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転生料理人の異世界探求記(旧)  作者: しゃむしぇる
第5章

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弟子vs師

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 三日後の夕刻……俺がエルフの集落の入口で師匠が来るのを待っていると、森の中からゆらりと見覚えのある立ち姿の人影が現れた。


「約束通り、私を待っていてくれたんだな。」


「そりゃあ……大恩人の師匠のお願いでしたから。」


 こちらにゆっくりと歩いてくる師匠の動きは、どこか歪だ。自然な動きではないように見える。


「私も全力で抗ってはいるんだが……どうも命令のほうが強いらしくてな、少しばかり動きを鈍くすることぐらいしかできない。」


「それだけで十分ですよ。」


 ゆっくりと近づいてくる師匠へと向かって、俺は慣れ親しんだ構えをとった。すると、それに応じるように師匠も同じ構えをとる。


「私への配慮なんざ考えるなよ?四肢をすべてへし折ってでも、私を止めるつもりで来い。」


「わかりました。」


 そう言った直後師匠は音もなく、まるで間合いをハサミで切り取ったように、俺の懐を侵略していた。


「痛いぞ?」


 懐を侵略する動きに繋がって繰り出されたのは、シンプルな中段突き……。だが、シンプルと言うにはあまりにも高威力なものだった。


「喰らいませんよっ!!」


 その中段突きを受け流しながら、勢いを利用して投げ技を仕掛けようとするが……。


「っ!?」


 師匠の体はまるで巨木を背負っているかのように、ちっとも浮き上がらなかった。


「ありきたりな反撃は通用しない。特に私が教えたものはな。」


 そして投げ技を仕掛けて体勢が悪くなっている所を掴まれ、逆に豪快に投げられてしまった。


「ぐぅぅっ……。」


 何とか受け身は取ったものの、全身がビリビリと痺れている。痛みに呻く暇もなく、師匠の追撃が放たれる。


「すぐに起き上がらないと、危ないぞ。」


「くっ!!」


 痛みの走る体を無理やり動かして、その場から何とか逃れる。俺が動くとほぼ同時に、さっきまで俺の顔があった場所に、師匠の踵がめり込んでいた。


「ん、よく避けた。」


「はぁ、はぁ……それ、本当に動き阻害してます?」


「しているつもりだ。」


「つもりじゃダメなんですよねぇ。」


 やはり普通の体術じゃ、全く刃が立たないな。アレを使うしかない。


「普通にやったら全く勝ち目が見えないんで、使わせてもらいますよ。……龍桜。」


 俺は、散桜と龍化を同時に発動し、一気に身体能力を極限まで引き上げた。すると、それを見た師匠がニヤリと笑った。


「出たな。」


「師匠には使うなって、口酸っぱく言われてましたけど、散桜のデメリットは俺なりにカバーしましたよ。だから……文句はないですよね?」


「あぁ、もちろんだ。」


 なぜだろう、師匠は止めてほしいと言っているのに、表情はとても楽しそうに見える。


 ……気のせいか?



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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