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悪役令嬢(仮)と遭遇できました!!!

ようやくヒロインの名前がでてきました笑

赤巻紙青巻紙黄巻紙・・・!


昨日の早口トリオとの遭遇は不運だったが、皇太子殿下とお会いできたのは素直に嬉しい。


ただの平民が殿下とお言葉を交わす機会なんて一生に一度あるかないか・・・というかないし!


まぁ、クラスメイトだからまた機会があるかもしれないけれど。



今日は入学式だ。


といっても、入寮式がセレモニーの意味合いが強い。なので入学式のあとは普通に授業が始まる。


私は白のセーラーワンピースにベレー帽をかぶる。


「自分でいうけど、黒髪清純派アイドルの鏡だわ~」


理想の女の子が鏡の中にいるのに、それが自分だなんて!


悲劇なのか喜劇なのか・・・!



とにもかくにもクラスに向かう。


特別クラスの女の子と仲良くなれたらいいな。


お姉さまもほしいけど。


閉まっている扉の窓部分から、教室の中を覗き込んでみるが、まだ誰もいなかった。


とりあえず、早口トリオにあわずにすんでほっとする。


「あらっ!平民というものは扉の開け方をご存知ないのかしらね?」


ギギギギ・・・


そこには橙色の髪に高飛車あるいは高慢という言葉が似合うツリ目な美少女がいた。


「扉というものは開けて入るものですわ!それとも平民の家には扉がありませんの?」


このように開けるのよ、と優雅に扉を開ける。


「ごきげんよう!・・・ってあら?誰もおりませんわね。」


「そ、そうですね。」


とりあえず返事した方がいいよね?


「あら、そういえばわたくし、ご挨拶もまだでしたわね。ごきげんよう、平民さん。」


「ご、ごきげんよう・・・?!」


あ、あこがれの!生のごきげんようをいただきました!!!


しかも!


こんな美少女に!!!


橙色という派手なカラーリングおよび性格が激しい美少女!!

乙女ゲーだし、悪役令嬢ポジかな?

まさかのヒロイン(わたし)の隠し攻略対象キャラだったりしないかな・・・?!


そう思って私は橙の美少女をじーっと見つめて観察する。


「な、なんですの?平民といったのはあなたが名乗らないからですわ!あいにく、平民の名を事前に覚えるほど暇ではございませんの!」


ちらっと私をみる目はなんだか不安げな気がする。


・・・ん?


これはもしかして、私の名前をきいているのだろうか?


「これは失礼いたしました。私は二条 墨花(にじょう すみか)と申します。」


「そ、そう。親しい者はあなたのことをなんと呼んでいるのかしら?」


「そうですね、そのまますみかと呼ばれることが多いですが、最も仲の良い者にはハナと呼ばれております。」


「ま、まぁ、なんて馴れ馴れしいのかしら?!でも、まぁ呼んで差し上げてもよろしくてよ!感謝なさい、ハナ!私のことも愛称で呼んでもよろしくてよ?!」


ふんっ、と斜め上に目線を向けながらふんぞり返る橙色のご令嬢。

いや、べつに愛称で呼んで欲しいとか頼んでないんだけど。


そしてまたちらっとこちらを見る。

・・・あれっ、もしかしてツンデレ枠かな?!


「あ、ありがとうございます。嬉しいです。」


でも、ごめんなさい。

私、庶民すぎて高貴な方々の愛称どころかお名前も存じ上げません!!!


いや、ほら。

お姉さまからお目通し(妹のスカウト)をもらってから、交流を深めるスタイルで考えてたから。

平民に高貴な方の名前を事前に知る方法なんてないから!


ちらっちらっと橙色のご令嬢がこちらをみる。

あれっ、これ呼ばれるのを待ってるタイプだ?!


やっぱツンデレ枠?!?!隠しキャラ?!

いや、乙女ゲーの隠しキャラが女の子なんてやっぱないよね・・・。

いやいや、でももとが百合ゲーだしワンチャンあるかも!?


逆に?!乙女ゲーのことは知らないからこそ希望を持って生きるのもありでは?!?!


橙和子(とわこ)さま。お嬢様にはそもそも愛称なぞ存在しないではありませんか。初めてのお友達を困らせていけませんよ。」


いつの間にか現れた緑髪の清楚で慎ましやかな女の子が諭すように話す。

橙髪のツンデレ枠は橙和子ちゃん!よし、覚えた!!

ってか、この緑髪ちゃんもめちゃくちゃ美人さんだな!


緑都江(みづえ)!!」


真っ赤になって怒った表情を浮かべる橙和子ちゃん。

やっぱツンデレ枠はこの子で決定だな。かわいいよ、橙和子!


「お嬢様が失礼いたしました。私は野宮 緑都江(のみや みづえ)と申します。私もクラスメイトにはなりますが、花山院 橙和子(かやまいん とわこ)さまのお世話をさせていただいております。お嬢様はこのとおり斜め上方向に素直な方ですので、ハナ様のようなお心が広いご友人になっていただけたことをとても嬉しく思います。私のことは緑都江とお呼び下さいませ。どうぞよろしくお願いいたします。」


深々と頭を下げる緑都江さん。

さりげなく橙髪美少女ちゃんのフルネームも教えてくれる。

できる女だ・・・!!!


ってかさりげなく橙和子ちゃんに対する評価が辛辣だな?


「ちょ、ちょっと緑都江?!ちがうわ!!私が!友人になってあげたのよ!」


橙和子ちゃん・・・友人というのは認めてくれるんですね・・・。

しかも緑都江さんからのさりげなく辛辣な評価にはお気づきではない・・・?


「さぁ!ハナ!!私の友人という喜びをかみしめてご覧なさい!」


ワクワクとした表情でチラチラこちらをみる橙和子ちゃん。

あれ、もしかして愛称で呼んでってことかな?


「えっと・・・ありがとうございます、橙和…ちゃん?」


これでいいのかな?


ちらりと表情を伺う。


「と、と、橙和ちゃんですって・・・?!」


真っ赤になった橙和ちゃん。


あれ?ダメだったかな?無難な愛称だと思ったんだけど・・・。


「さ、さすがにちゃん付けはだめでしたよね。橙和さまならどうでしょうか?」


あわてて付け足す。


「べ、別にさっきの呼び名のままで構いませんことよ?!私は心が広いのですから!!」


「そ、そうですか・・・?」


耳まで真っ赤になった橙和ちゃん。本当にいいのかな?


「良いのです。お嬢様は初めてのお友達に初めてのちゃん付けで呼ばれて大変お浮かれになっているだけです。どうかお気になさらず。」


「ちょ、ちょっと緑都江!ちがうわ、これはただ体温調節がうまくいってないだけでしてよ!」


ふんっと斜め上を見上げる橙和ちゃん、慎ましく斜め後ろに控える緑都江さん。


・・・この二人のカップリング、キマシタワー!!!


ツンデレ令嬢の手綱を握る、クール毒舌の側近。


お、おいしい・・・!


同級生だから私のお姉さまにはなってもらえないけど、男女混合クラスという地獄での希望の光(百合)を得た私は神に感謝するのだった。



乙女ゲーの世界なのにメイン攻略キャラよりさきに女の子キャラの名前がでてくるあたりにヒロインの百合への執念を感じますね・・・笑

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― 新着の感想 ―
[良い点] ああ。 なんて素敵なの。 そのような大きな潜在的な愛の興味!
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