スノウパンチシュリンプ
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穴の底で魔物と格闘を繰り広げている師匠へと、俺は声をかけた。
「師匠〜っ、大丈夫ですか!?」
「問題ないっ!!間違っても降りてくるなよ!!」
「もしヤバいと思ったら俺だけ行きますからね。」
「そうはならない……はずだっ!!」
師匠はクラーケンの宝玉を食べて、ある程度はステータスも上昇しているし、その辺の魔物には負けないとは思うが……。
念の為いつでも助けに入れるように、ここで待機しておこう。
そして数十分に渡る、長い格闘の末……競り勝った師匠が触手で魔物を絡め取り、少しずつ穴をよじ登ってきた。
「ふぃ〜、強敵だったぞっと。」
穴から這い出してきた師匠は、俺達の前に先ほど仕留めた魔物を置いた。それを見たドーナがすぐに何の魔物なのか判別して、解説してくれた。
「こいつは、スノウパンチシュリンプだねぇ。雪山にしか生息してない魔物だよ。」
「見た目は完全に真っ白でデカいシャコだな。」
「そのシャコって生き物が何なのか分からないけど、こいつはエルダーシュリンプとかとは違って、ハサミで切るような攻撃じゃなく、この鎌みたいな手で殴ってくるんだよ。」
「うん、攻撃方法までシャコだな。」
「それにコイツらはこの穴みたいに、落とし穴みたいな巣を雪の下に掘るのさ。それで近くを通り過ぎようとした奴を引きずり込んだりするんだよ。」
「今回はその標的がたまたま私だったということか。」
うむむ……と師匠は唸った。師匠の不運は昔からだから、今回のはある意味必然だったのかもしれない。
「ちなみに、スノウパンチシュリンプは何匹か固まって巣穴を作る傾向があるから、この辺にまだいくつか巣があるかもねぇ。」
「でもそれを見つけるのって難しくないか?さっきみたいに雪の下に巣穴があったら、まず気づけないぞ。」
厄介なことに、コイツには気配ってものが無い。だから俺も全く気付く事が出来ないのだ。
「実は簡単な攻略法がコイツにはあってねぇ。」
すると、ドーナは雪を掴んでムギュムギュと固めて雪玉を作った。
「こんな感じで歩く先に雪玉を投げると……。」
いくつかドーナが雪玉を投げると、少し先の雪が大きく崩れた。
「ほら、あんな感じで振動を感じたスノウパンチシュリンプが、自分で巣穴の場所を教えてくれるのさ。」
「ほぉ~……この方法なら索敵は問題ないな。」
この辺は先にドーナがやったように、雪玉を投げて安全を確認してから進もう。師匠みたいに急に引きずり込まれるのは勘弁願いたいからな。
一先ず師匠が倒したスノウパンチシュリンプをカチコチに凍らせてマジックバッグに収納したあと、俺達は雪玉で前方の安全を確認しながら歩みを進めるのだった。
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