#85「シトラスカリバーッ!!!」
赤岩神社跡地——。
イチゴミントに追い詰められたイヌガミカン。
その窮地を救ったのは彼女の父スダチであった。助けに来た彼はある物をミカンに渡した。
布に包まれた物・・・それは一本の剣だった。
全長は1メールほどのロングソード。柄は金で装飾されているが、よく使い込まれているようで細かな傷がいっぱい入っていた。グリップを巻いている滑り止めは浮いて剝がれかかっている。
「ノーラの、・・・君の母さんの剣だ!」
「お母さんの!?」
布を全て取っ払い、受け取った剣を見つめるミカン。しかし、手は震えていた。
「これで・・・ぐらたんを斬れって言うの? もうこれ以上、友達を傷つけたくはないよ・・・」
そうは言っても、スダチの拘束を解いたミントがミカンに襲いかかって来る。
咄嗟にミカンは白熱する刃を剣で受け止めた。鎌の刃が鞘に食い込むが中身の刀身がしっかりミカンを守ってくれた。
「素晴らしい! 親からのプレゼントですね。それでしっかり戦って下さい!!」
押し返された後、ミントは鎌を振り回して何度も斬撃をミントに浴びせる。
鞘に納めたままの剣で攻撃を受け続け、ミカンは葛藤する。
その様子を見て、スダチたちは木の側で心配そうな顔で見つめる。
「カオリちゃん・・・」
ルビィーに乗っ取られてても尚、主であるぐらたんのことを気遣っている。ウンギャン自身もどうしようもなく見ている事しか出来ず、涙がこみあげてきた。
スダチも視線を落とし、戦っているミカンに言う。
「・・・。確かに。間違っている。剣は人を傷つける凶器だ。僕も剣を振る覚悟なんてある訳が無いし、言える立場じゃない・・・。君にそれを押し付けてしまう情けない最低な親だ。でもね、それは身を守るために託したんだ。再会出来た娘を死なせたくない! これ以上家族を失いたくないッ ・・・だから、カオリ」
震える手を握りしめて、涙を流しながらスダチはミカンに訴えた。
「負けないでっ!!!」
戦いに躊躇するミカンに想いが届いたのか、彼女は遂に鞘に手をかけた。
しかし、ミントはそれを待っていたかのように大鎌を剣に引っ掛けて、ミカンから剣を弾き飛ばした。
「あっ!」
「クククッ! 今です!! 今の貴方の魂に輝きが見えました! 待っていましたよ」
剣はクルクル回りながら中を舞う。
気を取り戻しかけたミカンの顔が凍りついた。
「そして、そのまま絶望して逝ってくださーーーいッ!!」
無防備になったミカンに、白く輝く三日月の刃が振り下ろされる。
その刹那、この場にいる全員が凍りついたように固まり、沈黙が続いた。
鎌は振り下ろされ、地面に突き刺さった。
それまでの間に、ミカンは真っ二つになっていたはずだ。
・・・はずだった。
身構えていたミカンは目を開けた。大鎌の一閃は右に逸れて足元に突き刺さっていた。
「は、外した!?」
攻撃が外れた事に理解出来ず、ミカンは腰の力が抜けるようにストンっと尻餅をついた。
そしてミントの様子を窺うのだった。
ミント自身も、驚いた顔で振り下ろした鎌に注目していた。
「おっと、私としたことが。クククッ、2度目はありませんよ・・・」
鎌を引き抜き、再び振り下ろしたが・・・
今度は反対側の地面を突き刺しただけだった。
「はっ?」
ミントから笑顔が消えて、鎌を引き抜いた後1歩、2歩後ずさった。
得体の知れない恐怖がミント、否、ルビィーの心の奥底で疼き出す。
彼女は息が切れたように、呼吸が乱れ出した。構えていた鎌も重いのか、だらんとぶら下げている。
