(11)
前回の後書きで、残りあと3話か4話と書きましたが、おさまりませんでした……。というわけで、3月中に3話投稿し、完結は4月に持ち越しとなります。
翌日は朝から学院祭の後片付けと掃除に追われた。ある程度前日に手をつけていたものの、雑巾はすぐ汚れ、ごみ袋は何袋にもなった。
昨日代表戦の後でソールとリリーが熱烈に抱き合っていたという噂はまたたく間に広まり、歩いているだけで多方面から突き刺さるさまざまな視線にリリーは居心地の悪さを覚えたが、今度はすべて事実だったので甘んじて受けとめた。
掃除の最中にばったり出会ったソールも同じ状況だったらしく、オルトとの勝負に勝って晴れて付き合いだしたことを聞いた槍専攻一回生たちに「この幸せ者め!」とさんざんどつかれたという。
そのまま立ち話をしていると、いつの間にか動きをとめた周囲に注視されていた。皆が聞き耳を立てているのに気づき、これでは落ち着いて話せないとリリーは困ったが、「毎日のことになれば、そのうち誰も気にしなくなる」とソールは笑って去っていった。
「あれって、当たり前と思えるくらい一緒にいようってことだよね」とセピアがにやにやする。
「面倒見のいい奴だから、オルト以上に過保護になるかもしれんな」
「ソールって、温厚だと思って油断してたら実は肉食でしたって感じだよね。いきなりパクッと食べられないように気をつけなよ」
ルテウスとレオンにもからかわれ、リリーは赤面した。
午後からはどの学科もふり返りの時間になった。学院祭に来た人や生徒の感想を読むかぎり、演舞は大成功だったようだ。中でも子供の人気が一番高かったのは空を飛ぶ風の法専攻生で、将来ぜひ入りたいという手紙をたくさんもらい、リリーたちは喜んだ。
明日はいよいよアルクス市に向かう。下校後に部屋で持っていく荷物をまとめ、夕食もとって一息ついていた頃、呼び鈴が鳴った。玄関に出向いたリリーは、立っていたキルクルスに「こんばんは」と言われて苦笑した。
「さすがにもう普通に玄関から来るんだね」
数日前、ハヤブサのクルスがキルクルス本人だとセピアに聞いたときは、吃驚しすぎて顎がはずれるかと思った。すぐさまキルクルスを問い詰め、目の前で変身を見てようやく納得したものの、今までずっとだまされていたことにリリーは怒った。鳥だと思ったから同じ部屋で寝ていたのに。しかも着替えるときに何度もそばに飛んできていたよねと非難すると、「だってあんなおいしい機会、めったにないし」とキルクルスは悪びれもしなかったのだ。
「あれからリリー、きっちり窓を閉めてるから、入りたくても入れなくなったんだよ。今更って仲なのにひどいよね。そう思わない、ソール?」
肩ごしにキルクルスが声をかける。ソールもいたのかとリリーは驚いた。
「ルテウスが言ったように、羽根をむしって丸焼きにされたいか?」
キルクルスの後ろからゆらりと姿を見せたソールは、黄赤色の双眸に剣呑な光を浮かべている。肉食だとレオンが評したのはあながち間違っていないのかもしれない。
「冗談だよ、まったく。二人ともあんなにクルスをかわいがってくれてたのに、くっついたとたん邪魔者扱いだもんね」
キルクルスが大仰なため息をつく。
「論点をずらすな。正体を隠してリリーの部屋に出入りしていたのが許せないと言っているんだ」
「『家』じゃなく『部屋』か。なるほど、ソールもリリーと一緒に寝たかったんだね」
にんまりするキルクルスに、リリーは慌てた。
「一緒には寝てないでしょ」
クルスは止まり木で休んでたじゃないとリリーはすぐに訂正したが、ソールはじろりとキルクルスをにらんだ。
「そんなに怒らないでよ、ソール。リリーがどれだけ君のことを話してたか、後で教えてあげるから」
「やめてーっ! キル、しゃべったら絶交だからね!」
