素のカイリ
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グレイスの事も快く村の中へと案内してくれると、俺たちを案内してくれていた男の人が大声をあげた。
「みんな〜、カイリ様がいらっしゃったべ〜!!」
そう声をかけると、建物の中からいそいそとここの住人の人達が俺達の所に集まってきた。
「すっげぇ馬車だべ……。」
「今時の馬車は馬でねくて、ワイバーンに引かせんだなぁ。」
人がたくさん集まって、わいのわいのとお祭り騒ぎになると、馬車からカイリが降りてきた。すると、その姿を見た村人たちが大喜びする。
「おぉ〜!!カイリ様おかえんなさ〜い!!」
まるでお姫様のように、みんなから帰ってきたことを喜ばれているカイリ。すると彼女はテレテレと照れながら彼らに向かって言った。
「様なんてつけんでいいけ、昔みだいにカイリちゃんって呼んでけろ〜?」
ここで一つ驚きだったのが……今の今まで礼儀正しい言葉遣いのカイリが、急にめちゃくちゃ訛って話し始めたのだ。しかも流暢だし……多分こちらが彼女の素なのだろう。
そう思いながら聞いていると、カイリはハッとなって俺の方に視線を向けてきた。
「はっ!?い、あ、あの……これは……。」
「はは、良いじゃないか。せっかく故郷に戻ってきたんだし、故郷の話し方に戻ったって。誰も気にしないよ。」
顔を真っ赤にしているカイリの頭をポンポンと撫でていると、人混みをかき分けて、老夫婦がこちらに歩み寄ってきた。
「あ!!おじいちゃん、おばあちゃん!!」
「あぁ〜、良く来たねぇカイリ。別嬪さんになってまぁ〜。」
「王都でたっくさん色気ついて来たなぁ〜。」
カイリがおじいちゃん、おばあちゃん呼んだ老夫婦と抱き合っていると、老夫婦の手を取りながら、カイリが俺にその人たちの紹介をしてくれた。
「ヒイラギさん、私のおじいちゃんとおばあちゃんです。おばあちゃんがこの村の村長なんですよ。」
「はじめまして、ヒイラギです。」
「遠路遥々、カイリを無事にここまで連れてきてくださって、本当に感謝致します。この村の村長のエダでございます。」
「その婿のブルーだべ。」
軽く自己紹介を終えると、村長のエダがこんなお誘いをしてくれた。
「寒かったでしょう?何か温かいものでも食べていきませんか?」
「良いんですか?結構な人数がいますけど……。」
「任せてくださいな。たっくさん作りますのでね。」
じゃあここは折角だからお言葉に甘えることにしようか。しばらくここに滞在することになると思うし……村長と仲良くなっておいて損はないはずだ。
グレイスへのご褒美は今日はちょっとお預けだ。
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