師匠との約束
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寿司に満足した師匠は、次に肉を食べさせてくれとねだってきた。
「さてさて、どんな肉を食わせてくれるんだ?」
「今日は特別なやつを用意しましたよ。今のところ、俺がこの世界で一番美味しいと思ってる肉を用意しました。」
「ほぅ!!それは楽しみだな。ちなみに、その肉はよくあるブランドの牛肉にも、引けを取らないぐらい美味いものか?」
「向こうにあるどんな肉にも、引けを取らないほど美味しいですよ。俺が保証します。」
そう言いながら、俺はマジックバッグから巨大なサラマンダーの肉の塊を取り出した。
「おぉ!!デカい肉の塊だな!!」
目をキラキラと輝かせて、宝石のように輝く肉の塊に見入る師匠。そんな彼女に俺は一つ質問を投げかけた。
「師匠、これ何の肉だと思います?」
「何の肉……む、難しい質問だな。少なくとも鳥には見えないが、豚肉……にも見えんな。ということは牛肉か?」
「残念、それも外れです。正解は……サラマンダーっていう魔物の肉でした。」
魔物の肉と伝えると、師匠は衝撃で目を大きく見開いた。
「ま、魔物の肉が食えるのか!?は、腹を悪くしたりしないのか?」
「大丈夫ですよ。こっちの世界には、ちゃんと魔物の肉を食べる文化はあるんです。」
「そ、そうなのか。」
そして師匠の前でサラマンダーの肉を切り分けて、カセットコンロで温めたフライパンで焼いていく。
「ふぉ……おぉ〜いい匂いがする。」
表情を蕩けさせながら、師匠は必死に匂いを嗅ごうと鼻をヒクヒクと動かしている。
「焼き加減はどうします?」
「お、オススメは?」
「レアがいい感じかなって思います。」
「じゃあレアを頼むぞ!!」
「わかりました。」
高温で両面に焼き色を付けて、すぐに火から離し常温で休ませる。
そして落ち着いたところで肉を切り分けると、包丁を入れた瞬間に肉汁がジュワッと溢れ出してくる。
あまりにも食欲をそそるその光景に、師匠は何度も溢れ出しそうになるよだれを、必死に飲み込んでいた。
「今回は肉の味をダイレクトに味わって欲しいので、塩と胡椒だけで味をつけました。」
「わ、わかった。は、はやく食わせてくれ!!」
「熱いかもしれないので、ゆっくり食べてくださいよ?」
切り分けたサラマンダーのステーキを、師匠の口元に箸で持っていくと、師匠は一口で全部口の中へと入れてしまった。
そしてそのまま咀嚼する間もなく、カッと大きく目を見開く。
「し、舌ごと溶けた!?」
「ははは、そう錯覚するぐらい口の中で溶けちゃいますよね。」
「こんな肉は初めてだ……。こんなものがこの世界には存在しているのか。」
「もしかすると、もっと美味しい肉がまだあるかもしれません。」
「そいつは楽しみだな……。」
「師匠が死の女神の縛りから解かれたら、みんなで探しに行きましょう。」
そんな約束を俺は師匠と交わすのだった。
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