半魚人「ぐえー」 ETERNAL RING
※ネタバレ含みます!
第八回、PS2用ソフト、フロムソフトウェア、「ETERNAL RING」。PS2のローンチソフトです。
くらく、ハード目の内容……ではあるものの、後述する理由でゲーム初心者のかたにも是非やってもらいたい作品のひとつ。
物語は、主人公カイン・モーガンの回想からはじまります。
カインはヘインガリアという軍事国家の、王の親衛隊隊員。父親は隊長です。
ただ、父親といっても養父。カインはまだ小さかった二十年前、ソルシアとアルダインという国の戦争の際、焼け野原で泣いているところを養父に救われたのです。
カインには、「みんなは島へ行った」という古い記憶があります。
時は流れ、立派な騎士になったカインは、王様の命令で不帰の島と呼ばれる島へ向かっていました。
ヘインガリアの若い国王は穏健派。戦争で大きくなった国でしたが、むやみな戦争をよしとしていません。
しかし、政治の中枢には国を運営してきた長老達が存在し、これからもどんどん戦争をして国を大きくしようとしています。
彼らには今までの功績というものがあり、その為王は政治的な力をあまり持ちません。
カインが不帰の島へ向かっているのは、戦争大好きな長老達が、その島へ調査隊を送ったから。
表向き、滅んだ国の魔法の力をさぐる、というのが調査隊の目的です。
しかし、不帰の島には「永遠」「不滅」の魔法の力を秘めた、指環がある……そんな話がまことしやかにささやかれており、実際のところ長老達はその力を手にいれようとしているのです。
その不帰の島は、カインの生国ソルシアの民が、戦争の最後に逃げ込み、そのまま出てこなかった、モンスターがうようよしている島でもあるのです。
カインの目的はふたつ。ひとつは、長老派が送りこんだ調査隊が具体的になにを調べ、なにをさがしているのかをさぐること。
もうひとつは、自分の生まれに関係あるかもしれない不帰の島そのものの調査。
と、一応書きましたが、一人称視点で実際にプレイする段になると、特に指示もなく、いろいろと行動すれば道は拓かれますが、ぶっちゃけ最初の地点でずっとうろうろしていてもなんの問題もありません。
メニュー画面に「○日目」と、島へ到着してからの時間が表示され、時間経過で昼になったり夜になったりしますが、それもエンディングには関係ない模様。すべてはプレイヤーの裁量に委ねられ、一生浜辺でかに狩りをしていても誰にも叱られません(操作しづらいので面倒なだけ(; ̄ェ ̄))。
さていざゲームが始まると、カインは砂浜に放り出されています。武器は持っているものの、それだけ、という感じ。勿論案内人や指示してくれるナビもありません。毎度思う。フロムの主人公はどうして「今起きました」みたいな軽装で冒険へ向かうのか。
しかもその辺には巨大がにがうろうろしていて、リーチの短い剣で攻撃しようとしてもいまいちあたらないし、かにの数は多いし、うっかり足を踏み外したら海に落ちて死にます。
カインは海岸の洞窟を(モンスターと死闘を繰り広げながら)ぬけ、調査隊が駐屯している集落に辿りつきます。
そこには調査隊が居るものの、隊長が体調を崩して様子がおかしくなっており、目と鼻の先に古めかしい神殿があるものの、調査は遅々としてすすんでいません。神殿の扉前には隊員が立っていて、そちらへ向かっても最初は通してくれず、「王さまのお気にいりか( *`ω´)へん」みたいな大変に失礼な態度をとられます。
ヒーラのお姉ちゃんに洞窟での怪我を治療してもらったら、うさんくさいおっさんに話しかけましょう。武器を奪われ、短剣をもらえます。とんでもない兵士です。
しかしカインくんは頑張って水の神殿を攻略し、不思議な指環を手にいれます。その指環は指にはめると魔法がつかえるようになるものでした。
神殿の外へ出ると、集落が燃えています。優しいヒーラさんや、うさんくさいおっさん、生意気な門番など、ほぼすべての隊員が倒れていました。何者かによる襲撃……?
隊長がおかしくなって、みんなを襲った。生き残っていた隊員からそう聴いたカインは、死んでしまった隊員の墓をつくって、更に島の奥地へ向かいます。
不帰の島のモンスターは、倒すと綺麗な石を落とすことがあります。それと、土台になるただのわっかの指環を、あるところへ持っていくと、指環を作成してくれます。
カインの両手の指は全部で十本。ゲームの装備でよくある、「指環やったら十個つけたらいいやん」を解消する、攻撃用(といいつつ回復や補助の魔法もありますが)の指環がいつつ、補助の指環(属性値アップとか)もいつつの、合計十個の指環を装備できる仕様。それで相手殴ったら絶対に大怪我だよね? なメリケンサック状態です。
ちなみに、属性値アップの補助指環は、土台になるわっかがなくても石だけでつくってもらえます。
エタリンのすばらしいところが、この指環。
とにかく、なんといっても、なにはともあれ、やたらめったら、めちゃくちゃ、ひたすら、綺麗。
そう。綺麗なんです指環が。
なんじゃそらと思ったかた!
