1話『寝る前の考え事』
俺の名はライサント・ペトラロック
貴族のお坊ちゃんをしている。
好きな食べ物はサンドイッチ、趣味は読書だ。
...サンドイッチが好きだなんて子供っぽいかと思うが、まぁ仕方がないだろう?好きなもんは好きだ。毎日食べ続けても飽きない自信は...ないが、1週間に1回は食べたくなる。
1度、料理人に、ディナーはサンドイッチを出してくれと頼んだことがあるのだが、断られた。貴族にふさわしくないとのこと。めんどうくさい。せめてもの軽食にどうかと言われたので、それで妥協している。
少なくともライサント家は、庶民からの成り上がりちっぽけ貴族なので、ザ・貴族!みたいな料理は口に合わない。だから、正直貴族になって一番困ったのが、ふるまいに気を使わないといけない、という点だ。
貴族に見合った食事や、服を着なくちゃいけない。貴族になって楽ばかりじゃない。
っと、話が長くなってしまった。
ライサント家の事情は今は置いておこう。
それでは本題に入る!
俺には信じがたい秘密がある。
なんと...
俺には前世の記憶があるのだ!!
...本当だぞ?俺は虚言癖ではない。
たしか...日本という国だった気がする。
そこで前世の俺が生まれ育った。
日本で大まかにどのように育ったのかや、常識などはよく覚えている。
だが、一部の記憶がすっぽり抜け落ちているのだ。どのようにして死んだのかや、人間関係などの、個人情報が全く思い出せない。
まぁ、思い出せないということは、そんなに重要なことではない。
前世の俺の口癖を借りるとこういうことだ。
だから、あまり深くは思い出さないようにしている。
というか、別に前世の記憶なんてどうでもいい。だって俺は今を生きているんだから。
あ、そうだ。俺がサンドイッチが好きなのは、前世の影響なんだよね。
9歳頃に前世の記憶が急に入り込んできて、それでサンドイッチの存在を知ったんだ。
前世の料理とこの世界での料理は、似てるようで似てない。だけど、サンドイッチは前世の形と全く一緒だったんだ。
運命だと思ってサンドイッチを食べてみると、あら不思議、滅茶苦茶おいしいんだよね。
特に、レタスとベーコンとトマトと卵がサンドされているものが好きだ。
最近はフルーツが挟まれているものもあるんだってね?また今度食べに行ってみよう。
んっふふ、そんなこと考えてるとお腹が空いてきちゃうね。別のことを考えよう。
んーと、じゃあライサント家が貴族になった理由でも話すか!
そうだな...簡単に言うと、それは俺が優秀だから?
おっと、今の発言は自意識過剰だと罵られそうだ。だが、本当のこと。
産まれた時から謎にチート急の魔術を扱えるんだ。そして、少しばかり賢い。
唯一の欠点は、不器用なとこだろうか?
まぁそれで、国の偉いさんを助けたんだよ。
魔物に襲われていたようだからね。
俺ってば優男だなぁ、わざわざ助けてあげるだなんて!ハハハハハ!!
...いや、ごめんごめん、ウソダヨ?
ふぅ、チートって言うと、俺はゲームで言う、バグみたいな存在なんだろうね。
だって、前世の記憶を持っていて、チート急の魔術を使えるんだもん!
...それだけじゃない。重い話はしたくなかったんだけど、この話もするとしよう。
そうだな、俺の中の別の人格...負の感情だけを持ち合わせた人格、みたいなナニカが、心の中に入り込んできて、お前は死なないといけない存在だ、生きていてはいけない、とたまに語りかけてくるんだ。
俺が生きているだけで悪いみたいじゃあないか。そんなところもバグと似てるね。
この現象が自分がバグみたいだと思わされる1番の理由だよ。
その正体不明のナニカに襲われた時、俺は強制的に死にたくなる。辛く、苦しくなるんだ。
一度、自殺未遂もした。
この世界の医療技術は魔術のおかげで、異様に高く、一命を取り留めたのだがな。
俺が物凄く幸せだと感じた時、ナニカはやってくる。
俺は気にしないようにいつもいつも元気に振る舞っているのだが、その心の中は、俺がたくさん幸せを感じた時、またナニカがやってきてしまう、という恐怖がある。
...これ以上はやめよう。
話を悪い方向に広げすぎたな。
明日はお父様に大事な話があると言われているんだ。早く寝よう。
それじゃあおやすみ。
今日も話を聞いてくれてありがとう。
〈ライサント・ペトラロックは、寝る前に、誰かに話を聞かせるように考える癖があった。〉
文章を書くのが下手ですみません。
許してください。