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パーティ結成

20話くらいまでは毎日投稿するので、ブックマークよろしくお願いします。

 ウィットから差し出された手を握り返し、パーティを組むことを決めた。


「そういえば、あのイノシシはどうなったんですか?」そう思い、吹き飛ばされたイノシシの方を見たが、もうイノシシの死体は無くなっていた。


「ああ、あのイノシシの残骸なら、ほらそこに。」ウィットがそう言って指さしたのは、白と茶の斑点模様を持った小さな石だった。


「もしかして、魔石も知らないの?」

彼女の話をまとめると、魔物は死ぬ際に魔力の全てを魔石に変換し、肉体を消滅させるらしく、その魔石をギルドで売却することで冒険者たちは金銭を得るらしい。魔石が大きければ大きいほど価値が高いらしく、また、魔石の代わりに魔物の牙や角などを落とすこともあるらしい。


「今回のアマニチンボアーの魔石はあげるわ。別に大した金額にならないし。それにしても魔法のことについて何にも知らないなんて、これまで何してたの?」

「何って、自分には魔法が使えないと思っていたけど、実は使えたから冒険者を目指してみようかなって思った次第です。」

「使えないと思ってたけど使えたってどういうこと?急に魔法の才能に目覚めたってこと?」

「その通りです。ある日突然使えるようになりました。それで、僕からも聞きたいことがあるんですけど、なんで超初心者の僕とパーティを組もうとするんですか?何かウラがあると勘繰ってしまうんですけど。」

「ただ、私のことを知らない人とパーティを組んでみたかったってだけ。あとは、あなたの魔法、珍しそうだなってのも理由の一つだけど。とにかく、あなたが想定しているようなことはしないと誓うわ。」


「私のことを知らないって・・・、ウィットさん有名人なんですか?」

「いい意味での有名人という訳では無いわ。それより、あなたの魔法について教えてくれる?どんな魔法を使えるかを知らないと協力して戦えないでしょ。」

「あ、はい。僕の魔法は、原子を生み出す魔法です。周期表第3周期までの原子からなる化合物なら大体生み出せると思います。」

「ちょっと待って、分からない単語をいくつも並べないでくれる?」

「えっと、どこが分からないんですかね?」

「まず、原子って何?」

「え・・・、え!?原子から!?」普段、化学の研究をしている人たちとしか話していなかったが、よく考えたら、化学者以外にはこういった単語は伝わらないのかもしれない。


「原子っていうのは、簡単に言うと全ての物質のもとになっているものです。空気も私たちの体も全て原子から出来ているんですよ。それで、同じ原子が2つ以上結びついているのが分子で、異なる2つ以上の原子が結びついているのが化合物で、って何寝てるんですか!!」

「ごめんごめん、ちょっと訳分からない話し始めたからつい、ね。」

「ね。じゃないですよ。まぁざっくり言うと手から色々出ますよって魔法です。」

「本当?じゃあじゃあ、何か出してみてくれる?」

「分かりました。」僕は水:H2Oを思い浮かべ、手から放った。


「色々出るって言ったのに、これじゃあただの水魔法じゃない。それに水魔法にしては勢いが足りないから、攻撃にも使えなさそうだし。」


 そう言われたので、今度は、β-D-グルコースを出した。


「これ、甘いよ。」安全なことを示すため、僕は少しつまんで口に入れたあと、ウィットに差し出した。


「それ食べ物なの?本当?」ウィットは恐る恐る口に運んだ。


「あ、甘い。でもいつも食べてる砂糖とはちょっと違う気がする。砂糖の方が甘い気がする。」

砂糖いつも食べてるってカブトムシかよ。

「実際、グルコースよりスクロースの方が甘いので、その印象は当たってますよ。」

「グルコース?スロクース?何それ?」

「スクロースです。まぁいいです。とにかくこれで、色んなもの出せる証明にはなったでしょうか?」

「でも、これじゃあ戦えなくない?他の魔法は無いの?」

「これ以外の魔法は使えないです。ただ、生み出せる化合物の中には、触れただけでやけどするものとかもあるので、それで戦えると思ってました。」


「実際は、怒らせただけで、倒せなかったけど。」

「そうなんですよ、ただ、近接戦闘はこの能力の性質上難しそうなので、ダガーを扱うウィットさんとは相性いいと思うんですよね。」


「残念だけど、その想定は間違っているわ。まず、私の魔法にはダガーを扱うけど、近接攻撃ではないわ。」

「え?どういうことです?」

「だから、私のメイン魔法は投擲魔法なの!」

「投擲?魔法?」

「物を投げる力を増大させる魔法よ。その力をダガーに込めて投げつけることで魔物を狩っているわ。」

「つまり近接では戦えないと?」

「一応、近接で使える魔法はあるわ。」

「なんだ、それを先に言ってくださいよ。で、それは?」

「えーっと。」ウィットは言いづらそうに僕に近づいてきた。

「手、出してくれる?」よく分からないが、言われるがまま、握手のように手を差し出す。


 彼女と手が触れ合うかに思われたその時だった。「バチッ!」という音とともに、僕の手に痛みが走る。これは・・・


「あの、これって。」

「そうよ。静電気を起こす魔法よ。なんか文句ある?」

「無いです。」とてもじゃないが、戦闘には使えなさそうだった。


 幸先不安だが、ちゃんとパーティとしてやっていけるのだろうか?


・解説コーナー

 砂糖の主成分はスクロースと呼ばれる化合物なのですが、そのスクロースとはグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が合体したものです。因みにさらに強い甘味にするため、スクロースに、色々なものを合体させて(化学修飾)いったものがスクラロースという人工的につくられた甘味料で、スクロースの約600倍の甘さを持つらしいです。ジュースなどの原材料名を見てみて、どんな天然甘味料や人工甘味料を使っているかを確認してみるのも面白いかもしれませんね。


面白かった、続きが気になると思っていただけたら、評価お願いします。

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