足跡の主との邂逅
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麓から休まず歩き続けて、約4時間……俺たちの眼前にようやく山頂が見えてきた。
「おっ、やっと見えたな頂上が。」
「ようやくかい……やっぱり登山は疲れるねぇ。」
「はっはっは!!まだまだ登りきっただけだぞドーナ?これからゴーダバッファローを探し、倒して下山しなければいけないことを忘れてはいないか?」
「言われなくたってわかってるよ。」
一先ず山頂にたどり着いたので、俺達はここでひと休憩入れることにした。
「さ、一度休憩にしよう。」
山頂にある座れる形の石に座って、俺はマジックバッグの中からおにぎりと温かい緑茶を取り出し、2人に手渡した。
「ん〜……ぷはっ、この景色を見ながら飲む緑茶はたまらんな。」
「冷えた体に染み渡るよ。ヒイラギは食べないのかい?」
「ん、俺は少し周りをぐるっと見回ってくるよ。2人はそこで少し休んでてくれ。」
そして俺は山頂付近の見回りへと足を動かした。
「あの蹄の足跡はこっちに向かってる。」
足跡を追って少し歩くと、追いかけている足跡とはまた違う足跡を発見した。
「ん?足跡が増えた……こっちは牛みたいな蹄の足跡だ。」
もしかすると、これがゴーダバッファローの足跡か?
「このデカい馬みたいな足跡は、ずっとこの足跡を追いかけてる。」
やっぱりコイツの目的はゴーダバッファローだったのか?と、疑問に思っていると、突然背筋に悪寒が走った。
「っ!!」
反射的にその場から飛び退くと、さっきまで俺がいた場所に巨大な氷塊が落ちてきた。
「なるほど、バックトラックでそっちに飛んで俺を待ってたってわけか。」
この山の山頂の岩の上に視線を向けると、そこには氷の鎧を全身に纏った、日本の昔話に出てくるような馬頭のような化け物が悠々とこちらを見下ろしていた。
「人間、此処は我の狩場なり。これ以上この地に土足で踏み入るのならば、死を覚悟せよ。」
驚くことに、奴は言葉を話せるようだ。それに……なんだろう、バフォメットと姿が重なってしまって仕方がない。特に頭が動物で、筋肉ムキムキのところとか……。
「……そうやって威張ってるけど、お前もここの外から来たんだろ?」
「肯定する。だが、この山の食物連鎖の頂点は我なり。故に此処は我のものである。」
「暴論だな。……だが、お前のその暴論を突き通すなら、ここの食物連鎖の頂点を名乗る前に俺を倒してもらおうか?」
「ふん、人間ごとき力比べにもならん!!」
大きい鼻から白い息を吐き出すと、奴は俺の目の前にズドン……と豪快に着地してくる。
「我が種族名はメーケズ。死に土産に持って行け。」
そう言って奴はこちらに向かって、巨大な氷で出来た槍を突きつけてきた。
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