様子を見ていたミカンは何かを確信したようで、速やかに母の剣へ飛びついて手にすると前転をして、膝立ちをした状態で剣を構える。右手でグリップをしっかり握り、左手で鞘を掴む。正に抜刀する姿勢だ。
泣き崩れた顔は嘘だったように、今は真剣な眼差しでミント、否、ルビィーを見据える。
「ははっ、諦めずにぐらたんはずっと戦っていたんだね」
そして微笑みを見せた。
「ば、馬鹿な・・・! あり得ません!! 彼女の魂は・・・、精神は我々が完全に掌握しているのです。この身体は完全に私の物なんですよ?」
それに対してミントは動揺して答えた。
「我々は何百、いや数千もの魂を喰らってきた。1000対1です。たかが小娘1匹の魂だけで我々に抗う事は不可能・・・うっ」
ミントは左手で頭を抱える。原因不明の眩暈が襲い、視界がグルグルしてきた。同時に何者かの視線を多数感じた。
ミカンの言う通り、ぐらたんが抵抗しているのだろうか? しかし、複数だ。彼女1人ではない。数は数千億、いやそれ以上で数え切れるほどではない。
発狂しそうなほど圧倒的な物量でルビィーの精神に過重が加わる。そこに彼女の気は感じない。彼女の魂はずっとルビィー達の中である。
何者でもない、無機質で感情もない得体の知れない何かがルビィー達の精神を縛り上げるのだ。
彼女の自我が壊れそうな勢いだった。
「あ、・・・あ、私は、ルビィー・ホーン。私はルビィー・ホーン」
ぐらたんは信じていたんだ。私を・・・。
私は馬鹿だった。みんなと一緒に戦ってきたはずなのに、1人で戦っていた。肝心なことに、私はみんなをちゃんと信じていなかったんだ。
ミカンはゆっくりと立ち上がり、
「ぐらたん・・・。私は今度こそ信じるよ」
まだ迷いがあるかも知れない。だけど、逃げる訳には行かない! 大切な友達を助けたい!
・・・だから、お母さん。力を貸してっ!!
剣を鞘から引き抜いた。刀身は闇に溶けてしまいそうな漆黒の刃だった。だが、オニキスのように自分の顔が映り込むほど艶やかで、傷だらけの柄とは違って刀身は傷一つない。
そして驚くことに、剣はとても軽かった。
鞘を手離し、ミカンは漆黒の剣を両手で構えた。
「クヒヒッ! 斬ると言うのですね、カオリ。彼女をッ!! 妹のように思っていたこの子をッ!!」
刃を向けられ、ミントは笑っては見せるものの、何処かしらたじろいでいる。
ミカンは深呼吸すると、静かに目を閉じた。
「斬る! ・・・私はぐらたんから貴方を断ち切る」
動かず、視界を閉ざした今のミカンは完全な無防備だ。
しかし、そう見えて隙が全く無かった。大鎌を構えようとせずミントは一歩身を引く。今の彼女はミカンに立ち向かうという思考すら遮られていた。
どんどんとミントの動きがぎこちなくなっていく。もはや戦える状態ではない。
「う、・・・。クククッ、あはははははっ!! 今回も私の負けのようですね。カオリ、勝負は次回に持ち越しです!!」
完全に怖気付いたミントは目を周囲に配らせる。
「しかし、手土産は何か欲しいっ!!」
しかし、ミカンは変わらずジッと剣を構えて目を閉じたままだ。
代わりにやどりんが叫ぶ。
「てんめー、逃げる気かっ!!」
「クククッ、少年だけは必ず持ちかえ・・・」
ミントが振り返った瞬間、彼女の視界には、
「はああああっ!!?」
そこにいた筈のネクロプライヤーとイヌガミルクの姿が無かった。
何処に消えたのかと、キョロキョロと辺りを探っていた所、草木が擦れ合う音が聞こえた。
次の瞬間、ミントの背中に激しい衝撃が走った。
「どおおおおおおおっ!!」
