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魔法少女ぐらたん  作者: Yorimi2
2.レインボーバブル編
49/88

#48「無闇に触らないでって言ったのにーーー!」

遺跡の入り口でやどりんはネネからの連絡を受け、犬神少女の力場からミントたちの行方を探っていた。


・・・しかし、ネビロスはどうやって探す!?

ネビロスへ通信を入れるが全くつながらない。


「ネビロス・・・無事でいてくれよ・・・」


「お嬢様のほうは?」


横でウンギャンが聞く。


ミントへ捜索対象(そうさくたいしょう)を変え、ミントの神通力場(じんずうりきば)を探るが・・・


「ん??」


一瞬だが神通力場(じんずうりきば)を感知した。


「どうしたギャン?」


ミントのではない。初めて見る波形パターンを観測し、やどりんは目を(うたが)った。


「いや、ただの誤作動(ごさどう)か・・・。くそっ、ぐらたんのヤツ、変身解きやがった。これじゃあアイツを追えん!」


「では(それがし)捜索(そうさく)に」


「やむを得んな。頼んだぜ」


MMM(スリーエム)ランチャを担いだウンギャンは遺跡に入ろうとするが、後ろで誰かの気配がしたため立ち止まる。

やどりんも反応して振り返る。


「何やつ!!」「誰だ!?」


誰かが(しげ)みをかき分けこちらにやってくる。


ウンギャンはランチャーを(かま)え、(しげ)みの方を警戒した。


「牽制でいい。一発お見舞いしてやれ」


モノクルゲイザーで表示される生体反応。そして敵の接近を知らせる警告(けいこく)がうるさいほどに照準の下部で点滅(てんめつ)する。

ウンギャンに緊張(きんちょう)が走る。



☆☆☆

上を目指して薄暗い遺跡を進むぐらたんと船虫(ふなむし)

培養管(ばいようかん)が並んでいるばかりで似たようなフロアをなん度も通った気がする。

ぐらたんは変身を解いて魔力解放をしていた。

ミントギアが壊れてしまうのと、なぜかこの遺跡、いや、何かの施設がぐらたんの魔力に反応して動くからである。

扉に手をかざすと、自動的に扉が左右に開いていった。


「ひひひ! オメーがいてくれて助かったぜ。しかし、すげーな! 一体何の施設だったんだが・・・」


開いたフロアへ船虫(ふなむし)はキョロキョロあたりを見回す。扉は一つだけの密室だ。ぐらたんも入ってきたところで自動的に扉が閉じた。


「見た感じ旧魔界連合が建てたものだと思う。あの魔獣が本当にキマイラだとすると、キマイラ研究所ということか」


「ふぅ~ん」


「しかし行き止まりか~・・・。戻ろう」


「へいへい・・・」


船虫(ふなむし)は壁に手をかけて、再び扉に近づこうとしたその時、扉の上のランプが赤く点灯した。


「うおっ!? なんだ!?」


「今度は何!?」


ぐらたんは手を扉にかざすが開かない。扉はロックされてしまった。

船虫(ふなむし)は首を(かし)げて答えるが、


「いや、何も・・・はっ!!?」


壁に触れた手を見つめて何か思い当たることがあったようだ。


「・・・。ヤベー・・・・・・何かしたかも」


さっき壁に触れた時、触れた部分が押し込まれた感じがしたのだった。


「えええーーーー!!?」


ぐらたんが叫び声を上げた瞬間アナウンスが流れた。


『耐久訓練プログラムを開始します。被験体(ひけんたい)以外は直ちに退避してください』


「ロックした後に!! 退避させる気ねーだろ!!」


船虫(ふなむし)は扉を蹴りながらアナウンスにツッコミを入れる。それどころではない!


「もーー!! 無闇に触らないでって言ったのにーーー! 虫め!!」


『第一試験、耐寒テストを始めます。-70度』


「「何だって!!?」」


二人が(わめ)く中、フロア内は急激に温度が下がっていく。猛烈(もうれつ)なブリザードがフロアに吹き荒れぐらたんたちの体温を奪っていく。


「ひーーー!! 寒い寒い寒い、さぶいーーー!! あたしゃ寒いのはダメなんだ!!」


船虫(ふなむし)は体を(ふる)わせ、ぐらたんにピッタリ抱きつく。


「わふあーーー!! やめろ! くっつくな! オマエのせいだろおーーー!! ブルブルブル・・・」


「いい~じゃねーか! こうしねーと凍え死ぬ!!」


「そうしてもこごえ死ぬ!!」


ぐらたんも(ふる)えながら船虫(ふなむし)に抱きく。お互い密着するしかなかった。お互いの吐息が真っ白なる。


くっそーー!! せめてネビロス様だったら!!

このままじゃ・・・


船虫(ふなむし)! 異空間ゲートを開く札だ!」


「よし来た!」


船虫(ふなむし)(ふところ)を探るが・・・


「ない! ヤベー! あの時・・・流されちまったか!? アクムーンならあった・・・」


気まずい表情をしながら、船虫(ふなむし)が取り出したのはアクムーンの結晶体だ。どうしようもない。

「えーーーー!!?」


だめだ・・・

視界がぼやけてきた。


力が抜けてぐったりして船虫(ふなむし)に体重がかかる。


「おおおい! バカ! 寝るな!! 起きろ~起きろ~! 起きやがれ~!」


船虫(ふなむし)は両手でぐらたんのほっぺたをサンドしてぷにぷにしたり、垂れ耳をふわふわと触り出しては、大声で呼びかける。


誰が・・・!!? 


ぐらたんは意識が朦朧(もうろう)としながらも、両腕を上げる。ほっぺたをサンドされながらも、わずかに目を開いて天井を見る。

すると不思議なことが起こった。

次第にぐらたんと船虫(ふなむし)の周りに半球の薄い膜が(おお)う。半球から外の景色は(ゆがん)んだように見えた。


「!!? コイツは・・・?」


周りを囲む結界はブリザードを防ぐ。体感温度的にマシにはなったが、ここまで冷えては長くは持たない。


「・・・。インフェルノ!」


ぐらたんがかざす両手の上に光の線が幾何学的(きかがくてき)な模様を描く。天井一点に真紅の光が集まる。


フロア内に満ちた高濃度のマナ粒子が、ぐらたんの真上に加速して流れる。天井は一気に蒸発して爆発する。フロア一帯もプラズマ化した空気で灼熱地獄と化していた。


「そのまま(つか)まってろ!」


融解(ゆうかい)した天井が()れてくる中、ぐらたんは船虫(ふなむし)がしがみついたまま、空いた穴に向かって飛び上がる。

上の階に降り立つと周りを取り巻く空間の(ゆが)みが消えて、ぐらたんはぺたんと座り込む。


「わふあーー死ぬかと思った。今度は熱い」


そして探検帽子を脱いであおぎ始めた。翼もパタパタとさせて風を送る。

しばらくすると魔力が切れて人間の姿に戻ってしまった。


「・・・。なんつー出力だ。インプに毛が生えた程度って言われてるが、ヘルハウンドって、おっかねーぜ・・・」


呆気(あっけ)に取られた船虫(ふなむし)はフードを脱いで、胸元を何度も引っ張ることで装束内に風を送った。


「へえ、へえ・・・。しかし、さっきの結界、似てるなあ・・・。 いや、なんでもねえ。ひでー目にあったぜ! じゃあ、こっからは互いに競争だな! おっ先~!!」


船虫(ふなむし)は右手を軽く上げると、超スピードで走り去っていった。


「あ!! 待てーーー!!」


ぐらたんはすぐさま、後を追いかけていった。



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