カイリとバイル
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カイリというあの兵士たちを束ねる存在のバイルの娘をツンドライサへと連れていくのを請け負ったのは良いが、このカイリの護衛についていた兵士たちはここからどうやって帰ろうか……そしてバイルになんと報告すべきかと頭を悩ませていた。
そこで、俺が一度カイリも連れて王都にみんなで戻ってバイルに事情を説明してはどうかと提案してみた。
「俺の仲間の魔法があれば一瞬で王都まで戻れるし、一度バイルさんに事情を説明しに戻ったらどうかな?そうすれば、今回の雪狼の襲撃についても説明できる。」
「よ、良いのですか?」
「あぁ、どうせこの雪狼の頭領をエミルのギルドに届けなきゃいけないから、一度戻らなきゃいけなかったんだ。」
「では、お手数をおかけしてすみませんがお願いします。」
「任せてくれ。ちょうどバイルさんに贈り物もあったからな。」
ちょうど今朝揚げて、マジックバッグにしまっておいたバリーズのフライがたくさんある。王都に戻るついでにアレを持っていけばいい。
それから一度馬車のある所まで戻り、またレイに頼んで俺は護衛の兵士たちとカイリを連れて王都へと飛んだのだった。
そして、バイルの姿を求めて王都の中を探し回ってみたが、どこにもバイルの姿が見当たらない。
「もしかして、あそこにいるか?」
前回料理を教えたあの調理施設……もしかするとバイルはあそこで食料班として動いているのかも。そう思ってそちらの方へと足を運んでみると、何やらいい匂いが俺の鼻をくすぐった。
「ん、野菜が煮込まれてるような匂い……。この先からだな。」
厨房を覗いてみると、そこではバイルが何人かの兵士の人達と、あぁでもないこうでもないと、味見をしながら頭を悩ませていた。
「こんにちは。」
「ん?あぁッ!!ヒイラギじゃねぇか、いいところに……って、なんでカイリが一緒にいるんだ?それに護衛につかせたお前らも。」
「それも含めて調理しながら説明しますよ。」
俺はマジックバッグからレヴァを取り出して、近くにあった野菜をいくつか切ってバイルたちが作っていたスープの中に放り込んだ。
「この人たちはツンドライサに向かう途中で山賊の雪狼に襲われてたんです。」
「なにっ!?か、カイリ、怪我はなかったか!?」
冒頭少し説明すると、バイルは心配そうにカイリに歩み寄った。
「大丈夫だよお父さん。カイリも兵士の人達もみんなあの方に助けてもらったの。」
「そ、そうか……。」
「カイリは大丈夫だから、兵士の人達を怒らないであげて?」
「怒ったりしないさ、こうやって無事に戻ってきたんだから。」
バイルはカイリのことをぎゅっと抱きしめながら、いとおしそうに何度も頭を撫でていた。
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