スノウパンチシュリンプに含まれていた毒
ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。
一口サイズに切ったスノウパンチシュリンプを口に運んでみると、まず最初にブリっとした力強い食感を感じた。それを噛む度に濃厚で風味豊かな毛ガニのような甘さが溢れてくる。
「んっ、なんか意外と味はカニっぽい。」
もっとエビみたいな味なのかと思っていたけど、毛ガニみたいな味ですごく美味しい。これならみんなバクバク食べれるな。
「一応ミソの味も確認しておこうか。」
スノウパンチシュリンプの頭を焼いて、その中に入っていたミソをスプーンですくって食べてみた。これまたカニみそみたいな味で美味しいなと思っていた直後、俺の頭の中に声が響く。
『薬物耐性を有効化しました。』
「ん!?薬物耐性を有効化だって?まさか……。」
俺は試しにスノウパンチシュリンプの頭に鑑定を使ってみた。すると驚くべき事実が発覚する。
「スノウパンチシュリンプの肝膵臓には、幻覚症状を引き起こす毒が含まれています…………。なるほど。」
解毒方法は何か無いのかな。さらに鑑定をしてみるが、表示された解毒方法はどれも食材として美味しさが残るようなやり方ではなかった。
「こりゃ駄目だな。丁寧に取り除かないと、他のみんなには食べさせられない。」
味は良かったんだけどなぁ……残念だ。
味の確認もできたところで、残ったスノウパンチシュリンプの処理も終わらせて、夕食に使えるようにしよう。
胴体部分と頭の部分を全部分けて、胴体は塩茹でにして殻を剥く。頭のところは肝膵臓を綺麗に取り除いてオーブンで焼く。
「で、焼いたスノウパンチシュリンプの頭と殻を大鍋に入れてこっちは出汁を引いておこう。」
この出汁は、今日の夕食の鍋に使おう。例の美容に効果があるっていうキチン質は……どうなんだろう。殻を粉々に砕けばスープに溶けだすかな?その辺は俺も良く知らないんだよな。ま、一先ず溶け出しそうなことはやっておこう。
そうしてゴリゴリと殻をつぶしながら出汁を引いていると、いつの間にやら俺の隣でリリンが鍋を覗き込んでいた。
「なかなかいい香りじゃない。」
「珍しいなリリンがここを覗きに来るなんてさ。」
「あなたの言ってたキチン質ってやつがどんなものなのか見に来たのだけど、これがそうなの?」
「……多分。」
「何よその多分っていうのは。」
「俺もこれでキチン質がスープに溶けだしてるのかはわからないんだよ。でもこうやって殻を粉々にしながら出汁を取ってるから、少なからず抽出はできてると思う。」
「ふぅん、まぁ少しでも美容に効果があるならそれでいいわよ。後は美味しく作ってちょうだいね。」
「あぁ、もちろんだ。」
そしてリリンは去っていくが、去り際にさりげなく鍋に入れられるように小さく切ってあったスノウパンチシュリンプの身を口に放り込んでいた。
この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。




