雪狼壊滅
ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。
足音を立てないように洞窟の中を進んでいると、奥の方に明かりが見えた。その明かりに照らされて、何人か人が集まっていることが確認できた。
ドーナと師匠2人にハンドサインを使って向こうに人がいることを伝えると、みんな各々足音を立てないように岩陰に隠れて様子を窺い始めた。するとすぐに汚らしい笑い声が聞こえてきた。
「ケハハハ、ったく今回は当たりだな。国の重役のガキがあんな馬車に乗ってたとはなぁ。ホントついてるぜ。」
俺はスキルで夜目があるから暗い場所も良く見える。だから男がにやにやと下卑た笑みを浮かべながら、フルフルと震える少女にナイフを突きつけているのが見えていた。
「王都で魔物が溢れて大変だって噂はこっちにも届いてたが、こっちに避難でもしてきたかぁ?」
今すぐに少女を殺すつもりはないらしい男から一度視線を外して、他の人達の様子を確認する。
(捕まったのは、鍛えられた男が数人にあの女の子が一人か。)
今の男の言葉を聞く限り、どうやら捕まったのは国の重役の子供……。そうなると、拘束されている他の男たちは護衛だった可能性が高いな。
「にしてもボギーの野郎、もう一つ馬車が来るからそっちも襲ってくるつって、なかなか帰ってこねえな。何ちんたらしてんだかまったく……。」
少しイライラした様子で、男は少女を突き飛ばし、なんと無防備にもこちらに歩いてきたのだ。
「見張りやってるやつ一人様子見に行かせるかぁ。」
そう呟きながら、俺の前を通ろうとした男に足払いをかけて転ばせる。すると、ズボンのポケットに手を突っ込んで歩いていたため、奴は派手に地面と接吻する羽目になってしまう。
「ぶがっ!?」
「そのまま気絶してろ。」
転んだ男の首に手を回し、首を圧迫して意識を刈り取った。本当ならもうちょっと痛めつけてやりたいところだったが、こいつを裁くのは俺じゃない。国に厳罰を下してもらわなきゃいけないからな。
「ドーナ、コイツの拘束頼んだ。」
「わかったよ。」
「俺は向こうの捕まった人達を解放して来る。」
俺は縄で雑に拘束された少女とその護衛らしき男の人達の縄を切ってやった。すると、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、その少女が真っ先にぺこりと頭を下げてきた。
「あ、ありがとうございましゅっ!!」
「いいんだ、怪我はないか?」
「だ、大丈夫です。」
少女を介抱していると、護衛の一人が俺の顔を見て何かに気づく。
「あ、あなたはもしやヒイラギ様では!?」
「ん?」
「わ、私以前サラマンダーの手料理をご馳走してもらった者です。」
「あぁ!!思い出した、確かあの時にキースのことを一番心配してた……。」
驚くべきことに、この捕まっていた護衛の人達の一人は、以前革命のときにサラマンダーのステーキ丼を振る舞った兵士の一人だったのだ。そして彼から話を聞くと、とんでもないことがこの後判明することになる。
この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。




