魔法使いナルダ
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カリンがいるという場所へと向かって走っていると、リリンが隣を並走してきた。
「聞いたわよ、ナルダって魔法使いが来たんでしょ?」
「あぁ、そうみたいだ。」
「この国にはお世話になったし、私も手伝うわ。」
「助かるよ。」
そしてリリンと共に、カリンの元へと向かうと……まだ戦闘は始まっていないようで、彼女は仁王立ちしてある方向をじっと見つめている。
「来たか社長。」
「ナルダはまだ来てないんですね?」
「あぁ、だが……かなり近くまできているぞ。底知れぬ深淵を覗いているかのような、この異質な魔力は奴に間違い無い。」
「そういえば、レイがここに移動魔法を使ったんですけど……なんか妨害されてるみたいで使えなかったんです。それもナルダの仕業ですか?」
「恐らくな。此方も魔法があまり上手く扱うことができぬ。」
カリンは手のひらに炎を出してみるが、すぐに弱々しくなって消えてしまう。
「社長、やつが来る前に作戦を立てておこう。見ての通り、此方も魔法が使えぬ。リリンも使えぬだろう?」
「そうね。」
リリンも自分の武器の大鎌を出そうとしてみるが、まるで草刈りの時に使うような鎌しか出せないようだ。
「そういうわけで、やつと今真っ当に戦えるのは体術を極めている社長ぐらいなものだ。」
「……つまり、ナルダを消耗させればいいって事ですね。」
「その通り、社長の相手に手いっぱいになれば、この魔法を使えぬようになっている空間も崩れるはずだ。」
「わかりました。」
そして打ち合わせが終わったところで、目の前の空間にピッ……と横一文字に亀裂が入った。
「来るぞ。」
そこから、ゆっくりと一人の若い女が姿を現した。
「手厚い歓迎だな。転生者に、裏切り者に…………ん?貴様は誰だ?」
「此方を覚えておらぬ……か。まぁそれも良いだろう。これから貴様の脳に刻んでやれば良いだけのこと。」
「魔法が使えないのに、何かできるつもりでいるのか?」
「フン、魔法が使えなくとも此方らエルフには長い年月を生きた知恵がある。」
「年の功とでも言うつもりか?それならば私にもあるぞ。」
「貴様のその体は他者から奪ったものだろう。それで年の功を語るなど烏滸がましいにも程がある。」
「負け犬の遠吠えにしか聞こえんな。……さて、無駄話は終わりだ。イース様の依り代をこちらに返してもらうぞ。」
すると、魔法陣が大量にナルダの周りに展開された。
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