あの時のように魂を握りつぶされるような感覚だ。
その衝撃はネクロプライヤー。
ミントの背後にはイヌガミルクがいた。手にしたネクロプライヤーをミントに突き当てていたのだ。プライヤーの刃は光を放ちながら、ミントの背中に浸透していった。
「よくも、お嬢様をオモチャにしてくれたギャン! 貴様は絶対に許さんっ!!」
鬼の形相でミルクは吠えるように声を上げた。
ミントは苦しみながらも、ほくそ笑む。
「かははッ・・・、良く来てくれました!! 今度は貴方に・・・」
ミントから赤黒い炎が漏れ出す。今度はイヌガミルクに乗り移るつもりだ。
「そうそう同じ手を僕が出すと思っているのかっ!」
「引いて駄目なら、押すまでギャン!! イヌガミック・ドライブ!」
「「ネクロ・パイルバンカーーーッ!!」」
ミントの背中に食い込んだプライヤーから眩い光と共に衝撃波が発生した。
「何ぃぃぃっ!!?」
ミントは衝撃と共に押し出され、変身が解けた。鎌は手から離れ、ルビィーの魂はぐらたんの身体から勢いよく弾き出された。
「お嬢様っ!」
ミルクはプライヤーを捨てて、意識を失ったぐらたんを速やかに後ろから支えた。
ルビィーが弾き出された先、そこにはイヌガミカンが静かに待ち構えている。
後はミカンに全てがかかってる。ミルクはぐらたんを抱えたまま、最後まで見届けるのだった。
「ミカン・・・」
「「やっちゃえっ・・・!!」」
その時ぐらたんの意識が戻った。弱々しく拳を突き出し、残った力の限りミルクと共に叫んだ。
続けて、スダチたちもミカンの名を呼ぶ。
「ミカンっ!」「ミカンッ!」「カオリッ!!」
「・・・カオリッ!」
その場にいるみんなに応えるように、ミカンは目を開く。
「イヌガミック・ドライブ・・・」
ミカンは光を纏うと、それに合わせて漆黒の剣が金色の輝きを放った。
「クククッ、素晴らしいですよ、カオリッ!」
ルビィーは飛ばされるまま大鎌を振りかぶるが、ミカンは死神よりも速く剣を振り下ろした。
「シトラスカリバーーーーーッ!!!」
金色の剣閃は、大鎌ごとルビィーを飲み込んだ。彼女の霊体は崩れて赤黒い炎がかき消えていく。
真紅のフードが消し飛び素顔が顕になった。金の髪がなびくが、顔は黒い毛で覆われ、大きな三角耳を持っていた。猫の様な獣人の姿であった。それがルビィー・ホーン本人だったのか、ここの神社を守護していた猫神だったのかは分からない。
彼女はかき消えるまで笑顔を崩さなかった。三日月に細めた赤い目が最期までミカンを見つめる。
「にゃはははっ・・・! 素晴らしいッ! とても最高でしたよ、カオリッ!! 流石、
私が見込ん・・・だ子です! 貴方は正しく・・・やくさ・・・の、末・・・」
ルビィーは完全に消滅した。残った大鎌は真っ二つになると蒸発して、閃光の中へと消えて行った。
夜を照らす閃光が間も無く収まると、ミカンは剣を地面に突き立てて膝を付くのだった。変身は解けて、金色に輝いていた剣も光を失い再び漆黒の刃に戻った。
「やったね・・・カオリちゃん!」
「凄かったギャン!」
ミルクの肩を借りながらぐらたんは、宿敵を倒した彼女にゆっくり近づく。
「ぐらたん・・・?」
ぐらたんはミルクから離れて、後は自力でカオリの前までたどり着いた。
彼女の疲労は見て分かるがそれでも笑顔を見せ、ぐらたんはサムズアップして見せた。
「助けてくれてありがとう。やっぱりカオリちゃんは、おね・・・、グエエ!!?」
彼女の姿を見て、カオリの目から涙が溢れてきた。そして勢いに任せて元に戻ったぐらたんを抱きしめるのだった。
