ゼラへの来客
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俺と同じぐらいの身長まで背を縮めたゼラは、どこからか俺が先ほど社に捧げた鍋を取り出した。
「キミの捧げ物……これは、人間が食べ物を作る時に使う道具かな?」
「合ってるけど、俺が捧げたかったのはその中身だよ。」
首を傾げながらゼラは鍋の蓋を開けると、中にはたっぷりのスノウパンチシュリンプの身と野菜、そして殻から抽出した出汁が入っていた。
「おぉ〜、どれが何か良くわかんないけど美味しそ〜。食べてもいいの〜?」
「これから火を入れるから少し待っててくれ。」
マジックバッグからカセットコンロを取り出して地面に置き、早速鍋を火にかけた。
火が入るのを待っている最中、ピシッと何かにヒビが入るような音と共に、ゼラの横の空間に亀裂が入った。
「あ、誰か来るかも〜?」
「この空間に?」
「うん〜、多分この気配は……メルちゃんかな。」
ゼラの予想通り、その亀裂から姿を現したのは、シュベールに祀られていた水の女神……メルだった。
「やっほ〜ゼラ、遊びに来たわよ……って、あらあら奇遇ね、あなたもいたの?」
「久しぶりだな。」
「今日はイリスはいないの?」
「イリスなら今頃向こうで夕食の最中だ。」
「ふぅん。ちょっと覗き見〜。」
なにやら向こうを見渡すような仕草をメルが取ると、彼女は呆れた表情で笑った。
「すっかり下界に馴染んじゃって。これもあなたと一緒にいるせいかしら?」
「さぁ、それはどうだろうな?もともとのイリスの性格があぁなんじゃないか?」
「ふふ、それは言えてるかもね。」
クスリと笑って、イリスのことを覗くのをやめると、メルは水のクッションのようなものを作り出して俺の隣に座った。
「で、これは今何してるの?」
「人間くんが捧げ物を持ってきてくれたんだよ〜。それが出来上がるのを待ってるの〜。」
「捧げ物……あ、もしかしてこれ、イリスがさっき食べてたやつじゃない?」
「その通り、つい昨日ゼラの天気の予言をしてもらったから、そのお返しに作ってきたんだ。」
「へぇ〜……ねぇゼラ、私もちょっと食べてもいい?」
「いいよ〜。せっかく来たんだし、みんなで食べよ〜。」
そして俺はメルとゼラにも、スノウパンチシュリンプの鍋を振る舞ったのだった。
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