沢山の人に読んでもらいたいのであれば、企業努力的なことも必要です
皆様は、作品を投稿する時、どのようなスタンスで臨んでいるでしょうか?
より多くの人に読んでもらいたい?
自分の書きたいことを書くだけ?
読みたい人が読めばいい?
書籍化されたい?
皆それぞれ、色々なスタンスで投稿していると思います。
しかし、中でもやっぱり多いのは、『より多くの人に読んでもらい』だと思います。
沢山の人に読んでもらうことを目的とした投稿サイトですからね。
誰しも少なからずそんな思いは持っているでしょう。
ただ、沢山の人に読んでもらうには、色々な要素が必要となります。
それは文章力だったり、構成力だったり、宣伝力だったり、本当に様々です。
中でも一番重要な要素は、恐らく運でしょうね。
これだけ沢山の作品がある中から自分の作品を読んでもらうには、どうしても運が絡みます。
もちろん運だけでは限界もありますが、運次第では初動で万単位の読者がつくケースもあります。
大手のweb投稿サイトで読まれるためには、運はとても重要な要素と言えるでしょう。
しかし、そんな運を持っている人はほんの一部だけです。
運を持っていない人達は、それ以外の部分で勝負するしかありません。
たとえば、流行に乗ってみたり、数を書いて勝負してみたり、質を上げるよう努力してみたり、etc...
より多くの人に読んでもらうには、こういったいわゆる企業努力的なものが必要になってきます。
今回はそのことについて、少し触れていきたいと思います。
まず最初に品質、文章そのものについて。
効率よく人に読んでもらう工夫は他にいくつもありますが、まず一番最初に注目しなければならないのは文章です。
いくら宣伝などをして読んでもらえても、文章自体がお粗末ではあまり意味がありませんので。
(大体の場合、宣伝などを最初に重視すると、あとで自分が恥ずかしくなります)
とはいえ、いきなり自分の文章の悪い部分を見極めるのは難しいことです。
ですので、最低限できるラインの内容を書いていきます。
①自分で何度も読み返す
既にやっている人は多いと思いますが、あまりできていないような作品も散見します。
自分で読み返すという作業はとても重要です。
誤字脱字に気づけることもですが、内容に違和感がないか、本当に面白いかなど、自分の作品を見つめ直すきっかけにもなるからです。
これは書き上げた直後だと気づけないことも多いのですが、時間を置いて見ると不思議と気づけたりします。
ですのでオススメなのは、書き上げてから投稿するまで最低2~3日時間を置くことです。
すぐに投稿したい気持ちはグッと抑えて、読み返す時間を作れば、アナタの作品は書き上げた瞬間より必ず良いモノになるでしょう。
②小説の書き方、ルールを守る
ネット投稿の場なので書き方は自由であり、厳密なルールはありませんが、一応守った方が無難なローカルルールは存在しています。
そういったローカルルールを気にしないで読める人もいますが、当然気にする人もいますので、なるべくなら守る方が良いでしょう。
やれることをやらないで、一部の読者を離れさせるのはもったいないことです。
より多くの人に読んでもらいたいのであれば、その辺のことはキッチリしておくのが良いと思います。
ローカルルールについてはネットを調べればいくらでも出てきますので割愛しようと思いましたが、探すのが面倒な人向けに一応いくつか書いておきます。
・三点リーダーやダッシュは偶数回使う(…や・・・、―ではなく……、――を使う)
・段落の最初は必ず一字下げ(全角空白)
・感嘆符や疑問符の後には全角空白を入れる(ただしコレは実際の書籍などでは半角空白が使用されています。私は半角派)
・カギカッコの最後に句点は不要(これも教科書など一部書籍では付けられているものもありますが、ネット小説では一般的に不要)
他にも、漢字ひらがなの使い分けなど、細かなルールは存在しています。
できればご自分で色々と調べてみてください。
③自信のない言葉や単語はしっかり調べる
間違って覚えてしまっている場合は回避が難しいですが、難しい単語などは書く前にしっかり意味を調べるべきです。
意外とこれができていない人が多かったりします(中にはそれで読まれなくなってしまうケースも……)。
時代とともに常識が変わっていることもありますので、知識を披露するシーンなどを書く際は、事前に現在の情報をチェックするのが良いでしょう。
④段落をなるべく空ける
読む環境やその人の感性次第で変わることではありますが、横書きの場合基本的に段落は多めに空ける方が好まれやすいです。
文字が大量に固まっていると読みづらいと感じる人も多いですし、イメージ的にも硬いと思われて敬遠されやすかったりします。
中には段落を空けることを好まない人もいますが、スカスカになり過ぎないように適度に段落を空けるのがベターだと思います。
web小説のランキングには、上記のような企業努力的なことがあまりされていない作品も入っています。
そういった作品は、内容がとても面白かったり、流行に乗った作品だったりといった他の強みがあります。
自分の作品にそれらの作品と勝負できる強みがあるのであれば、上記のような企業努力は不要かもしれません。
しかし、多くの作品はそうではないと思いますので、やれる努力はしっかりやるべきだと思います。
次に営業、宣伝について。
昨今ではSNSなど、様々な自分をアピールできる場があります。
そういったツールを利用して自作品の宣伝をすると、一定以上の効果が期待できます。