「本当にぐらたん!!? ホントに本物だよねッッ!!」
突然のことでぐらたんは、ビックリした顔で固まったまま、視線を密着しているカオリに寄せる。
「ん、うん・・・。 ごめんなさい。カオリちゃんを私が・・・。その傷、痛むよね・・・、本当にごめんなさい」
「ううん、言わないで・・・!! 怪我は大丈夫だからっ! 私こそ! こんな、ことに・・・巻き込んじゃ、って・・・!!」
ぐらたんの耳元でカオリは泣きじゃくる。
「そんな事はいいんだ。もう終わったんだよ! ルビィーはキミが倒したんだ。カオリちゃんがいてくれなきゃ・・・私はずっと奴に囚われたままだった。ありがとう、凄かったよお姉ちゃん」
ぐらたんは少し困った顔でカオリの背中をそっと抱きしめた。
離れた位置からスダチが駆け寄ろうとしたがタイミングを逃して、ミルクと一緒になって再び2人の様子を涙しながら見守る。
「・・・」
その後ろで忘れ去られたネビロスは物言いたげな顔も出来ず、
空気を読んでプライヤーのままじっと同じ様に見守るのだった。
「・・・帰ろっか、今度こそお腹減ったから晩御飯食べよ・・・」
「うん!」
カオリに笑顔が戻った。ぐらたんから離れて、涙で濡れた顔をゴシゴシと拭った。
地面に突き立てた剣がふと目に入り、彼女は抜き取る。
ぐらたんも気になり、その漆黒の剣を見つめる。
「その剣・・・」
「お母さんの形見なんだって。この剣のお陰だね。ありがとう、お母さん」
スダチがカオリに近づく。
「ヴァル・ガ・ルウィンガー、その剣の名前さ」
「ヴァル・・・? そうなんだ。名前があるんだ、この剣。お母さん、この剣を振るってたって・・・、お母さんって勇者だったの?」
「そんなんじゃないさ・・・ノーラは。いや、僕にとっては勇者だったかな」
「あはは、そうなんだ。今度、お父さんとお母さんが出逢った話でも聞かせてね」
カオリの言葉を聞き、彼の両肩にいるやどりんとウンギャンは複雑な気分になった。
スダチはそんな表情を見せず、微笑んで答えるのだった。
「ああ、いつかね。・・・今日から君の剣だ。この先の旅もきっと母さんが守ってくれるよ」
「ありがとう、お父さん。よろしくね、ヴァル・ガ・・・えーと」
「ヴァル・ガ・ルウィンガー」
「よろしく、ヴァル・ガ・ルウィンガー」
ヴァル・ガ・ルウィンガー・・・お母さんの剣。彼女が父にとっての「勇者」だったように、私もなりたい。・・・この剣は今から聖剣シトラスカリバーと呼ぶことにしよう・・・私の心の中で。
「カオリちゃん、なんだか勇者っぽくなったね」
「えへへ、勇者カオリか〜っ。悪く無いわね」
ぐらたんは茶化したつもりが、カオリはやや興奮気味に誇らしげに剣を掲げて漆黒の刃を眺めるのであった。
カオリらしい調子が戻ってきたことで、みんな微笑ましい目で見ていた。
その中、ウンギャンはスダチの肩から離れ、静かに後にしたのだった。
☆☆☆
境内より奥の森の中、赤黒い火が種火の様に小さく静かに漂っていた。
——厄災の魔犬めぇ——
今まで食って来た魂もほとんどが飛び散って、もはやあの悪霊ルビィー・ホーンとは言えない。残りカスだ。
種火の側で空間が歪み、闇の中から邪龍レヴィアタンが現れた。
邪龍は哀れむようにルビィー・ホーンの成れの果てを見下ろす。
「愚か者め。だからぐらたんに手を出すなと言った・・・。目的を忘れて遊ぶからそうなる」
種火を掬いあげるように手のひらにのせると、ギュッとその火を握りつぶした。断末魔の様に火の粉が拳から飛び散った。
