本当のヌシとはいったい
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ペティナイフよりも、さらに小さくなってしまったレヴァをそっとマジックバッグの中に入れて、メリッサに声をかけた。
「メリッサ、もう大丈夫だぞ。」
そう声をかけると、ぴょんとメリッサはマジックバッグから飛び出してきた。
「おさかな…すごくおっきい。」
目の前に横たわるメリッサの体より、何倍も大きなバリーズに、彼女は目を輝かせていた。
「コイツがこの川のヌシ……なのかな?」
とにかくデカイ奴がヌシって呼ばれているのなら、コイツが間違いなくそうなんだろう。
「ぱぱ…ぬしってなに?」
「この川で一番大きくて強い魚ってことさ。」
「……それじゃあ…たぶん…このおさかなじゃない。」
「え?」
「ぱぱ…こっちきて。」
そしてメリッサに手を引かれて、超巨大バリーズの後ろに案内された。
「ここみて。」
そう言ってメリッサが指差した場所には、他の生き物による巨大な噛み跡が痛々しくついていた。
「こんな大きな魚を捕食しようとする奴が、この川にはいるってことか。」
「うん。このおさかなは…それからにげてきた。それで…ここでぱぱにつられちゃった。」
「なるほどな。」
てっきりコイツがこの川のヌシだと頭の中で思い込んでしまっていたが、思い違いだったらしい。
「まぁでも、大きい魚は釣れたし、今日は一旦こいつを調理して朝ごはんにしよう。」
「あさごはん…きょうはおさかな。しあちゃんがよろこびそう。」
「そうだな。」
ポンポンとメリッサの頭を撫でてから、俺は早速この超巨大バリーズの調理に取り掛かることにした。
「頭は落ちてるから、傷ついた内臓とぬめりを洗って綺麗にしてしまおうか。」
ウォーターブレスで内臓とぬめり……そして血を綺麗に洗っていく。そこで一つ気づいたことがあった。
「コイツ、胃袋の中に何も入ってなかったんだな。」
このバリーズの胃袋の中身は空っぽで、本当に痩せ細っていた。あの噛み跡の主から必死に逃げてきていたんだな。
「なんかちょっと悪いことした気分だな。」
お腹が減っても必死に逃げて逃げて……そこに俺の落としたエサがあったって考えると、まぁ食っちゃうよな。
「せめて美味しく食べてあげよう。」
バリーズを綺麗にした後、5枚に下ろしてフライにできるぐらいの大きさに切り分けていくのだった。
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