また、ツールなどを用いなくても、活動報告に更新の報告をするだけでも良いです(活動報告が活発であれば興味を持たれることもあります)。
とにかく、投稿サイトの新着表示頼りだけにするのはやめましょう。
ただ宣伝するだけでなく、何か他に興味を惹く投稿をするのがオススメです。
やり方としては邪道かもしれませんが、何か注目してもらえるきっかけを作れば、アナタの作品が読まれる可能性もグッと上がります。
また、作者同士交流の輪を広めるのも良いでしょう。
これは悪い意味での相互幇助、相互クラスタを推奨する意味ではありません。
人の作品を読むことは自分の勉強にもなります。
それがきっかけで自分の欠点を見つけることだってあります。
そして、もし相手が同じ考えを持っていれば、それだけで自然と読む読まれる機会が増えるワケです。
相互クラスタなどと結果的には同じと考える人もいるかもしれませんが、出来上がった作品の質は大きく異なってきます。
どのジャンルでも言えることですが、人の目を意識することは物凄く成長に繋がりやすいです。
やり過ぎてそればかりになってしまうのはダメですが、少人数でもいいので交流を意識してみると良いと思います。
最後に工夫、内容の調整について。
内容については中々手を入れ難い部分ではありますが、意識できることはあります。
まず、可能であればなんらかの流行を取り入れることが良いです。
ランキングをチェックすれば、今何が流行っているかは容易に把握することができます。
その流行に乗れば、アナタの作品が読まれる可能性は高くなります。
ただ、書籍化を目指すなどでもない限りは、自分の書きたい内容を捻じ曲げてまで流行に乗るのはオススメできません。
そんなことをしていると、そのうち書くこと自体が苦痛になり、いずれは筆を折ることになるでしょう。
流行を取り入れるのであれば、あくまで無理のない範囲であることが望ましいです。
そうして書き上げた作品にも、まだチェックする点があります。
それは違和感がないかです。
違和感の意味は「しっくりしない感じ。また、ちぐはぐに思われること」ですが、作品を読んでいてこんな感想を抱いたことはないでしょうか。
私は結構あったりするのですが、SNSなどを見ていると結構同じような感想を抱いている人も多いようですね。
具体的にいくつか例を挙げると、まずは人間関係です。
web小説では、極端な性格の人間が登場することが多いです。
極端な性格の人間はそれだけでキャラが立つので重宝されやすいですが、違和感を抱かれる原因にもなります。
たとえばよくあるパターンだと、クラス1の人気者なのに性格がひん曲ってて醜悪なケースがあります。
こんなヤツが人気者とかあり得ないだろ、的な感想を抱いた人も多いのではないでしょうか。
これも違和感を抱かれる一例と言えるでしょう。
ただ、上記に挙げた例のキャラは多くの場合主人公のライバルキャラであることが多く、その辺は黙認して読み進められることも多いです。感想では叩かれまくったりしますが。
問題になるケースは、主人公に違和感を持たれるパターンですね。
よくあるハーレム系の主人公で、何故こんなヤツが好かれるんだ? というのは結構な割合で見かけます。
ランキング上位に乗る作品は、その違和感が気にならないほど面白いなどの理由で読者はついてきますが、そうでない作品だとこういう細かい部分でも読者が離れるきっかけになりやすいです。
ですので、可能であれば主人公が好かれる要素や描写を盛り込むのが望ましいでしょう。
それができないのであれば、物語の方向性を変える必要があると思います(ダークヒーローにするとか、鬼畜が売りの内容にするとか)。
他にも人気ジャンルでいくつか例を挙げていきます。
>異世界恋愛
・婚約破棄してくる男があまりにも愚かでショックを受けているのに共感できない。
>現実恋愛
・何故か惚れられる系のストーリーで、その何故の部分が全く説明されない。
>ファンタジー
・ただ強いだけの主人公に対し、全肯定感ある周囲の人物。
・転生前は完全に一般人なのに、転生後は平気な顔して人間含む生物を殺す主人公。
>VRゲーム
・何故主人公たちがゲームを続けているのかわからない(ゲーム自体の魅力が感じられない)。
・実際にこんな運営だったらこんなゲームやらない(主にソシャゲの影響でこういう読者は多い)。
・主人公だけシステムに優遇されている(他のプレイヤー目線だとクソゲーに見える。公平性が薄い)。
違和感の持ち方は人それぞれなので、他にも色々とあると思います。
万人に対応することはできないので、違和感の全てを消すことは難しいでしょう。
しかし、上記のような違和感は、作者側の工夫で薄めることが可能です。
これは読者があまりいない作品であればこそ、読者離れをおこさないために努力するべき部分だと思います。
ここまで書いてきた内容は、あくまで『より多くの人に読んでもらい』スタンスの人向けの内容です。
『自分の書きたいことを書くだけ』、『読みたい人が読めばいい』というスタンスの人にとっては、そんな細かいこと考えたくないと思われる内容だと思います。
ただ、最初にも少し書きましたが、web投稿サイトに投稿している人達はやっぱり多くの人に読まれることを意識している人が多いと思います。
そういった人たちが、今後少しでも多くの読者の心を掴めるよう、このエッセイを書かせていただきました。
ここまで書いた内容は、工夫できることの一部に過ぎません。
他にもやれること、意識することは沢山あると思います。
このエッセイをきっかけに、そういった企業努力的なことに興味を持ってくれる方がいれば幸いです。
それでは皆様、良い投稿ライフを。