過去と現在
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静まり返った獣人達に向かってシンは続けた。
「一つ確認しておこう、皆は人間をどう思っている?声をあげて欲しい。」
そうシンが言うとポツポツと声が上がり始めた。そして、それはどれも人間に対しての悪いイメージのものばかりだった。
これは当然だな。自分達が実際の被害者ではなくとも幼き頃からそう聞かされて育っているのだから。
すると、その答えを待っていたかのようにシンは続けた。
「皆が思っていることは我もわかる。だが、我らが人間によって虐げられていたのは遥か昔だ。長い時が流れれば、我ら獣人族も人間も変わるもの……。我は此度の戦いでそれを思い知った!!」
その言葉に先程までざわざわとしていた雰囲気がまた静まった。
「我は一切隠し立てはせぬ。此度の戦いに勝つことができたのは、他ならぬ人間の助力のお陰だ!!」
その言葉にどよめきが走る……。
「此度我らに助力してくれた人間は、我らを助けるために少ない人数ながらも、戦場の最前線で命を懸けて戦ってくれたのだ!!皆はこの雄姿を見ることはできなかっただろう。だが、兵士諸君は確かに目に焼き付けたはずだ、この勇者達の雄姿を!!」
「「「「「「オオオォォォォォ!!」」」」」」
兵士達から大きな歓声が上がり、その言葉と共にシンに前に出るように促されたので、獣人達にも顔が見える位置まで前に出た。
俺達の姿を見てざわめきが更に大きくなる。
「民よ!!我らのために、命を懸けて戦ったこの勇者達を人間だから悪だと決めつけ、切り捨てられるか?命を救われた恩を仇で返すこと……それこそ悪であると我は思う。」
シンの言葉にざわめいていた獣人達は、また静まり返る。
「過去は過去、現在は現在だ。そしてそのどちらでも事実というのは変えられぬもの。我らが現在この人間達に救われたのも事実、そして人間という存在が変化したのもまた事実だ!!」
彼の演説を聞いている獣人達から少しずつ拍手が起こり始める。
「我らを救ったこの勇者を命の恩人として認められる、誇り高き者は声をあげよ!!」
シンのその言葉に今まで比べ物にならないほどの歓声が上がった。ビリビリと声が体を打つ感覚が凄まじい。
「うむ!!そして我は此度の勇者達の活躍を評し、五分の盟約を交わす!!反対の者は挙手せよ!!」
その言葉に挙手をするものは一人もいなかった。
「皆の思いしかと受け取った!!それでは最後に勇者達の代表から一言もらおう。」
そしてシンはニヤリと笑い俺の方を見てきた。
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