表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

器用な箸の持ち方

作者: 孤独

『へーっ、斎藤ちゃんって器用な箸の持ち方をするね』


そんなことを生まれて初めて言われたのは、……小2、小3?

お腹が空いて、待ち焦がれた給食に有りつく様は女子ではなく、完全に男子と言われた。将来はポッチャリな女になるとか言われるくらいの大食いっ子。

でも、残念。

今じゃあ、武道に励んで体型スッキリな女性。

デブだの、ニキビできるだの。やることちゃんとやってりゃ、身体はそれに応えるものさ。


ガツガツ……


「おかわり!」


その習慣と癖は変わらず、ご飯のおかわりはいつものこと。


「いやー、美味しい飯!ゴチになりました!」

「お、おぅ……」


女子大生になれば、飲み会兼コンパに参加。こちとら男の顔や金よりも、出される飯に有りつくだけ。ワイワイ騒ぐのも好きだ。

空気を読んでくれやっていう男共をスルーしてのける、女達。


「あーっ、盛り上がらなかった……」

「男がイマイチ過ぎるのよ……」

「もっとこう、ノリが良いか、金持ちを呼びなさいよ」


そーなった時は飯に切り替え、酒に切り替え。収穫0では帰らない女達の強さ。男共をあっという間に見捨てて、二次会に向かう。

コンパ反省会として、粛々と


「飲むぞー、食うぞー」


女同士で盛り上がる。斎藤もその一人。

まだ食うのかって、焼きそばの大盛り。


「ソース味こそ、至高だねぇ~。元祖、定番、鉄板ってね」


飯食って、ダベって、みんなで自撮りして、……。

コンパよりも盛り上がって、翌朝には寝る。



◇        ◇



「おはよー」

「って言っても、11時だよ」


翌日、大学で昨日の友達と会う。

また今度、コンパの数合わせでも良いから、飯を食わせてとお願いしている斎藤に。


「あぁ、そうだ。斎藤さ。昨日、インスタ上げた奴あるじゃん」

「あー。そんなのしてたねー」

「それがあんたのだけ、バズってるんだけど……」


昨日の写真が掲載されたインスタグラムを見せてもらうと、確かに自分の写ってるヤケ食い加工写真に……


『食ってる量より箸の持ち方www』

『この女、箸の使い方器用過ぎーーwww』

『なんでこの持ち方で麺類食えるんだよ!』


合コンで良い男と出会わないで、ヤケ食いした(泣)という文も載せてしまっているところから、モテないだろう男からのコメントが多く来てしまった。

誹謗中傷も騒がれている近年だ。とはいえ、確かに友達もそこんところは気になっていたが、中々注意するのも難しいし、斎藤本人。飯食いメインだから……その方が好都合と思っていた。

が、友達を傷つけるコメント。本人に見せて、この際。直した方がいいと思ったが……


「不器用だけど、箸の持ち方は器用ってよく言われてたよー」


彼女にこの皮肉は通じなかった。

普通の持ち方じゃねぇーんだよ。


「あ、このあれ。消した方がいい?あんたの事ばっか書かれてるし……」

「好きにすればいいよ。っていうか、確認とらなくても良いのよ」

「いやだって……箸の持ち方をこー、見直したら?」

「えー?食べられるのに変えるの?」


周りと違うことをもう少し意識しろとも言いたい。だが、彼女の意見も分からんでもないと思えるのは、大雑把な人間である証拠。

結局、斎藤は特に箸の持ち方を変えることはなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