足跡を追って
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足跡を追って、しばらく進んでいると途中で師匠が足を止め、一つ一つの足跡をじっと見比べていた。
「師匠?」
「みんな、これを見てくれ。」
そう言って師匠は巨大な蹄の足跡を指さした。
「見ろって言われても、さっきからなんにも変わらない足跡じゃない。」
「着眼点はそこじゃない。深さだ。」
良く見てみると、師匠が指差している足跡の深さと、そこから向こうに続いている足跡は、雪に沈んでいる深さが少し違った。
「この足跡までは、バックトラックで2回踏んでいるから、足跡が深くついている。だが、この先は1回しか踏んでいないから、足跡が浅くついている。」
「ってことは……。」
「ここからどこかに飛んだ可能性が高いな。辺りを調べてみれば、また違う方向へ進んでいる足跡が見つかるはずだ。」
師匠の言った通り、4人で手分けして探すとすぐに山の上の方へと続いている別の足跡を見つけることができた。
「この足跡は山頂までずっと続いてる。」
「今からこの足跡を追うのかい?」
「……いや、それはよしておこう。こいつの正体は気になるけど、追い付ける保証がない。」
仮に追い付けなくて、暗くなって引き返している最中に襲われたら最悪だ。この山の地理は向こうにあるだろうし、深追いは厳禁だ。
「ま、俺達の目的はあくまでもこの山を知ることだ。この魔物を追うことじゃない。」
そう言って俺は踵を返した。
「さ、今日のところは来た道を戻って引き返そう。山小屋がない以上、ここで夜を過ごすのは勘弁したいからな。」
そして、今日のところは一度引き返すことにして、俺達は来た道を戻り、山を下っていった。
下山してツンドライサに帰ってくる頃には、辺りが暗くなり始めていた。もしあのまま足跡を追っていたら、真っ暗になっていたのは間違いない。
ハウスキットに入って、温かい飲み物を用意したあと、俺は山の地図を広げて今日わかったことを記入していくことにした。
「山小屋は無惨にも破壊されてて、あの大きな足跡はここから山頂の方へと続いていた。」
今日分かったのは山小屋が使いものにならないってことと、あの巨大な蹄の足跡の生き物が雪山に潜んているってことだけ。
「次の探索ではコイツの正体に少し迫れれば良いな。」
ゴーダバッファローを目指して雪山に入っていれば、きっと遅かれ早かれコイツとは出会うような気がする。
願わくば戦闘は避けたいけど、山小屋を破壊するような奴だし、そう上手く事は進まないよなぁ。
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