再び現れた足跡
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少し急ぎ足で山小屋のある場所までやってくると、そこはリリンが言っていた通り、ボロボロに破壊されてしまっていた。
「な、なんで山小屋が破壊されてるんだ……。」
「この辺は強い魔物も多いし、そいつらにやられたんじゃないかい?」
「多分そうかもな。でも人もいないのに、わざわざ破壊する意味って何かあるのか?」
「まぁ少しでも人間の匂いが残ってたら、攻撃的になる魔物もいるからねぇ。」
「そいつらって可能性もあるのか。」
しかし、この山で唯一の休息を取れる山小屋が使えないとなると、少し予定が変わってくるな。と、俺が悩んでいると、師匠が何かを見つけて口を開いた。
「柊、ここに足跡があるぞ。」
「え?」
師匠の見つけた足跡を確認しに行くと、そこには大きな蹄の足跡が残っていた。
「この足跡は……。」
間違いない。俺達がツンドライサへと向かっている途中にあった、あの足跡だ。
「知ってるのか?」
「はい、俺達がツンドライサに向かってる途中……これと全く同じ足跡が同じ方向についていたんです。」
「そうだったのか。」
「ツンドライサ目前でその足跡は消えてしまったんですけど……まさかこの山でまた見ることになるとは思ってませんでしたよ。」
「ふむ。」
師匠はじっとその足跡を見つめ、辺りをキョロキョロと見渡したりして、また何かに気が付いた。
「コイツ……バックトラックして痕跡を残さないようにしているぞ。」
「「バックトラック?」」
ドーナとリリンが首を傾げた。
「バックトラックっていうのは、自分がつけた足跡をもう1回踏んで、進行方向を分からなくする歩き方だ。」
俺がそう説明すると、2人は納得したように大きく頷いていた。
「ってことは、この足跡の主がここまで来て、どこに行ったのかは分からないってことかい?」
「そういうことだ。どこまでバックトラックで引き返したのかもわからん。」
うむむ……と唸る師匠へ、リリンがある提案を行った。
「……それなら、試しにこの足跡がどこから来たのか、確かめに行くっていうのはどうかしら?どちらにせよ、こんな小屋を破壊する危険な魔物がいる状況は解決しなきゃいけないでしょ?」
「それは一理ある考えだな。柊、どうする?」
「リリンの言う通り、足跡を追ってみるのが良いかと思います。」
「ん、それなら決まりだな。」
そうして俺たちは、この巨大な蹄の足跡を追って、雪山を進むのだった。
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