女子会+αは続きます!
「さて、本題の歌劇団なのですけれど・・・」
「男役はハナ姉さまで、ヒロインの娘役は橙和子さまなんですよね。コウも出たいなぁ~。ねぇ、緑都江さん?」
「コウさま・・・だめですわ。れっきとした女子だけの歌劇団なのですから。」
「ふふふ、残念ですわ?」
ちっとも残念じゃなさそうです、コウちゃん!
「えっと、緑都江さんが団長なんですか?」
「ハナ姉さま、団長ってなんですか?」
「脚本とか演出をされる方といいますか・・・。出演者や役を決めたりする代表みたいなものですわ。」
「へぇ・・・ハナ姉さまは歌劇団のことをよくご存知ですのね?それも本で読まれたのですか?」
「え、えぇ・・・。庶民は娯楽が少ないですから・・・?」
笑顔が!黒いです!!コウちゃん!!!
でもその黒い笑顔もかわいい!!!
「実はまだ何もわからない状態なんですの。団長という存在もいま知りましたし、脚本や演出という言葉も初めて聞きました。ハナさまにお力沿えを頂けて本当に助かりますわ。」
あ~ついつい出ちゃう現代日本の記憶~~
あえて黙って知識を引っ張り出すのが緑都江さんのスタイルなんですね、了解です。
「さすがハナ!私の一番の友達に相応しいわ!」
橙和ちゃん・・・癒されるわ~。
腹の探り合いみたいなやりとり違って高飛車なだけだもんね・・・。
「グリッシュ帝国やメリーク連合国に対抗できる手段を考えるということが殿下とその婚約者である紫允さまに内々で与えられた勅定なのです。コウさまは殿下、私と橙和子さまは紫允さまの臣下として取り組んでいるのです。」
勅定ってことは皇帝からの命令ってことだよね?
ひ、ひぇ~~~
庶民には荷が重い~~~
「ふふっ、ハナさまには責任はありませんから自由に発言してくださいな。私たちもどのような方法が良いか本当に手探りですの。私たちにできる範囲で、という制限もありますの。學院でできることで、と考えておりますの。」
「な、なるほど。それで歌劇団なのですね。」
たしかに学芸会とか現代だと小学校からしてるもんね。
學院内でできる催し物としてはいいかもしれない。
「急激に帝国や連合国の文化は入ってきたせいで皇国の文化も大きく変わっていますから。若い力で新しい文化を、というのが皇帝のお考えですの。いまは皇国の貨幣は他国に流れてばかりですもの。このままでは国力は下がる一方ですわ。できれば外貨を稼ぎたいということですの。」
「それでしたら、他国に受け入れられやすい内容で考えていらっしゃるのですか?」
「ハナ姉さまは理解が早いですわね。その通りですの。ただ、他国の真似をしても本場にはかなわないですし、どうすればいいのかと停滞しているところですの。とりあえず歌劇団をしてみようという結論にはなったのですけど、どのような内容でどうすればいいのかがわからなくて。」
たしかにただ真似ても流行らないだろう。
皇国独自の内容で、他国からも注目を集めるような内容・・・
「あっ!でしたら剣神の話とかはどうですか?」
「剣神?」
「はい。私は剣神のことは存じあげません。庶民も同じだと思いますし流行ると思います!他国にはないけど、皇国にはあるものをテーマにしたらどうでしょうか?剣神なんて強そうだし、それにとても神秘的です!」
「たしかに皇国の価値を高めることになりそうですね。神々に守られる国を攻め入ろうなんて恐れ多いですし。かの国でも崇めている神はいるそうですから。」
「なるほど。それにまずは庶民向けに行って様子をみるというのも良いかもしれない。」
「あ!歌劇団近くにカフェーや食事処を用意するのも良いと思いますよ!他国の味を我が国の材料を用いて再現してみるのはどうでしょう?和洋折衷です!」
肉じゃがはビーフシチューを再現した料理って話も聞いたことあるし!
信ぴょう性は不明だけど。
ってか美味しいもの食べたい!
劇団で食事とかデザートとか出せたら洋風のものを作ってもらいやすいし!
和風のものならいまでも作れるよね。和菓子とかもたべたいー!
