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転生料理人の異世界探求記(旧)  作者: しゃむしぇる
第5章

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ユリの贈り物

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 今日用意していた在庫が無くなり、人間の国での営業は大成功に終わった。この国でこれだけ人気が出るのなら、明日獣人族の国で営業をしてもきっと彼らの心を……いや、胃袋を掴めるはずだ。


「よし、みんなお疲れ様。よく頑張ったな。」


 そう声をかけると、彼女達はつかれた表情を見せずに、ニコリと笑った。


「もっと疲れるかと思っていたが……意外といつもと変わらないかもしれない。」


「ここに来てくれた人は、みんな美味しいものを求めて来てる。その目的は、エルフも人間も同じだからな。」


 普段相手にしてるエルフとは、話す言語や容姿は違うが、ここにあるものを食べたいという目的は、みんな同じ。だからこそ、普段とは何も対応は変わらないのだ。


「さて、みんなどうだったかな?この調子でこれから他種族の国で営業はできそうか?」


 そう問いかけると、社員のみんなは嫌な顔一つせずに頷いた。


「ありがとう。もし途中でやっぱりエルフの国の営業に戻りたいとか……そういう気持ちになったら遠慮なく言ってくれ。」


 嫌なことを無理にやらせるのは俺の方針には合っていない。この会社のモットーはあくまでも無理なく、楽しくだ。


「それじゃあ、帰ろうか。みんな結晶は持ってるな?」


 みんな各々ポケットから、エルフの国へと繋がっている転送の結晶を取り出した。そしてそれを使おうとした時、ユリがこちらへ駆け寄ってくる。


「しゃ、社長!!帰る前に少し時間をもらっても良いだろうか?」


「ん?どうしたんだ?どこか行きたいところでもあるのか?」


「い、いやそういうわけではないんだが……。す、少し失礼する。」


 すると、ユリはこの国に来る時に持ってきていた紙袋を手にすると、護衛の兵士達の元へと駆け寄っていく。


「こ、これは今日1日アタシ達を護衛してくれたお礼だ。良ければみんなで食べてくれ。」


 そして兵士たちからありがとうの言葉を聞く前に、彼女は少し顔を赤くしてこちらに戻ってきた。


「何を渡してきたんだ?」


「母上に言われたのだ。アタシ達エルフは、この国では特別扱いされる……それ故にお礼を忘れてはならんと。」


「なるほどな。」


「ち、ちなみに中身はアタシが作ったどら焼きだ。生憎、喜んでもらえるようなもの……と言われれば社長が教えてくれたお菓子しか思い浮かばなかった。」


「でもそれ自分で1から作ったんだろ?」


「ま、まぁ……そうだな。」


「ならそれはちゃんとユリの心がこもった贈り物だ。」


 ポンポンとユリの頭を撫でた後、改めて転送の結晶を使ってエルフの国へと戻るのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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