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猫舌ということ。  作者: 結愛
出会い
3/60

第3話

「んじゃ、オレもそろそろ出るわ」

「はーい、あ、念のため鍵持ってってね?」

「はいよ、んじゃ行ってきます」

「はーい、行ってらっしゃい」

そんなやり取りをし僕は家を出た。


家を出て端に寄ってイヤホンをつけスマホの音楽アプリで

音楽を再生し音楽を聴きながら駅までの道を歩く。

最寄り駅から電車に乗る。僕の通う大学はこの駅から終点まで行き

終点で電車を乗り換えそこからさらに2駅行ったところにある。

家から大学までは小1時間掛かる。そう。皆さんの考えてる通り。遅刻です。

8時ちょっと過ぎに出て大学まで小1時間掛かり講義が9時に始まる。


大学2年の夏休み明けくらいから大学の講義によく遅刻して行くようになった。

今年の大学の春休みも自主的に少し延長した。

そして今日これから出る講義も2年生のときの必修科目だ。

そう、僕は真面目な生徒とは言えない。


大学の最寄り駅につき改札から外に出る。大学までの道を歩き始める。

おそらく同じ大学の生徒であろう人たちが僕と同じで1時限目に講義があるのだろうか?

僕と同じ方面に走っている人もいればのんびりと歩いている人もいる。

僕は遅刻とわかっていても走ることはせずのんびりと大学まで歩く。校内に入る。

広い校内でこれから受ける講義がある教室を目指す。

そして教師が講義を始めるか始めないか、そのくらいのときに教室に入った。

講義を受けるであろう数十人のうち数人の視線が飛んでくる。

時間的には講義が始まって数分したときに扉が開けば

なんだろう?そんな思いで扉のほうを見るのは

ごく自然なことだ。その視線を一通り見た。

すると僕から見て1番奥の列に見知った顔があり、その席に足を運ぶ。

「また社長出勤ですか!」

大学の教室と言われて一般的にイメージされる横長のプラスチックの白いテーブルに

突っ伏した顔を少し上げそう言ってきた。

そいつは大学で出来た親友と言えるだけの仲のやつだ。

「鹿島は早いんだな」

そういうと鹿島は苦笑いを浮かべ

「朝までゲームしててさ、そのまま寝ずにここっス」

そう言い目を細める。

「珍しく真面目やわ~と思ったら理由が全然真面目じゃねぇ」

そういうと

「はい、先生~遅刻した不良に言われたくありませ~ん」

そう突っ伏したままおちゃらけた口調で言ってきた。

「いやいや確かに遅刻はしてないけどこの講義寝るやん」

「いや!寝ようとはしてない!寝てしまうことはあるかもしれないけど!」

そんな馬鹿なやり取りを交わしていると本格的に講義が始まった。

すると早々に鹿島が寝る体勢に入る。

「なにが寝るつもりはないだよ、寝ますの基本姿勢だろ」

本格的に講義が始まったため小声で話す。

「なんだよ基本姿勢って。ゲームかよ」

「別にダンスとかスポーツでもあるだろ。さすがはゲーム脳だな」

「まぁな、オレからゲーム取ったらマジでなんも残らんからな」

そう鹿島が笑う。

「自分で悲しいこと言うなよぉ~安心せぇ、顔もスタイルも良かですよ?」

そう。鹿島はカッコいい。少なくとも僕よりは。

「ほんまですかぁ~?」

そんな友人とでなければ不毛としか言い様のない会話をしていた。

「そーいや寝ようとしてるけどもさ。鹿島、今年もこれ落としたらヤバいだろ」

まるで自分に言っているかのようだな。そう思いながらそう投げかけた。

「どうせ怜ちゃんもまともに講義聞かないくせに」

薄めを開けながらニマニマしながら言ってきた。

「ま、来年もあるしな」

「そうそう。はぁ~あ。もう無理。行くぜ、レッツゴードリームワールド」

最低も最低限のマナーだろうか?

大きな口を開けてあくびをすることなくあくびを押し殺し

あまりにも馬鹿な英文を最後に鹿島は眠りについた。


教室では友達同士で話したり1人で黙々と講義を聞いていたり様々な授業風景である。

鹿島はまだ寝ていないだろうが完全に寝る姿勢に入ったため、話し相手を失った僕は実質1人だ。

そんな僕はまぁまともに講義を聞く気もないためスマホに相手して貰おうと思った。

講師からは机で死角になる自分の太ももの上にスマホを出し

ポツッターやニャンスタグラムを特に興味があるわけでもないがなんともなしに眺める。

一通りみたかと思い、スマホ画面の上のほうの時刻を見る。

9時31分。鹿島が寝てスマホをいじり始め、まだ15分程度しか経っていなかった。

やはりさほど興味がないものを眺めてもたったの15分しか時間は経過していなかった。

体感で言ったらその倍。30分は経っている。そんな風に思っていたのに。あと59分。約1時間。

鞄からニャンテンドウから出ている携帯用ゲーム機サティスフィーを取り出し

今年3が発売されるスプラタウン2をプレイする。

スプラタウン2を起動させたまま電源を落としていたため電源を入れ、Aボタンを押した後

同じボタンを3回押せばそのままスプラタウン2の世界へ入ることができる。

さすがに講義中のため音は0にして

先程スマホをいじっていたポジションでスプラタウン2をプレイした。


スプラタウンは3人称視点いわゆるTPSゲームであり

主に4対4でフィールドを各チームに割り振れた色で塗ってゆき

最終的にどちらの色で塗られたエリアが広いかを競うゲームである。

もちろん塗ってるときに敵がいてそっち側塗りたいなぁ~というときは

敵を倒すことも可能なゲームだ。

1マッチ3分であり通勤通学などの隙間時間にサクッっとできるゲームで

キャラクターも可愛く大人気のゲームである。


あ、別に案件とかではない。それに一般人の僕に案件など来るはずもない。


そんなスプラタウン2を講義中にプレイし1マッチ3分というのも忘れ

何マッチしたかも忘れ、さて次の試合だと一度装備などの変更画面に行き

そのあとマッチメイキングの待ち時間にふと教室にある時計に目をやった。

10時22分。もう8分もすれば講義が終わる。もうそんな時間になっていた。

気づけばスプラタウンの試合を10マッチ以上も行っていた。

やはり興味のないものと違い面白いもの、自分の興味のあるものと関わっていると

時間はすぐに過ぎる。もう8分。あと1マッチしてボーっとしてよう。そう思い

この講義中では最後の試合を行った。


スプラタウンの勝敗画面には画面の両サイド旗を持った猫が1匹ずついる。

その猫たちの左側の猫が倒れ右側の猫が2本の脚で立ち旗を振っている。

そして画面下にはバーがある。そのバーも真ん中より左に寄っている。

…負けた。なんとも後味の悪い幕引きとなった。

内心ではもう1マッチして勝って終わりたい。そう思っていたが

キリが無くなりそうな気もしたので潔く負けを受け入れサティスフィーの電源を落とした。

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