「あ、生菓子を花のように見た目も可愛くするのもいいかもしれません!餡を花びらのように飾り付けたら素敵だと思いません?いちごや八朔などのフルーツを大福にいれても美味しいと思います!」
ちょっと高いからあんまりしょっちゅう買えなかったけど、美味しかった記憶はある。
いきなりショートケーキを作るのは無理でも、和菓子系なら割とすぐ食べれそうな気がする!!
「ハナ!それってとっても素晴らしいわ!他国のお菓子であるカステラやバターケーキ、バームクーヘンも美味しいけれど、やっぱり皇国のものが一番よね!」
ん?!これは意外とショートケーキが食べれる日も近い?!
でも、まずはすぐに食べれそうな和菓子をアピールせねば!!!
甘いもの、食べたくなってきたー!!!!
「バターがあるのでしたら餡子とバターの最中など組み合わせたお菓子も美味しいと思います!このアイスも最中にはさむとまた格別の美味しさがありますよ!お菓子の組み合わせは無限大です~!あ!バターがあるなら生クリームもありますか?どら焼きに生クリームも最高ですよ!観劇中に食べられるような音がしないお菓子を売り出すのも一興です!」
ね?ね?だから作ろう、美味しい和菓子!そして私に食べさせて!!
「ハナ!あなたって最高!!ぜひ食べてみたいわ!あ、そうだわ!観劇中に食べるお菓子に可愛らしいデザインの落雁なんてどうかしら?」
「まぁ!素晴らしいです!小さい花型のものが良いかもしれません!あ、出演者をイメージした色と形なんていうのもいいかもしれませんわ!出演者を応援する気持ちを形にするのです!」
そうやってお菓子を普及し、職人を大量に増やせば学院を卒業したあとも美味しいお菓子が食べ放題・・・!むふふ!
「いいわね!!実際に作って食べてみたいわ!どうすればいいかしら?ハナをうちに招待すればいいかしら?となると、まずはお父様に話を通さないとだから、一ヶ月くらいかかるかしら?」
一ヶ月?!むりむりむり、まてない!
私はいますぐ甘いものが食べたいの!
「それなら、學院で部活動をしてはどうでしょうか?!そうすれば紫允さまもご一緒できますし!あ、寮の食堂を借りて自分たちで美味しいものを作って食べるお茶会みたいなものもいいかもしれません!善は急げ、です!!」
「まぁぁぁ!素晴らしいわっ!紫允さまもお喜びになるわ!」
橙和ちゃんと二人でテンションをあげて話し続ける。
「・・・緑都江。今後はハナと橙和子を組み合わせて自由に話させる方向でいこうか。私たちは二人の会話を実現させることを考えよう。ハナは我々を警戒するあまり、思うままに話せないようだ。」
「そうですね、コウさま。学友に警戒されるなんて悲しいですこと。でも致し方ありませんわね。部活動の件は私を部長にしてこちらで進めますわ。コウさまとしてなら参加を許してさしあげますわ?ハナさまは男性はあまりお好きではないようですもの。」
「・・・仕方ないな。まぁ、間諜の任務で女装することも多いし、技術を磨くためだと割り切ってさせてもらうよ。コウを副部長にしておいてくれるか?我々の登校日を茶会の日にしてくれ。」
「ふふ、かしこまりましたわ。女子会部ということで設立しますから、殿方はご遠慮いただくようお伝えくださいませね。」
「・・・承知した。剣神のことについては殿下に劇として庶民や他国に伝わっても良いかを私から確認しておこう。」
「お願いしますね。それにしても・・・和洋折衷、でしたかしら?ハナさまは面白い言葉をご存知ですわね。でも、いまの皇国に必要なのは自国と他国の文化の折衷というのはそうですわね。」
「うむ。他国の文化を取り入れようとするあまり、皇国の文化を蔑ろにしていることに気づかされた。ハナ・・・面白い女だ。」
「ふふ、そうですわね。でも、ハナさまは女性ですから紫允さまの味方であることをお忘れなく。」
「ふっ、だがハナは『コウ』を気に入ったようだ。必要に応じて対応させてもらうぞ。」
「あらあら。私もですけれど橙和子さまに頑張ってもらわなくてはね。」
そういってクスクス笑う二人の会話は私(ついでに橙和ちゃん)には全く届いていなかった。