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転生料理人の異世界探求記(旧)  作者: しゃむしぇる
第5章

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ミクモの新たな試み

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


次回更新は明日18時です。



 ミルタさんにジルを紹介した後、一人街の中をぶらぶらと歩いていると、突然背後から何者かに抱き着かれた。


「こ~んなところを一人でほっつき歩いて、何をしておるのじゃ~お主よ?」


「ミクモか。急に抱き着かれるとビックリするんだが?」


 わざとらしくミクモは、ぐいぐいと背中に胸を押し当ててくる。


「良いではないか、良いではないか~。妾のような絶世の美女に抱き着かれておるんじゃぞ?オスとしてはこれ以上ない至福であろ?」


「あいにく、俺はそういう過度なスキンシップは苦手なんだ。」


「むぅ……そうか。」


 以外にもあっさりとミクモは離れてくれた。そして横に並ぶと、街中を歩く人間の行商人に視線を向けながらぽつりと呟いた。


「少しずつ100年前の姿が戻ってきたのぉ。」


「今はまだ二種族だけだがな。昔はここにエルフもちらほらいたんだろ?」


「そうじゃな。友好的なエルフが薬草やら果実やらを売り歩いておった。」


 100年前のように、三種族が仲良くできるようになれば……理想的なんだがな。それはまだ難しい問題だ。


「エルフとどうにか接触できないかな……。」


「お主、まだあきらめておらんのか?」


「当たり前だ。こんな感じで獣人と人間も仲直りできたんだ。きっとエルフともできるはずだ。」


「まぁ、人の王も変わったしのぉ……接触さえできれば可能性は、無いことは無いかもしれんな。」


「あぁ。」


 本当に接触さえできれば……光明が見える。ただ、エルフは完全に人間とも獣人とも、関係を断ち切って生活しているらしいから、それすらも雲をつかむような話だ。


「それはそれとしてじゃ!!お主、ちょいと妾に付き合ってたも。」


 ぐいぐいとミクモに手を引かれる。


「何かするのか?」


「それは来てからのお楽しみじゃな。ほれほれ、こっちじゃ~。」


 そしてミクモに手を引かれて、とある家の中へと連れ込まれた。そこには、何に使うのか……いろいろな設備が置かれている。その中で一つ……見覚えのあるものがあった。


「ん?これは……。」


「気づいたか?」


「あぁ、これ豆腐を作るやつだろ。」


「その通りじゃ!!妾は服屋を営む傍らで、豆腐作りも始めたのじゃ~!!」


 そしてミクモは、お皿の上に柔らかそうな豆腐を乗せて俺に差し出してきた。


「これは試作品第一号の豆腐じゃ。早速食うてみてくれ。」


「わかった。」


 手渡されたスプーンで豆腐を切ってみると、その柔らかさがダイレクトに伝わってくる。濃厚な豆乳をそのまま固めている証拠だ。

 いざ口に運んでみると、とても滑らかな食感で、濃厚な豆の甘みが口いっぱいに広がった。


「うん、よくできてる。豆乳もいい物を使ってるな。かなり完成度が高い。」


「おぉ!!このまま売っても売れるかの?」


「売れると思う。何なら俺が買うさ。」


「本当か!?」


 これを使えばいろんな豆腐料理ができるだろう。ちょうど、少しずつ気温が下がってきたこれからの時期には重宝する。なんていっても、鍋料理には欠かせないものだからな。


「あ……そうだ、今魔物肉専門店に人間の商人が来てるんだが、その人ならきっといい値段で買い取ってくれると思うぞ?」


 そう話しているうちに、ミクモの姿は消えていた。


 後日両国で、()()()()()()()()……と銘打った物が、一世を風靡したのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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