ググるのです。エタリンの指環の画像を出すのです。
あ、嘘です。エターナルリングで検索かけると、婚約・結婚指輪を製造もしくは販売する工房や会社のページばかり出てきます。ニコ動やYoutubeでさがせば見付かるかも。でも、ソフトを買って、自分でやってみるのが一番はやいですよ。
エタリンに出てくる指環は、属性ごとに分類されています。どれも超絶綺麗です。
魔法としての効果は「?」なものもあるけれど、どれも綺麗なのはかわりありません。アースヒールとホワイトドラゴンが特に好き。リングオブアビスも素敵ですね。
指環の表があるのですが、それを埋める為に隠しダンジョンでコカトリスをカツアゲし、土台になるわっかを大量に入手したり、その辺のボスよりも強いだろうモンスターを屠りまくって石を集めたりしました。だって指環綺麗なんだもん。
本筋を忘れるくらい隠しダンジョンにこもり、多分ボスより強い動く鎧とか爆発するやつなどと戦い、表をある程度埋めた(ストーリー進行しないと手にはいらない、拾うしかない指環あり)時は、とても満足感があります。
ゲーム初心者でも、きらきらしたもの、装飾品が好きなら、エタリンをやって損はなし。ていうか、楽しいです。是非やってみてくださいな。
さてストーリーの続きです。
カインは島の奥へ進み、謎の男から謎めいた言葉をいわれたり、複数の竜にあったり、モンスターになりかけの隊長に再会したり(勿論戦闘になる)、生き残りの兵が実はスパイだったり、のんきに行商に来た集団が居たり(そこから装備品をぶんどったり)、友好的なモンスターもといモンスターにされてしまったもと・人間にいきあったり、謎の女性から衝撃的な事実を聴かされたりします。
長老達が求めていた、「永遠」「不滅」のリング。
それは「なんでもできる魔法の指環」なんてなまやさしいものではありませんでした。
過去、魔法を研究し、最高の生命を求めた研究者達がつくりだした、強大な力を持った人造生命体。
その生命体は子どもで、情緒が育まれる時間もなく力をつかい、それを危険視した研究者達は賢明にも封印することを選びます。
それが「永遠に滅ぼしてはいけない環」。
危険なものを封印した、不滅のリングなのです。
時が経つにつれ、危険は忘れられていきました。
ソルシアの民達は、愚かにも人造生命体を解き放ちます。アルダインに戦争で勝つ為に。
その選択は決定的に誤っていました。力は、危険なものだから封印されていたのです。
人造生命体が情緒の育まれていない子どもであること。それを利用しようとした人間達にも、まともな理性がなかったこと。その結果は悲劇的です。
解き放たれた人造生命体は、面白半分で人間達をモンスターにかえ、モンスターにされた人間達は自我を失い暴れて、モンスターにされなかった人間達を襲いました。
生き残った人間は、不完全ながらももう一度人造生命体を封印することしかできませんでした。
カインは人造生命体の暴走をとめ、島から脱出する為、島の中枢部へ。
ボスクラスのモンスターがうようよしているし、足を踏み外したら終わりの情況ですが、なんとかラスボスの前へ辿りつきます。
ラスボスはとある行き違いでカインにぶち切れているので、問答無用で殺しにかかってきます。
隠しダンジョンで魔改造されたカインくんはさっくりとそいつを倒し、逃走。カインくんがその場を離れたあとなにがあったかのムービーが流れ、エンディングへ。
カインは国へ戻り、長老達の悪事を暴いて、穏健派の王さまが名実ともに君主になります。その傍らには、カインと、カインがつれてきたとある人物が……。
指環が素敵なエタリン。
文句はふたつ。
ひとつめ、補助指環を装備しないと走れない。
これは致命的です。最初のダンジョンをクリアしたら、走れるようになる指環が手にはいるのですが、水のなかに落ちているので見付けにくい。うっかり拾い損ねたらしばらく困ります。そのあと別の手段で手にはいるらしいですが……。
ふたつめ、かにがやたらかたい。
かたい。とにかくかたい。きんぴかのかにはちょっとした魔法なら完全に弾きます。もうあいつがボスでいいよ。
重たくて考えさせられるストーリーに、きらきらして素敵な指環のETERNAL RING。あなたも自分がつかった最強魔法にまきこまれてみませんか?(;⌒:)