山賊雪狼
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ツンドライサへと向かっている道中……グレイスが目の前にあるものを発見する。
「ん?ヒイラギさん、目の前になんかあるっす。」
「あれは……馬車の残骸か?」
目の前に見えてきたのは、無残にもボロボロに破壊された馬車だった。
「グレイス、一旦止めてくれ。」
「了解っす。」
グレイスに馬車を止めてもらって、俺はその足で確認に向かった。
「破壊されてから間もない……でも人は居ないな。物も何も残ってない。」
特に風化した様子もなく、馬車は破壊されてからまだそんなに時間は経っていないようだ。
「ん?この足跡は……。」
足元にあった足跡は、形がそれぞれ違ってはいるものの、全て人間の足跡のようだ。そして引きずられていったような跡もある。
「……危険な匂いがするな。」
辺りの気配を探ってみるが、特に人の気配などは感じられない。
「グレイス、ここからは少し警戒して進もう。」
「あの馬車なんか大変だったっす?」
「もしかすると、人間に襲われた……のかもしれない。魔物の足跡はなくて、人間の足跡だけが残されてた。」
「うひ〜……人間って同じ種族なのに、自分達で争い合うから怖いっす。」
「ホント俺自身そう思うよ。」
「自分がまだ普通のワイバーンだった頃は、群れからはぐれても、また違う群れが保護してくれたりしたっすよ?自分達で争うなんてまず無いっす。みんな仲間っす。」
「それが人間の中じゃ当たり前じゃないから、人間ってのは怖いんだ。」
グレイスの言うみんな仲間っていう理論が、人間にも当てはまっていたなら、戦争とかそういうのは起きたりはしないだろう。
「さて、進む前にみんなにも一つ声をかけておくか。」
馬車の後ろに回って、みんなに声をかけようとしたその時だった。
「っ!!」
ビン……と何かが弾かれるような音とほぼ同時に、俺の眼前に矢が迫っていた。それを手掴みで受け止める。
「言ったそばから襲ってくるのか。」
道の横に広がっていた林から、わらわらと人相の悪い奴らが現れた。
「おいおい、ずいぶん豪華な馬車だな。それ置いてけよ。」
大柄のスキンヘッドの男が、マチェーテのような大鉈をこちらに向けながら言った。
「断る。」
「ほぉ、最強の山賊……オレ達雪狼を前にビビりすらしねぇ。なかなかいい胆力してんじゃねぇか。でもよ……逆らうなら皆殺しだぜ?」
「殺す気で来るなら、俺も容赦はしない。」
「ハハハッ、その威勢……真っ向から圧し折ってやるよ。撃てッ!!」
そいつの号令と同時に、無差別に矢がこちらに向かって放たれる。
「ふぅ……。」
一つ息を吐き出して、馬車やグレイスに当たりそうなものだけを弾いたり、手で掴み取ったりして無力化する。
「これお返しな。」
そして掴み取った矢を野球のボールのように投げて、弓を放った奴らに丁寧にお返しする。すると、全て矢をお返しする頃には、山賊の弓を携えていた奴らは、全員自分たちが放った矢に足や腕を貫かれて戦闘不能に陥っていた。
「さて、剣とか構えてる奴らは来ないのか?」
「ぐ……ちょ、調子に乗るんじゃ……ゲブッ!?」
奴らが固まっている間に、どうやら俺に援軍が来てしまったらしい。スキンヘッドの男の顔面にドーナの拳がめり込んでいた。
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