神様、ガッデム!!
誕生日プレゼントは勉強道具にしてもらった。
一緒に買いに来ていた母親はめちゃくちゃ驚いていた。
両親に街で女学生をみて憧れを持ったこと、女学校に入学できるように頑張る決意を伝えた。
女が勉強できるのはよろしくないと苦言もあったが、教師を目指して家にお金を入れたいからとなんとか説得した。
私は長女で弟、妹が多いこともあり、しぶしぶながら認めてくれた。
前世を思い出したせいかわからないけど、男尊女卑が激しいこの時代の男と結婚したいなんて思えないし。
ひとりで自立した生活を送るためにも女学校に行くことはとても良い案だと思えた。
現代日本も女性差別はあるけど、大正時代は女性であるだけで学ぶことさえ難しいのだ。さらに大学は男性の教育を高めるものであり、女性には入学さえ許されなかった。
なので、ルジャポン皇国で女子が高等教育が受けられる学校は上級階級の女子が良妻賢母を目指すための一校だけしかない。
平民の奨学生制度はお情けで導入されている程度で該当者がいなければ入学がない年もある。
私はその日から必死に勉強した。尋常小学校は男女ともに通うが、三年生からは男女別のクラスとなり、カリキュラムもちがう。女性は手芸や料理など男性のための教養がメインだった。
なので、私は士族出身の女の先生に女学校に進学したいと相談し、個別で勉強をみてもらっていた。
先生、本当に大好きです!!!(いろんな意味で)
生徒会のような自主活動、園芸クラブなど先生の目にとまりやすい課外活動も頑張った。
品行方正な真面目な女性といえば=私、みたいな。
無事に内申点もクリアし、推薦状を書いてもらえた。
入学試験も無事に受けることができた。
現代日本で大学どころか大学院まで出た私にとっては余裕だった。
あとは合否の結果を待つだけ。
発送日当日、私は玄関で通知が届くのをひたすら待った。
合格だとは思うけどまさか落ちたとかないよね・・・?
当たり前だけど、ただの平民の私には浪人なんて無理なんですけど?!
待ちすぎて不安になっている私にようやく届いた通知。
おそるおそる見ると・・・合格だった。
やったー!!!
これでお姉さまといちゃいちゃライフがはじまるー!!!
私はウキウキで入寮日を待った。
この女学院は全寮制なのだ。
無事に入寮の許可がおり、部屋に入ると白色のセーラーワンピースの制服そしてベレー帽が置いてあった。
・・・え?なんで?
これは「女學院物語」の方だから制服じゃなくて着物に女袴のはず。
「虹ノ宮女学院物語」だとしても、白色のセーラー服だけど上下は分かれていたし、ベレー帽なんてなかった。
制服を手にとると紙が置いてあることに気づく。
「特別クラス配属の者は必ず此制服を着用するやうに。」
特別クラス・・・?はて・・・?
どっちの百合ゲーでもきいたことがないけど、そういうのがあったのかな?
よくわからないがとりあえず制服を着て、入寮説明会に向かう。
なぜか着物に女袴がほとんどで、私の来ている白色セーラーワンピースの生徒は数人だけだった。
そこにはなぜか白色の学ランを来た見目麗しい男子生徒が数人いた。
・・・なぜ、女の楽園に男子生徒がいるのだろうか?
そして始まる説明会。
驚愕のお知らせがあった。
なんと今年度から男女平等を実現するため、男子生徒と共学を試験的に開始するとのお知らせだった。成績優秀者上位3名の女生徒と同じクラスで学ぶという。
えっ?突然すぎでは?
「なんと記念すべき初年度には皇太子さまが通われる。ご学友となる誉れに感謝するように。」
・・・皇太子?
思わず白ラン集団をみる。
白ランと男子生徒で頭がいっぱいだったけど、よくみてみれば。
彼らの頭は白髪、青髪、赤髪、黄髪・・・と大変なカラーリングだ。
っていうか、もしかしてその共学で学ぶ成績優秀者って・・・私?!
白のセーラーワンピースの制服着ているのってたしかに数人だし。
んっ?!
ちょっと待って。
そういえば、あの百合ゲー、大ヒットしすぎて乙女ゲーバージョンも配信したって宣伝していたような・・・?
目を瞑って必死に思い出す。
そうだ、白髪赤眼のイケメンをメインにしたイラストがあったはず。
その周りを囲むのが・・・赤髪、青髪、黄髪の三人だ。
赤巻紙青巻紙黄巻とかけて早口トリオといわれていた。
ヒロイン・・・ヒロインは白色セーラーワンピースに黒髪パッツン前髪のミディアムロングの清純派アイドルっぽい子だった。
んんん?!
あれ、なんかよく鏡でみるぞ・・・?
いやいやいや・・・私じゃないよね?
あわてて同じ白色セーラーワンピの子をみるが見慣れた色はない。
く、黒髪なのは私・・・だけ?!
ちょっとまってー!!!!
着物に女袴の子、みんな黒髪だよ?!
なのになんで!!!
白制服組の頭はカラーばっかりなの?!
憧れの百合ゲーだと思ったのに!
モブでもお姉さまができるように中身も外見も磨いたのに!!
まさか乙女ゲーの世界だったなんて!!!
しかもヒロイン!!!!!
神様、ごめん。
私が女だから、神様も気を使って乙女ゲーの方に転生させてくれたんだよね。
たしかに100人の村人がいたら89人が異性愛者って絵本でも言ってるもんね。
そりゃ、神様だって私が異性愛者だって思い込んでも自然なことだよ。仕方ないよね。
でも、あえていわせて。
神様、ガッデム!!!!
彼女はきっと乙女ゲーのヒロインという立場を放棄して、お姉さま探しに没頭すると思います笑
名もないヒロインの物語にお付き合いいただき、ありがとうございました!
一応、ここで短編(導入編)としては終了です。
お楽しみいただけた方は続きをお楽しみいただければ幸いです♪