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転生料理人の異世界探求記(旧)  作者: しゃむしぇる
第5章

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果実の在り処は……

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


次回更新は明日18時です。


 ヴェールならではの果実や野菜等などを色々と買い漁っていると、向こうの方からトボトボとリリン達が歩いてきた。


「あれ?リリン、例の果実はどうだったんだ?」


「それなんだけど……昨日採れた後、すぐに別の場所に運んじゃったみたいで、ここには無いらしいのよ。」


 ガックリと項垂れながら、リリンはそう報告した。


「ふむ、運んだ……ってなると誰かに献上するためとか?」


「そうじゃないらしいわ。なんでもこの街の財源の殆どは、その果実を売ったお金で賄ってるらしいの。」


「……つまり?」


「この国で最も盛んな競売に出品したらしいわ。」


「なるほど、そういうことか。」


 果実が手に入らなかったことを嘆く、リリンとフレイ。まだ手に入らないと、決まったわけじゃないんだがな。


「その競売をやる場所とか日時って、聞いてきたか?」


「え?ば、場所?」


「あぁ。」


「えっと……確か王都の地下にある競売場って言ってたわよね?」


 リリンがそうフレイに確認を取ると、フレイは何度も頷いていた。


「競売は明日の夜にやるって、言ってたよ。」


「そうか、なら……諦めるのはまだ早いな。」


「「え?」」


「条件が単純になったじゃないか。その競売で俺がその果実を競り落とせば良いんだろ?」


 譲ってもらえるように交渉したりとか、そういう面倒な入手方法よりかは、よっぽど単純明快だ。


「で、でもボク達の為だけに……いいの?」


「何も二人のためだけってわけじゃないぞ?もちろん、俺もその果実のことは気になってるんだ。」


 願わくば……二人が食べる前に、ほんの少しでいいから味見をさせてもらいたい。どんな味なのか、ものすごく興味がある。


「ま、明日までまだ時間はあるし……二人もこれで何か好きなの買ってくれば良い。」


 そして俺は、リリン達にもお小遣いを手渡した。


「明日の競売のことは俺に任せて、今はこの時間を楽しめば良いさ。特にフレイは、お菓子作りに使えるような果物とか、そういうのを探してみたら面白いと思うぞ?」


「あ、ありがとうヒイラギさん!!ボク行ってくるよ!!」


 お小遣いを受け取ると、フレイはスキップしながら行ってしまう。それを見送っていると、リリンが俺の服の裾をキュッとつまんできた。


「あ、ありがと……。」


「ん、良いんだ。」


 ポンポンとリリンの頭を撫でると、彼女は恥ずかしそうにしながら、フレイの後を追って行った。


 そんなヒイラギ達の会話を、影でひっそりと盗み聴いていた者が一人……。


()()()()()の在り処は王都……。人間の温床か。少々危険だが、私達にはアレが必要だ。」



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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