その時草木が揺れて前方の茂みを見ると、そこからウンギャンが静かに出て来た。
「ソナタか・・・」
「・・・。やはり貴方様が、ルビィー・ホーンをけしかけたのですね? これほどまでしなくても某がネビロス様を・・・」
レヴィアタンは隻眼を閉じる。
「コヤツがどうしてもと言うからな」
そしてルビィーを握りつぶしたまま拳を見つめる。
「・・・ソナタはそのまま、あの少年を監視すれば良い。・・・奴に研究を続けさせろ。完成の目処が・・・」
邪龍はウンギャンに引き続き現状を維持するように言っていた所、
「ウンギャン〜どこ?」 「どこに行っちゃったの〜」
小さなガーゴイルの背後で、ぐらたん達の声が聞こえた。
ウンギャンは何かを訴えるような視線を邪龍に送ると、理解した邪龍は速やかに長い尻尾でウンギャンを薙ぎ倒した。
そして茂みを掻き分けて、ぐらたんとカオリがこの場にやって来たと同時に、ウンギャンが彼女達の目の前に落ちる。
「「っ!!!」」
「ウンギャン! しっかりしてっ!」
カオリは目をグルグルまわして気絶しているウンギャンを抱き上げ、顔を邪龍に向けた。
「貴方は邪龍レヴィアタンッ!?」
「よくもウンギャンをっ!」
ぐらたんとカオリは身構え、イヌガミギアを手に取った。
邪龍はと言うと2人に動じず、佇むだけだった。
「よせ。消耗しきったソナタらじゃ相手にならぬわ」
額から汗が流れる。
余裕の裏に隠れた彼女の気迫に圧倒され、姿勢は崩さずにぐらたんは彼女に問いかける。
「・・・。何しに来たんだ?」
「ルビィー・ホーンの始末じゃ。・・・とは言っても後は残りカスじゃがな」
握りしめた拳を開き、2人に見せた。手のひらには何も無かったが、微かに彼女らしき気配がした。
「そこの小さいのも、コヤツに勘付いて追って来たのじゃろう。さっさと連れてここから立ち去るのじゃな・・・。それとコヤツを返す」
腕を組んだ邪龍の背後で長い尻尾が大きくうねると、白いぬいぐるみが放物線を描き、2人の前に落ちた。ネビロスが憑代にしていた翼の生えた白い犬のぬいぐるみだ。右腕はルビィーのせいで焦げてしまっている。
ぐらたんがぬいぐるみを抱き上げると、邪龍はマントを翻して背中を向けた。
「ふん、少年を連れて来いと言ったのにあの愚か者め・・・そんな気味の悪いぬいぐるみなど要らぬっ! 妾は帰るっ!」
そして彼女の前に空間が割れて、暗黒の入り口が出現した。
「ま、待てっ!」
後を追いかけようとしたが、不意に邪龍の尻尾が前を横切り、ぐらたんは立ち止まった。
「・・・おっと忘れておった。まだまだ奴の魂がそこらじゅうに散らばっておる。結界が残っている限り、時が経てば第二のルビィー・ホーンが誕生しよう。そうなりたくなければ、この神社は完全に破壊せよ。・・・そうじゃな、森に還すのじゃな」
そう言って邪龍は闇の中へ入っていき、ゲートが閉じてしまった。
色んな感情が渦巻き、ぐらたんは彼女が消えた所をじっと見つめる。
「戻ろう、ぐらたん」
「そうだね・・・」
2人はウンギャンとぬいぐるみを連れて森を後にした。
かくしてルビィとの死闘に終止符が打たれた。
後にこのことは警察経由で市に伝わり、神社の敷地は取り壊されて木々が植え込まれることとなった。
散らばった魂は、ネビロスが言うにはヘルヘイムの死神たちが回収作業に当たるという。もう新たにルビィー・ホーンが誕生することはない・・・。
カオリが深い因縁から解放されて一安心だが、
ぐらたんの心の奥底では取り憑いた彼女の言葉が、あの事件の記憶と共に残ったまま、闇に息を潜めた不安として燻るのだった。




