夕食のお裾分け
少し前から新作の小説の投稿を始めていました。良ければそちらもよろしくお願いします。
今日の夕食は、スノウパンチシュリンプの身と、殻から抽出した出汁をたっぷりと使った鍋。毛ガニのような美味しさの身と、甲殻類の香ばしさが染み出た出汁は瞬く間にみんなのことを虜にしてしまった。
みんなの反応が上々なことを確認した俺は、一度席を立ってマジックバッグを肩から提げた。
「あれ、お兄さんどこ行くの?」
「美味しい鍋が作れたから、カイリがいる村長の所にもお裾分けに行ってくるよ。」
村長のエダのご厚意で、俺達はツンドライサへの滞在と山に立ち入ることを許可されてるからな。そのご厚意には何かしらの形で報いないとな。
「じゃ、そういうわけでみんなは食べてていいからな。」
そして俺は雪の吹き付ける外へと足を踏み出して、村長宅へと向かう。
「う〜っ、やっぱり寒いな。ちょっとでも立ち止まったら凍りそうだ。」
ただでさえ外気温が低いというのに、強い風まで吹いているから、とんでもなく寒い。幸いなのは、村長宅がそんなにハウスキットから離れていないことだな。
全身に雪をかぶりながら、俺は村長宅の玄関の扉をノックした。
「ごめんください、ヒイラギです。」
すると、すぐに扉が開いてカイリがひょっこりと顔を出した。
「ひ、ヒイラギさん!?こ、こんな吹雪の中どうしたんですか?」
「ちょっと夕飯のお裾分けに来たんだよ。」
俺はマジックバッグから、後は温めるだけで食べられる鍋を取り出してカイリに手渡した。
「これ、火で温めるだけで食べれるから。村長さん達と食べてくれ。」
「あ、ありがとうございます……。」
「じゃ、俺は戻るな。天気が良くなったらでいいから、食べ終わった鍋は返してくれると助かる。」
「え、あ、上がっていかないんですか?」
「他にも寄る所があるんでな。じゃ、村長さん達によろしく伝えてくれ。」
そしてカイリに村長達にもよろしくと伝えて、俺は村長宅を後にした。その足で今度は天気の女神ゼラが祀ってある社へと向かう。
「ん、やっぱりここに来ると吹雪も矛を収めるな。それにちょっと温かい。」
社の捧げ物をする台の上に、俺たちが食べているものと全く同じ具材を盛り付けた鍋を置いて、祈りを捧げた。
すると、すぐに俺はゼラのいるあの空間へと移動してきていた。目を開けると目の前に、大きなゼラの顔があった。
「あらら?昨日の今日でまた来てくれたのかな〜?」
「あの天気の予言のおかげで、今日の探索を無事に終えられたから、感謝の気持ちを伝えに来たんだ。」
「そんな大したことはしてないんだけどね〜。」
ニコリとゼラは笑みを浮かべると、何を思ったのか、ぐんぐんと体を縮め、俺と目線を合わせられるぐらいの身長まで小さくなってしまった。
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