負の予兆
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「おい、ヒイラギ。なんでキースの洗脳は解除しない?」
ふと疑問に思ったのか、バイルがそう問いかけてくる。俺はキース以外の騎士の洗脳は解除したが、ある理由があって、彼だけは洗脳を解除していない。
「それには由ちゃんと理由があります。この人達は、そこのキースっていう人の部下なんですよね?」
「あぁ、間違いない。」
「それなら、普段のキースっていう人がどんな人か、よく知ってるはずなんです。」
「……なるほど理解した。つまりは洗脳された状態のキースの姿を見た、彼らの反応を見よう……ということだね?」
いち早くカムジンが、俺の思惑に気が付いた。
彼の言うとおり、洗脳によって人というものがどれ程変わるのかを、彼らに見てもらいたいのだ。そうすることによって、国王がいかに非人道的なことをしているのか、わかってもらえるはず。
「そういうことです。」
「なるほど、ようやく理解できた。キースの豹変ぶりを見れば、さぞかしこいつらも驚くだろうよ。」
そして、バシバシと気絶している騎士の肩をバイルが叩くと……。
「うっ……。」
「お?気が付いたか?」
その衝撃で一人の兵士が目覚めた。
「ば、バイル様?それにカムジン様にダグラス様まで……。」
「お前、なんでここにいるか…覚えてるか?」
「い、いえ。自分自身、なんでここにいるのか覚えてないのです。」
やはり記憶が欠けている。だが、洗脳された瞬間の記憶はあるはずだ。
「じゃあ最後に見た光景を思い出せ。なんでもいい。」
「お、王国騎士団全員が陛下に呼び出されて……それから。」
なんとかそれ以降の記憶も思い出そうとしてくれているが、国王に会ったとき以降の記憶は思い出せないようだ。
「それだけわかりゃ十分だ。まだちょっと休んどけ。」
「お役に立てずすみません。」
そして問答を終えたバイルがこちらに歩いてきた。
「おい、大変なことになってるかもしれねぇぞ?あいつの話を聞くかぎりだと。王国騎士団全員が陛下に謁見の間に呼び出されてやがる。」
「それはつまり……。」
「あぁ、洗脳された王国騎士団が王都で待ち構えてるかもれねぇ。」
これはいよいよとんでもないことになってきたな。誰も殺さずに終わらせたかったが……こうなってしまうと、国王の首をとるという方法も候補に挙がってきた。
予想以上に悪い展開になってきたことに、思わず歯ぎしりするのだった。
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