リリーは真っ赤になってキルクルスの口をふさいだ。反対に、不機嫌そうだったソールが今度は目を輝かせる。二人の反応に笑ってから、キルクルスは真顔になった。
「遅くに悪いけど、君に話があるんだ」
「……もしかして、お父さんがいるときのほうがよくてこの時間に来たの?」
出発を明日に控えた夜にわざわざ訪ねてくるということは、よほど重大かつ深刻な話なのではないか。
昨日玉がそろったときに感じた不安とキルクルスの様子が気になっていたリリーは、自分の予感が当たっていたことを知った。
「うん……リリーのお父さんには早い段階で伝えてたんだけど、一応再承諾をもらおうと思って。それに、君に説明しないまま連れていくのはやっぱり心苦しいし、ソールも関わることだから来てもらったんだ」
キルクルスがわずかに目を伏せる。ソールは話の内容自体は聞かされていないらしく、いぶかしげにしている。そこへ居間からファイが顔をのぞかせた。
会釈するキルクルスとソールに、ファイは「おいで。座って話をしよう」と招いた。
居間の長椅子に勧められ、キルクルスとソール、リリーとファイがそれぞれ並んで腰を下ろす。シータは飲み物の用意をするため、一度部屋を出ていった。
比較的きわどい発言も軽い調子でするキルクルスが珍しく縮こまっている。ずっと沈黙したままのキルクルスに、ファイが「僕から言おうか」と声をかけた。
「……いえ、僕が話します」
一度唇をかみ、キルクルスはリリーを見た。
「僕は君たちに会うためにこの町に来た。虹の森にたどり着く可能性がある冒険集団はいくつもあるけど、リリーにやってもらいたいことがあったから……リリーにしかできないと判断したから、君たちのそばにいたんだ」
リリーはグラノの言葉を思い出した。キルクルスは自分を連れ去るつもりで近づいたのだと――。
「……私を利用しようとして仲よくなったの?」
心音がやたらうるさく耳に響く。のどが渇いてきた。
「それが僕の務めだったから、正直最初は……でも今は違う。僕はリリーが好きだし、みんなといるのが楽しくなったんだ」
真摯な容相で訴えるキルクルスを凝視し、リリーはうなずいた。
キルクルスは嘘をついていない。目的はどうであれ、キルクルスが支えてくれたのは確かだし、信じたいと思った。
「僕は……僕たちは虹の森の番人なんだ。森を守るのが仕事なんだけど、二十年以上前、ある集団が森に入ったことで問題が起きた」
シータが飲み物を盆に乗せて部屋に入ってきた。
「その集団は確かに玉をそろえ、虹の森を訪れる権利をもってやってきた。でも彼らの中に暗黒神とつながりのある者がいたことで、虹の森と暗黒神の領域に道ができてしまった」
リリーは父をかえりみた。ちょうど全員の前に飲み物を置いていたシータの手もとまる。
ファイにうながされ、シータもファイの隣に座った。
「……それって、まさか……」
「君のご両親だ」
キルクルスの返答に、リリーは言葉を失った。ファイがシータの動揺を抑えようとするかのごとく肩を抱く。
父と母はやはり虹の森に行ったことがあるのだ。自分の手に玉が現れたとき、怖いものではないから心配しなくていいと二人は教えてくれた。後にそれが虹の森への鍵だとわかり、もしかしたらとは思っていたけれど。
でもまさか、両親が原因で虹の森に異変が起きていたなんて。
「二人は暗黒神と結ばれていたけど、闇に落ちたわけじゃない。森を侵すつもりがなかったのは明白だったし、何より我が主が受け入れたのだから、当時の番人たちは見逃した。それに道もすぐふさぐことができて、今はもう通じていないんだ」
ほっとしたリリーに、「ただ……」とキルクルスは続けた。
「道を閉ざすまでの間に流れ込んだ闇の気は今も消えず、森の中に淀みとして残っている」
