真の川のヌシ リカーガレオス
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フレイが釣り上げたサメのような巨大魚に歩み寄っていると、その眼光がギロリとこちらを向いて、体を大きくひねって噛みつこうとしてきた。
「おぉっと!!」
噛みつきを躱しながら、俺はこの魚のエラに狙いを定める。
「あそこだ、貫けレヴァ。」
レヴァをエラの方向に向けながらそう言うと、俺の命令通り、レヴァは刀身をグン……と伸ばし、弾丸のような勢いでサメのような魚のエラを貫き中骨をも断ち切ってみせた。
「お見事。」
そして伸びた刀身がもとに戻ると、サメのような魚のエラ部分から大量の血が溢れ出してくる。
「今ので締めれたと思うけど……どうかな?」
再び近付いて、体をポンポンと叩いてみるが……筋肉がピクピクと動くだけで反応は無い。
「ん、オッケーだ。」
締まった事を確認して、俺はウォーターブレスで血を洗い流しながら、レヴァを使ってコイツの内臓を取り除いていく。
「うぉっ……凄い内臓脂肪だな。」
肝臓や胃袋、腸の周りに真っ白な内臓脂肪がびっちりと隙間なく詰まっている。食べるものに困ってなかった証拠だな。
コイツはいい脂が乗ってそうだ……と内心期待していると、内臓の中に不思議な臓器を見つけた。
「ん?これは……なんだ?」
白い半透明の球体で、中で何かが動いている……。
「コイツはまさか……。」
その臓器にピッと切れ込みを入れてみると、元気良くこの魚の子供たちが飛び出してきた。子供といっても結構大きく、既に1mほどの体長だ。
「サメは卵生と胎生の2種類がいるって図鑑で読んだことがあるが……コイツも胎生だったのか。」
見た感じ、へその緒も既に切れてるみたいだし、もうすぐ産み落とす……ってところだったのかな。
「お前らはまだ小さくて食べるところがなさそうだからな。このまま川に帰りな。」
そして川に放ってやると、すぐに泳いでどこかへと消えてしまった。あの子達が何年……いや、何十年かして大きくなったら、この川のヌシになるんだろうな。
「さて、これで内臓の処理はお終いだ。後は血が抜けるまで待つ時間だが……。」
ここらでこいつの事を鑑定してみるか……。血が抜けるのを待っている最中、俺は鑑定を使ってこの魚を調べて見た。
リカーガレオス
・獰猛な肉食魚。幼魚は海へと下り、幼体のクラーケン等を捕食する。成魚になると産まれた川に戻り、子供を産み落とし一生を終える。
・身は淡白ながらも脂が乗り、美味である。
・リカーガレオスの脂には毒が含まれているものの、加熱することで無毒化可能。
生態はなんか鮭に似てるような部分があるな。加熱しないと無毒化できない毒を持ってるらしいから、生食は無理だな。
となると、ステーキとか……フライとかにしたほうが良いか。
ゼラによると今晩は風一つ吹かない静かな夜になるらしいし、このリカーガレオスをお世話になったツンドライサの住人みんなと一緒に食べようかな。
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