社員特権
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翌日、営業を開始すると早速昨日入社したばかりの新入社員エルフ達が、スイーツを求めてやってきた。
「ヒイラギ社長、おはようございます!!」
「おはようアンネ。」
「えへへへ、早速社員特権を使いに来ちゃいました。」
「それは結構なことだ。で、何を買ってくんだ?」
「えっと……あ!!これ昨日社長が作ってたお菓子ですよね?」
アンネは欲張りアイス大福を指差した。
「よく見てたな。コレが今日の新作だ。」
「買ってもいいですか?」
「もちろん、買って食べて味を覚えてくれ。」
「それじゃあ3個くださいっ!!」
アンネは欲張りアイス大福を3個社員特権で買っていった。
「それじゃ、また夕方お願いな。」
「はーい!!」
アンネが去っていくと、次に来たのもまた新入社員の子だった。
「あ、あの……お、お疲れ様ですヒイラギ社長。」
「あぁお疲れ様、ハリーノ。」
「はわわわ、わ、私の名前覚えてくれたんですね?」
ハリーノは溌剌なアンネとは対照的で、少々おどおどした性格だ。
「当然、社員みんなの名前は覚えてるぞ。」
「にに、人間って怖い人ばっかりかと思ってましたけど……ヒイラギ社長は優しいですね。」
「ま、人間にも色々いるってことだな。で、ハリーノは何を買ってくんだ?」
「えと……そのアンネちゃんと同じやつを2つと、どら焼きが5個欲しくて。」
「欲張りアイス大福とどら焼きだな。ちょっと待っててくれ。」
袋に欲張りアイス大福とどら焼きを入れて、ハリーノに手渡した。
「ほ、本当にお金払わなくてい、いいんですか?」
「あぁ、ハリーノはうちの立派な社員だからな。役得だと思って受け取ってくれ。」
「うへへ…あ、ありがとうございます。」
「それじゃあ今日の夕方、またよろしくな。」
「もちろんですヒイラギ社長〜。このハリーノ、身を粉にして働きます〜。」
嬉しそうに表情を歪めながらハリーノも去っていった。そして他の社員達とも話しながら販売を続けていると……ニッコニコの笑顔で、こちらにカリンが歩いてきた。
「社長よ、そなたの会社に入った我が子らはどうだ?」
「みんな真面目で覚えが早くて、とっても助かってますよ。」
「うむうむ、それはとてもよろしいことだ。此方としてもとても喜ばしい。……それはそれとしてだな社長よ。一つ問題が生じたのだ。」
「へ?何がです?」
「その〜……そなたの会社の社員になると、ここの甘味が無料になるだろう?」
「そうですね。」
「……それがなんとも魅力的らしくてなぁ。そなたの元で働きたいと、此方の元へ訪れる我が子らが後を絶たんのだ。」
そ、そんなに人気になってしまっているのか。これも嬉しい誤算だな……。後でそれについては何か対策を考えよう。
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