囚われていたのはあの重役の……
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みんなの安全を確保したところで、俺はさっき雪狼の頭領らしき男が話していたことについて、護衛についていた兵士に聞いてみることにした。
「なぁ、そういえばさっきこの女の子が重役の子供だって聞いたんだけど……いったい誰の子供なんだ?」
今俺に引っ付いて離れないこの女の子は、俺が知っているどの重役の面影もない……ような気がする。だからいったい誰の子供なのだろうとふと気になったのだ。
「こちらカイリ様は、バイル様の娘様であられます。」
「ば、バイル……さんのむ、娘さん?」
「はい、ヒイラギ様もご存知の通り王都の状況はあまりよろしくありません。ですのでバイル様は、ご自分の故郷であるツンドライサへとカイリ様を一時的に避難させようとしていたところでありました。」
「そ、そゆことね。」
こ、この子がバイルの娘さんか……正直似ても似つかない。よほど母親の血を濃く受け継いだのだろうな。チラリと少女の顔を今一度見ようと視線を送ると、彼女はずっと俺の顔色を窺っていたらしく、ばっちり目が合ってしまった。
「あっ、も、申し訳ありません。」
目が合った彼女は顔を真っ赤にして下を向いてしまう。
「い、いや何も謝るようなことは……。」
ど、どうすべきか……一度バイルに報告を入れるために王都に戻るか、それともこの子をツンドライサに送り届けるべきか……。
そう悩んでいると、顔見知りの兵士がある提案をしてきた。
「あの、もしヒイラギ様が良ければなのですが、カイリ様をツンドライサへと送り届けてはいただけないでしょうか?」
「いっ!?」
「お、お恥ずかしい話ですが、私どもが乗ってきた馬車はあの山賊に破壊されてしまったので……。」
「そ、そっか。」
「それに、バイル様も私達よりヒイラギ様にカイリ様を守っていただいたほうが安心だと思います。」
「そ、そうかなぁ。」
悩んでいると、俺の服を掴んで離れないバイルの娘だというカイリが、涙目でこちらを見上げてきた。
「あ、あの……わ、私からもお、お願いできないでしょうか?お、お父様には私が、私がちゃんと後ほどお話しますから。」
「ツンドライサまで……でいいんだな?」
「は、はいっ!!」
「……わかった。俺達が請け負うよ。」
かくしてバイルの娘だというカイリを急遽俺達が預かり、ツンドライサへと連れて行くことになってしまったのだった。
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