魔力切れによる反動
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元に戻った少年のことを、俺自身龍化を解きながら抱きかかえて着地すると、カリンがホッと一つ安堵のため息を吐いていた。
「ふぅ、何とか通じたか。大量の研究資料に目を通した甲斐があったというものだ。」
「今の魔法は普通の魔法じゃないんですか?」
「研究資料によると、普通の魔法にはずいぶん耐性があるらしいからな。即興で耐性を少しでも貫通する魔法を作らせてもらった。」
カリン曰く、研究資料に目を通した結果…この少年は魔物化すると物理攻撃にも魔法にも随分と耐性が上がるらしい。故に普通の魔法では眠らせることはできないと彼女は判断して、即興でオリジナルの魔法を作り上げて放ったらしい。
「ま、おかげで此方の魔力残量はギリギリだ。」
パチンと彼女は指を鳴らすと、俺たちの足元に大きな魔法陣が展開された。そしてそれが眩い光を放つと、俺たちは一瞬にしてカリンの屋敷に転移して来ていた。
「ぶはぁ…久方ぶりに魔力切れだ。頭がガンガンするようだ。」
よろよろと頭を抱えながら彼女はソファーにもたれかかった。
「この子はどうします?」
「ひとまずは人間の国王と話し合ってみる必要があるだろう。この少年の母親を一応探してやらねばならんしな。」
「そうですね。」
「それまではこの少年は此方が面倒を見よう。眠らせることのできる魔法を扱えるのは此方だけだからな。」
今のところこの少年が暴れたときに抑えられる魔法を扱えるのはカリンだけ。彼女以上の適任はいないだろう。
「おそらく今日一日は目を覚まさんはずだ。またこの少年が目を覚ました時は、社長も交えて一度話をしよう。では、今は解散とする。社長も今日は休んだほうが良い。」
「わかりました。」
そしてカリンと別れて屋敷を出ると、俺にも魔力切れの反動が襲い掛かってきた。
「ぐっ……頭が痛い。」
ふらふらとしながら歩いていると、ポスっと柔らかいものに顔を受け止められた。
「あ、あなた様……ふらふらしていますけど大丈夫ですか?」
「ふ、フィースタか。すまない、ぶつかってしまった。」
「私は全然大丈夫ですけど、あなた様の方がずいぶんお辛そうです。」
「だ、大丈夫……ちょっと魔力がなくなってるだけ。」
「魔力切れ!?いったい何を…と、とにかく休まなきゃダメです!!私の屋敷に連れていきますから!!」
もはや体に力も入らなくなって、俺はずるずるとフィースタに引きずられていった。
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