雪山に入った人達が帰ってこない原因
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驚くべきことに、雪玉で前方の安全を確認しながら進んでいただけでも数十匹ほどのスノウパンチシュリンプが、振動に反応して巣穴を露わにしていた。
「この辺までくれば、ようやくスノウパンチシュリンプの生息域からは抜けられたかねぇ。」
「迂回して迂回して……って進んでいたから、方向感覚が狂うところだった。」
まさかあんなのが雪山に生息していたとはなぁ……。そりゃあこの山にゴーダバッファローを探しに入った人達が、なかなか帰ってこれないわけだよ。
急変しやすい天候に加え、気配もなく巣穴の近くを通ると、突然引きずり込んでくるスノウパンチシュリンプ。
もう明らかに殺しに来てるもんな。
「なんか、村長のエダがゴーダバッファローを探しにこの山に入った人達が、山の神様の怒りを買った……って言ってた理由が分かった気がする。」
あまりにもあのスノウパンチシュリンプは、対策を知らない人達にとっては驚異的過ぎる。
「時間はどのぐらいだろ。」
さっきのスノウパンチシュリンプの生息地を抜けるのに結構時間がかかった。時計を確認してみると、時刻は10時……タイムリミットまでは残り約2時間ほど。
下山のことも考えると、登れる時間は30分ぐらいか。
「いやはや、アイツらで時間を取られたな。」
「先に魔物が通ったりして巣穴が見えてれば、早めに迂回出来たんだけどねぇ。」
「ま、こういうのを見つけるための事前探索だ。やっぱりぶっつけ本番で山に挑まなくてよかったよ。」
俺は村長にもらった山の地図に、スノウパンチシュリンプの生息地をマークした。
「残り30分ぐらいで探索を切り上げよう。そうしたら下山だ。」
それから30分ほど辺りを探索しながら山を登ったが、当然のようにゴーダバッファローの姿を発見することは出来ず、お昼になる前に下山を開始した。
「はぁ〜、やっと帰れるわ。」
下山を始めると、そう言いながらリリンが一つ大きくため息を吐いた。
「リリン、コウモリで上から見ていた感じ何か他に魔物の姿とか見えなかったか?」
「な〜んにも。雪景色以外見えなかったわ。」
「そうか。」
「そのゴーダバッファローとかいう魔物、本当にこの雪山にいるのかしらね?」
「いる……これだけは明言できるよ。」
「ふぅん、その根拠は?」
「女神様からのお告げを聞いたから……かな。」
「何もそれ。全然当てにならないんだけ……どぉっ!?」
帰り道……スノウパンチシュリンプの生息地をぐるりと迂回しようと、来た道とルートを変えて下山していたのだが、俺と話していたリリンが雪の中に落ちていった。
「ここも奴らの生息地だったのか。メモメモっと。」
「ちょっと!!落ちた私の心配ぐらいしなさいよ!!」
「リリンならその程度の魔物簡単に倒せるだろ?」
それから数秒経つと、自慢のパンチを繰り出す鎌のような部分を切り落とされ、脳天に真っ赤で大きな鎌が突き刺さったスノウパンチシュリンプが、大量のコウモリたちによって地上に運ばれてきた。
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