そのせいで森の一部が灰色になり、生き物が棲めなくなっているという。
思い当たることがあるのか、シータがファイと視線をあわせて唇を引き結ぶ。
「広がりかけた闇の気は我が主の御力で森の端に押しやられたから、森を訪れる冒険集団の目にとまることはない。でも、もともと二神の力関係は拮抗している。小物の魔なら消滅させられるけど、神が垂れ流した気を完全に消し去ることはできなくて……一度、器に集めて森から出すしか方法がないんだ」
鼓動が大きくはねた。体がひやりとし、震えが生じる。スカートをぎゅっとにぎりしめるリリーを見て、それまで黙って聞いていたソールが低い声音で問うた。
「リリーを器にするということか?」
一呼吸おいてキルクルスは首肯した。
「呪物は基本的に持ち込めない。森がはじくし、僕たちも阻止するから。唯一可能なのは、主が招いたものだけだ」
虹の森に入ることを許可された人間のうち、暗黒神ともつながりがある者は非常にまれだった。まして闇の気を吸収できるほどの器はそうそうない。だから今まで解決策がなかったのだと。
アペイロンの心臓の代わりとして闇の下僕に狙われて、今度はキルクルスから器になれと言われるなんて。
うつむいたリリーは涙ぐんだ。
「私が入ったら、また道が開くんじゃ……」
「もちろん開くよ。でも僕が一緒に行って、すぐに道を封じる。その間に侵入した闇の気も……君に送る」
容赦のない言葉に、リリーはびくりと肩をはね上げた。
行くのが怖いと感じた不安はこれだったのだ。
もし闇の気を取り込めば、自分はきっと自分でなくなってしまう。
やっと平穏な生活に戻れたと思ったのに。
せっかくソールと想いを確かめあえたのに、全部粉々に砕け散るかもしれない。
「オルトとフォルマはどうなんだ?」
闇の下僕と関わっていたから、絆が結ばれているのではとソールが尋ねる。
「二人とも幸いなことに血の祝福は受けていないから、つながりと呼べるほどには至らなかった。最悪、オルトとフォルマの分も回収することを覚悟してたんだけど、それはどうにか回避できたよ」
ソールが立ち上がり、リリーの前で膝をついた。リリーの手をにぎり、顔をのぞき込む。心配そうなソールを見て、リリーはこらえきれずに涙をこぼした。
「リリー」
優しい声かけに刺激され、一度しゃくり上げる。つないだ手のぬくもりが安心感を誘い、リリーは少しずつ落ち着きを取り戻した。
「どうしても、リリーでなければだめなの?」
シータからの問いかけに、「『器』としての素質は群を抜いています。だからこそ暗黒神はリリーを望み、闇の下僕も動いたんです」とキルクルスは答え、いたわるような微笑を浮かべた。
「とてつもなく大きな負担をかけることになるけど、悪い面ばかりじゃないよ、リリー。君に一時的に移した闇の気を放出するとき、暗黒神とのつながりも一緒に排除する。そうすれば君はもう暗黒神や信者に狙われることはなくなるし、君の子供にも絆は引き継がれない」
全部断ち切ることができるんだと言われ、重苦しい嫌悪感で後ろ向きだった気持ちに光が差した。
この苦難を乗り越えれば、周囲を警戒し逃げ続ける必要がなくなるのか。
「その負担は、本当にリリーが耐えきれるものなのか?」
「それはソールしだいだよ」
確認するソールをキルクルスは見据えた。
「俺は何をすればいい?」
「君にはリリーをこちら側につなぎとめる役を担ってもらう。メンブルムの町を脱出するときの暗黒神の猛追ぶりからして、相当な引っ張り合いになるだろう。君がリリーの手を放した瞬間に、リリーはねじれ輪に囚われることになる」
その後は闇の下僕として、暗黒神のもとで苦しい転生を繰り返すことになるのだ。
