お菓子を食べたらモーフィング! プルムイプルムイ
※ネタバレ含みます!
第二回、紹介するのはPS用ソフト、カルチュア・パブリッシャーズ株式会社ゲーム事業部「プルムイプルムイ」です。
キャラが可愛い! お料理できる! バトルも楽しい! な作品。
物語の舞台は、平和な地「フィリップ・サイド」。かつては高度なテクノロジーを持ったミノスというひと達が暮らしていましたが、今は彼らに仕えていたプル族が残っているのみ。プル族はミノス人達が戻ってくるのを待ち、フィリップ・サイドを平和に楽しく保っています。
ミノス人達が「女神」として崇められるようになっていた頃、プル村の外れにある女神の森に、ひとりの少女が落ちてきます。偶然村長の孫・ムイとポプリに助けられた少女は、「マドカ」という名前以外の記憶をなくしていました。ここでポプリが「女神さまみたいな名前」というのですが……。
はじめは可愛いシミュレーションゲームという感じ。マドカを操作して、材料を集め、パンを焼くところからはじまります。後ろをついてくるムイの動きが可愛い。
プル族というのは、姿形は様々。ムイは黄色いお餅のような形状ですが、動物のような格好のキャラも居るし、単純化した人間のようなキャラも居ます。お菓子やパンを売っているクリーム姉妹の可愛いこと。
プル族は「モーフ」という、いろんな姿になる能力を有しています。ムイにクッキーを食べさせればロケットほうきになって移動が楽ちん、シュークリームを食べさせれば気球になって、今まで行ったことのあるエリアへひとっ飛び。
道に迷っても、カヌレを持っていればご安心。ムイに食べさせればバス停になってくれて、レスキューバスが迎えに来てくれます。真っ黒に焦げたパンを食べさせると……。
フィールドのあちこちに、材料アイテムが湧き出るポイントがあり、時間経過で出てくるアイテムを拾うのも楽しいです。高いところにある栗や、川の向こうにあるブラックロータス、魚を釣らないと手にはいらないアンチョビなど、いろんなお菓子を用意してムイをモーフさせ、走りまわって材料をとるのも楽しい。
しかし、可愛いゲームだったのは最初のうちだけ。
しばらくプル族と楽しく暮らしていたマドカですが、ポプリが「女神」をなのるシャイナという少女にさらわれたところから物語は一転、ポプリの探索行になります。
女神の森の奥にある遺跡で女神さまに連絡をとれば、ポプリを返してもらえるのでは?
そう考えたムイと、それにひっぱられたマドカは、女神の森の奥にある遺跡へ向かいます。そこで、マドカのネックレスが光り、ママ女神があらわれます。
ドレッドノートからの攻撃が……航行不能……プル族と協力し、メダルをつかって……云々。
ママ女神はいうだけいって、姿を消します。手にはいったのはナイトのメダル。それをつかうと、マドカの服装とムイが変化! ナイト・ムイになって、敵を蹴散らせます。
でも、この敵、「ガーディアン」というのです。
そして、「管理者」。
更に、ママ女神のいっていたこと。
プルムイプルムイ、ファンタジーでファンシーで可愛らしい世界観の作品と思いきや、ごりごりのSF作品なのです。
「ミノス」とは、宇宙を移動するふねをつくるくらいの技術力を持った種族。物語のおもな舞台であるフィリップ・サイドは、どうやらミノス人がつくった保養地のようで、もしかしたらプル族も彼らの手になるものかもしれません。
ママ女神は戦艦ワルキューレの艦長・アーニスで、エネルギー異常を探知し、フィリップ・サイドにコロニス調査官を派遣。その調査官が消息を絶った為、探索に向かったところ、サイドから攻撃をうけてワルキューレは航行不能状態に。しかし予備エンジンの動力をつかって、調査員ののった転送ボールを発射。ワルキューレの修繕を急ぎつつ、調査員の報告を待っています。
転送ボールの不具合か、射出方法がまずかったのか、転送位置の計算をミスしたのか? 調査員は名前以外の記憶を失い、プル村でほのぼのと楽しく暮らしていた、ということです。
