新入生歓迎飲み会は永遠に続くイメージがあった。

結局僕の頭の中では結論が出ず

「わからんわ」

と返事をした

「じゃあ鍵持ってって?心配だからあんまり遅くならないでほしいけど

もし夜遅く帰ってくるようならチェーン以外の鍵は掛けちゃうから」

「もうバッグに入ってるよ。まぁたぶん遅くなるとは思う。んじゃ、行ってくる」

「くれぐれも気をつけてねぇ〜いってらっしゃーい」

そんな会話を交わし僕は家を出た。

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