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転生料理人の異世界探求記(旧)  作者: しゃむしぇる
第5章

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カリンの実娘 ユリ

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 お店の営業をアンネに任せて、カリンと彼女に絞られたユリと共に、カリンの屋敷へと向かう。


「いやはや、ユリが迷惑をかけてすまなかったな社長よ。」


「まぁ誰も怪我はしてないですし、全然大丈夫ですよ。」


「そ、そうだぞ母上。アタシは誰にも怪我は負わせてない。」


 頭のたんこぶを押さえ、不貞腐れたように言ったユリへ、カリンが全身から怒りのオーラを発しながら、ドスの利いた声をあげる。


「母に反論するとは……もう一つたんこぶを増やされたいらしいな。ん?ユリよ。」


 ドスの利いたその声に、思わずガタガタと体を震わせながら、ユリは必死に首を横に振った。


「まったく、人間である社長がこの国に滞在する事を許可されているのには、ちゃんとした理由がある。その一つがコレだ。」


 そう言ってカリンは袋からどら焼きを取り出した。


「母上、それはいったい何だ?」


「コレは社長がこの国の食材を使って作った甘味である。この国に住む我が子等は、皆この甘味に夢中になっているのだ。」


 カリンはパクッと一口どら焼きを口にすると、先程までの怒りの表情がまるで嘘のように、穏やかで幸せそうな表情へと変わった。


「うむうむ、今日も今日とて美味い。このどら焼きと共に飲むマンドラ茶が最高なのだ。」


 どら焼きを一口食べては、苦みの強いマンドラ茶を飲み、幸せそうなカリンをユリは少し羨ましそうに見つめていた。


「は、母上……そ、それそんなに美味しいならアタシも食べてみたい。」


「ん〜?なんだ、欲しいのか?ならば社長から買うと良い。」


「で、でもアタシ今お金ないし……。」


 急にモジモジとしだしたユリ。どうやら食べたくてもお金がないらしい。


「それは困ったなぁ。」


 わざとらしくカリンはそう言いながら、クスリと笑うと、服のポケットから1枚の紙を取り出した。


「おぉ!!そう言えばこんな物を拾っていたのだった。」


「な、なにこれ。」


 ユリが折りたたまれた紙を開いてみると、その紙に書いてあったのは、俺の会社の求人の情報だった。


「この会社で働けば……お菓子が無料ッ!?お、おい人間っ!!これは本当なのか!?」


「あ〜……まぁ本当だ。」


「しかも給料まで毎月支払われるだと!?い、今の仕事よりよっぽど条件が良さそうだ……。」


 求人の紙を見てガックリと肩を落とすユリに、不思議そうにカリンが問いかけた。


「なんだ、魔物専門の狩人になったのだろう?農地を荒らす魔物の討伐で金ぐらい訳なく稼げるだろうに。」


「は、母上はこの仕事の現状を知らないから、そんなことが言えるんだ!!農地を荒らす魔物なんて、すぐに他の同業者に狩られてしまうんだぞ……。」


 話しているうちに、うるうると涙腺が緩んできたユリは遂に泣き出してしまった。それをカリンが宥めながら、チラリとこちらへと視線を向けてくる。


(そういう事か……。カリン自身、そんな割に合わない仕事は辞めて欲しいと思ってるみたいだ。)


 彼女の意図を察した俺は、一つ頷くのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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