お気に入りだったと思われるブレイを失い、暗黒神は躍起になってリリーを捕らえに来るだろうとキルクルスは語った。
「君たちは守護神が同じだから、風の神の力も借りよう。加護は多いに越したことはない。リリー、どう? やってくれる?」
断られるかもしれないという懸念がちらついているキルクルスの瞳を、リリーはじっと見た。
これほど大変な決断を迫られるとは思っていなかった。
本音を言えばやりたくない。失敗すれば自分は闇の世界に引きずり込まれてしまうのだから。
でもキルクルスは事前に打ち明けてくれた。逃げ道をつくってくれたのだ。
自分を『器』として連れていくために来たのに。連れていかなければこの先も苦心するのに、選択の余地を与えてくれた。
リリーはソールと目をあわせた。ソールは何も言わない。勧めることもとめることもしないけれど、どちらを選ぼうと隣にいるつもりだというのが伝わってきて、胸の奥があたたかくなった。
「……私を助けてくれる?」
「ああ、絶対にお前を守る」
にぎる手に力を込め、ソールがきっぱりと断言する。迷いのない約束に、リリーは勇気づけられた。
「行くわ。虹の森にたまる闇を外へ出す手伝いをする」
「リリー、でも……」
「お母さん、大丈夫だよ。ソールが私を捕まえていてくれるし……将来のためにも、悪縁はきちんと切っておきたいの」
そしてリリーは父を見た。
「お父さんは最初にキルから話を聞いたとき、賛成したんだよね?」
キルクルスは『再承諾』と言っていた。つまり父はキルクルスの依頼を認めたということだ。
「リリー……」
申し訳なさそうな顔で、ファイは頭を下げた。
「すまない。僕たちの行動がこんな事態を引き起こすとは思っていなかった。本当なら僕が……」
「うん、わかってるよ」
父は自分で回収したいと申し出たに違いない。いつも、どんなときも家族を大切にしてきた父だから。
でもそれはできないのだろう。虹の森はおそらく一度しか行くことができない。たとえキルクルスの協力があっても、父が『神々の寵児』でも、その原則は変えられないとしたら、次に父が考えるのは娘の今後についてだ。
どうすれば娘が安全に、幸せに暮らせるか。『器』になる負担と秤にかけて、熟考の末に出した父の答えが『娘が役を担う』ということであれば、その道が最善なのだ。
「大丈夫。私にはソールやみんながついていてくれるから」
しかと目をあわせて笑ったリリーにファイは青い瞳を揺らし、娘を抱きしめた。
「そうだね、リリーには信頼できる仲間がいる。きっとこの大仕事を成し遂げられる」
そしてファイはソールとキルクルスを順に見た。
「ソール、キルクルス、リリーを頼む」
「はい」
声をそろえる二人から伝わってくる覚悟に励まされ、リリーもあらためて気合を入れた。
無事に務めを果たし、絶対に両親のもとに戻ってくると。
翌朝、七人とキルクルスは荷馬車に乗り、フォーンの町を発った。リリーの『早駆けの法』を受けた荷馬車は快調に進み、日が傾きはじめる前にアルクス市へ到着した。
アルクス市に入ったとたん、ぞくりと寒気を覚える。やはり空気が違う。両腕をさするリリーと同じく、セピアやルテウス、レオンも不安げに周囲を見回した。
以前『死者の日』に来たときは、市の境界で番人に馬を預けて歩くことになったが、今日はキルクルスの道案内を受けてセピアが荷馬車を走らせた。
まもなく前方が二手に分かれているのが見えた。一方は大きな岩が道をふさいでいる。当然、岩のないほうを選ぶと思われたが、キルクルスの指示は違った。
「岩のあるほうに進んで」
えっ、と全員が驚いたさまでキルクルスをかえりみた。
「でも、キル……!」
「岩にぶつかることはないよ。心配しなくていいから」
そう言われてもにわかには信じがたく、レオンとフォルマとルテウスは衝撃に備えて荷馬車の中で体を丸め、リリーはそばにいたソールに引き寄せられた。
