攻略対象と遭遇してしまったようです・・・。
評価&ブックマークありがとうございます!!
日課のなろう小説日間ランキング廻りをしていたら、自分の小説が後半の順位ではありますが掲載されていてとっても嬉しかったです!!!
タイトルの割に乙女ゲー要素があんまりにも入ってないなぁ~・・・と思ったので加えてみました。
お楽しみいただければ幸いですヽ(*´∀`)ノ
お、おちつけ私・・・。
学園長の挨拶をBGMに、深呼吸を繰り返す。
学園長の話によれば、男子生徒が学園に通うというのは、皇太子さまの発案らしい。
皇太子さまは皇国民はすべからく愛すべき民であり、男女間に不平等があるということを知り、嘆いたそうな。
男女平等を実現し、皇国民が性別に関係なく幸福を享受できるよう自ら実践すると強い意思を持ってこの学園での男女共学クラスを導入されたそうな。
ただの平民である私が百合ゲーじゃないやら乙女ゲーなんて冗談じゃないやらなんやら文句をいうなんてできない感じ・・・。
とにもかくにも無事に入寮の説明会はおわった。
ま、まあ乙女ゲーだとしてもあんまり攻略対象と交流しなければ大丈夫だろう。
好感度をあげなければ仮に私が乙女ゲーのヒロインだとしてもモブ扱いになるはず。
というか、そうじゃないと困る。
だって私は別に男に好かれたいとかないから!
現代日本より男女差別が激しいこんな世の中じゃポイズン!!!
打ちひしがれながら私は自分の寮に戻るため、歩き出す。
「あっ・・・」
憔悴していたためか、階段を踏み外してしまった。
「危ない!」
そのとき、逞しい腕が後ろから私をすくう。
「大丈夫でしたか?」
私の体を引き寄せ、クールに優しく問いかけるこの人は!
皇太子殿下側近の早口トリオの青髪の公家かなんかのクールイケメン枠のなんちゃらさん!!!!
「え、えぇ。大丈夫です。ありがとうございます。」
私は軽く頭を下げ、お礼を述べる。
「前代未聞の成績トップの平民ってお前か?」
青髪なんちゃらさんの肩に軽く腕をのせ、不躾に私を見下ろしてくるこの人は!
同じく皇太子殿下側近の早口トリオ、赤髪の士族かなんかのヤンチャイケメン枠のなんちゃらさん!!!
「せ、成績の順位については私は存じ上げませんが、平民であることは確かです。」
私はとりあえず頭を下げたまま答える。モブ平民の態度ってこんな感じでいいのかな?!
「頭でっかちな真面目ちゃんかと思ったら可愛くておっちょこちょいなんだ~?」
赤髪なんちゃらさんの背中からひょこっと顔をのぞかせ、にっこり笑うこの人は!
同じく皇太子殿下側近の早口トリオ、黄髪で華族かなんかの小悪魔イケメン枠のなんちゃらさん!!
「お前たち。あまり女性を困らせてはいけないよ。」
赤髪が困ったように、青髪が不服そうに、黄髪がいたずらっぽい笑みを浮かべる。
あ、あなたさまは!!メイン攻略対象の白髪紅眼の皇太子殿下!!!
私はほぼ土下座といって過言ではないくらいに頭をたれる。
ベレー帽が落ちたが仕方ない。
万有引力があるから!!!
「ふふふ、学園内ではみな平等だ。そこまで畏まる必要はない。いずれは皇国民すべてが平等になるようする努力するつもりだ。まずは学園内だけでも平等にしたいという思いを汲んではくれぬか?」
殿下ー!!
めっちゃイイ人じゃないですかー!!!
でも、なんかトリオから威圧オーラを感じる・・・!
「んじゃ、うちらマブダチね!しくよろ!」なんて言った日には不敬罪で捕まりそうだからごめんなさい!
あと、乙女ゲーのフラグはたてたくないんです。
そういうわけで。
「お心使い、感謝いたします。それでは失礼いたします。」
私は人生最速でベレー帽を拾い、90度に頭をたれたまま後進した。
令嬢の作法ではないだろうが、平民としては正しいと信じたい。
ほら、大名行列とかだと平民は通り過ぎるまでずっと頭を下げないといけないって映画でみたことあるもん。
私、てっきり百合ゲーのモブだと思ってたから、上級階級のトップと接する勉強なんてしてない・・・。
あと乙女ゲーのフラグの折り方も知らない・・・!
ついでにいえば前世から喪女だから男性との接し方もしらない!まぁ、女性との接し方も知らないけどそこは妄想済みなので!!
私は不可抗力により攻略対象との接触を図ってしまったが、好感度はあげずにすんだととりあえずは安心する。
いや、だって90度で腰を曲げたまま後進する女子ってどう考えてもお近づきにはなりたくないだろう。
はっ、でもまだ見ぬお姉さまに見られてたらどうしよう!?
百合ゲーとはいえ、モブだからお姉さまに見初められなきゃ姉妹になれないのに!!
「あ、いまは乙女ゲーのヒロインか・・・。」
ちゃんと姉妹制度あるのかな、この学校・・・。
ってか、攻略対象の名前はもちろんイベントとかも知らないや。
異世界転生のアドバンテージなさすぎでは?
「予定通り、女學院物語なら無双できたのに・・・」
私は寮の窓辺で人知れず悔し涙を流すのだった。