この辺は取説にざっくり書いてありますが、幼かったわたしは理解できず、スルーしていました。
可愛らしい見た目と音楽に騙されていると、時折伏線に気付いて驚きます。おばけ屋敷に居るツインテメイド・ホーリーや、酒場に居るバニーちゃんの発言など、本作が実はSFであると匂わせるものが多々。
よくよく考えれば、「光から蜂蜜を集めてブロック状にするRENGEメカ」だとか、無限にチーズの湧き出てくる貯蔵庫だとか、SFチックなハイなテクノロジーをつかったと思しい場所はあるのです。
ダンジョンの敵も、本来は安置されているメダルをまもるガーディアン。悪いやつらではありません。
テクノロジーを悪いほうにつかい、怪物を創造して「天界」を追い出されたミノス人イーバスが、本作の敵のボス。ドレッドノートという戦艦をつかってミノス本星を攻撃しようとしています。ドレッドノートの発生させるジャマーのせいで、マドカはワルキューレ号とまともに連絡がとれず、ママ女神に応援要請することもできません(そもそもまだまだ記憶喪失だし、ワルキューレも復旧にてんやわんやでそれどころではないのですが)。
イーバスは、先に調査に向かっていたコロニスを捕まえる、マドカ達の邪魔をするなどやりたい放題。メダルを沢山集めると、敵の本拠地にのりこみ、最終バトルが始まります。
見事バトルに勝利すると、ムービーが流れ、エンディングへ。イーバスは退治され、コロニスとポプリも戻ってくるようです。
さらに、おまけで没になったムービーも見ることができます。「最初はこういう設定でつくってたんだ!」と驚きますよ。
可愛いキャラがお菓子をつくって冒険を楽しむ、という、わたしの好きが詰まった、プルムイプルムイ。
難点は操作感と、お金の集めかたです。
お料理はキッチンでできるのですが、一回の操作でひとつしかつくれません。更に、持ち運べるアイテムには限りがあり、それ以上つくった場合はキッチンに保存することに。キッチンからバスケットへの移動、バスケットからキッチンへの移動も、一括でできないので地味に時間がかかる。
そしてマドカもムイも、敵を幾ら退治してもレベルは上がりません。
各地にある宝箱から、もしくはモブキャラとの会話で「ハートのケース」「スター」を手にいれると、ほかの作品でいうところのHPとMPがアップするだけ。敵との戦い、罠の回避、足場の確保など、苦手なひとはできないかもしれません。ボスも凶悪な強さで、何度死んだか。
そうなると、「天国に行きかけたマドカがあまりのまずさに生き返る」というアイテムで、死んでも生き返る、というのが楽になってしまい、最後のダンジョンにはそれだけ持ってカチコミをかけることになりがち(__;)
お金は、敵を倒すと手にはいることがありますが、ほんの少しだけ。
最初は小麦を買うのに大金が必要で、一番割のいいクリームワッフルで稼いでいました。5000プル(通貨単位。表記は占星術でお馴染みの冥王星のマーク)くらい稼いでやれやれ一安心、と思いきや、後半にメダルを手にいれる為のアイテムを高額で売りつけてくるやつが。
買うしかないので、またクリームワッフルをつくっては売り、つくっては売りすることになります。そうなると持ち運べるアイテムの制限がまた問題に。ここで面倒になって辞めたひとも多いのじゃないかしら、と思うくらいです。
苦労して手にいれたメダルをダンジョンでつかうと、うーん……ひとによってはがっかりかも。
以下は考察です。
プル族。通貨単位のプル。そして、通貨単位の表記が冥王星のマークであること。
もしかして、フィリップ・サイドがあるのって、冥王星?
ファンタジーと思いきや実は意外にしっかりしたSF作品なプルムイプルムイ、あなたもバスケットにたっぷりお菓子を詰め込んで、ダンジョンへ行ってみませんか?
それじゃあ、また今度ね♡