「ああもうっ、知らないわよ!」
半ばやけになった調子でセピアが鞭を打とうしたところで、隣に座るオルトが「俺がやる」と手綱を取った。
「セピアは背もたれにしがみついてろ。なんなら目をつぶっておけ」
本当は不安だったのか、セピアは素直に鞭をオルトに渡して背もたれにしがみついた。
「行くぞ!」
オルトが馬車の速度を上げる。大岩への激突を想像し、リリーはソールにぎゅっとしがみついた。
もうすぐぶつかる――そう思った刹那、ふっと空気が揺らいだ。
「抜けたよ。オルト、後はもう一本道だからそのまま進んで」
キルクルスの声かけに、リリーはおそるおそる顔を上げた。身じろいだリリーにソールが微笑し、大丈夫だとささやく。
絶対に守るという約束をきちんと行動で示してくれるソールの頼もしさに、リリーも頬をゆるめた。さすがに仲間のいるところでずっと抱き合っているわけにはいかないので体を離したが、手は重ねたまま一緒に前を見据える。
「結界?」
レオンのつぶやきに「一種のね」とキルクルスが答える。村に受け入れの意志がないと通過できない仕掛けになっているのだという。
やがて先のほうに、玉がそろったとき脳裏に浮かんだ村が現れた。のどかなようでいてぴりっとした神気も感じる、不思議な村だ。
「フルゴル村……じゃないよな?」
ルテウスが首をかしげる。フルゴル村はアルクス市の中でも特に、天空神を祀った遺跡が複数あることで知られている場所だ。そのため訪れる者も多いというが、あたりに観光客や巡礼者などの姿はなかった。
「そんなあからさまなところに住んでいたら、簡単に襲撃されるじゃないか」
どこかの強欲な神官とかに、とキルクルスが肩をすくめる。「お前ら、よっぽど神法院が嫌いなんだな」とルテウスもあきれ顔になった。
「フルゴル村じゃなければ、どこ?」
レオンの質問に「名前はないよ」とキルクルスはかぶりを振った。
「名前があると存在を認識されるからね」
徹底的に秘されている村らしい。昔、神法院が必死に探し回っても虹の森に関する手がかりが満足に得られなかったというのはそういうわけかと、リリーは納得した。
近づく荷馬車の存在を認めたのか、村の入口を示す円柱のそばに人が姿を見せた。一見性別不明の人物はれんが色の長い髪を後ろで束ねている。
「エスキー!」
キルクルスの呼びかけに、エスキーが笑顔で手を挙げた。
「お帰り、キル」
荷馬車が完全に停止する前に飛び降りたキルクルスがエスキーに走り寄り、しっかりと抱き合う。
「無事で何よりだ」
エスキーがキルクルスの髪に口づける。人に触れたがるのはキルクルスの一族の性質なのだろうか。いとことはいえ、こちらが恥ずかしくなるほどの親密ぶりに全員が目をそばめた。
「ついにそろったんだな。みんな、よく頑張った」
キルクルスを抱擁したままエスキーが七人をねぎらう。最後にリリーを見て、エスキーは緑色の双眸を細めた。
「まずは湯浴みだな。それから夕食。明日も早いから夜更かしはしないように。キル、長老が待ってる」
エスキーがキルクルスをうながす。キルクルスはリリーたちをかえりみた。
「後で明日の段取りについて説明するよ」
「段取り? 虹の森に入るのに準備がいるの?」
不思議がるセピアに、キルクルスはほんの少し言いよどんだ。
「普通は自由に散策できるよ。それに、森の中では主のお声も聞くことができる」
天空神から直接言葉をかけてもらえると知り、リリーたちは驚嘆した。
「ここの湯は疲労回復だけじゃなく、心も鎮めてくれる。ゆっくりしてきて」
そう勧め、キルクルスはエスキーとともに去っていった。七人は荷馬車を下りると、世話役の案内を受けて宿泊する部屋へ移動した。




