夜釣り
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昼食を食べ、厚手の服や寝具も新たにして、スクロゥを出発し、俺達は真横を流れる川に沿って更に北へと進む。
その道中、グレイスがあの初老の男性に言っていたことについて掘り返した。
「そういえばこの川になんかヌシがいるって噂……話してたっすよね?」
「そうだな。」
「あの時自分、すごく不思議だったんすけど……ヒイラギさんの目……っていうか表情が、あんまり興味を唆られてるような感じがしなかったんすよ。」
「そうか?」
「そうっすよ、いつも食べられそうな魔物とか見つけたら、すごく楽しそうな表情するのに……。」
「う〜ん、そうかな。結構気になってはいるんだけどな。」
確かにそのヌシっていう存在は、ものすごく気になる存在だ。でも、食べられるのかな……っていうのがすごく気にかかってる部分はあるな。
「……時間があったら挑んでみるか。」
「やっぱり狙ってみるっす?」
「時間があったらな。」
そんな会話をしながら、特に魔物に襲われることもなく、俺達は順調にツンドライサへと向かって進み続けた。
さっきスクロゥの人から聞いた話だが、スクロゥから北にはもう街はなく、最北端にあるツンドライサに向かう道中には、狩人が使う山小屋が転々とあるぐらいらしい。
だから、今日もできる限りツンドライサへと向かって北上し、日が暮れてきた所で川の畔の広い場所にハウスキットを展開して、一夜を明かすこととなった。
その日の夜、俺はするりと寝床を抜け出し厚着で外に出て、川岸に座り込んだ。
「さて……一か八か、やってみるか。」
どういう釣り方で釣れるのか……何を餌にしているのか……手探りだが、俺はこの川のヌシを狙ってこの夜に釣りをしてみることにしたのだ。
正直なところ、釣れる気はしない。そもそもヌシの姿だって分からないし、釣れてもヌシだって分かるかな?
「とりあえずエサは魚の切り身でやってみよう。」
釣り針に少し大きめの魚の切り身を刺して、川へと放り込んだ。すると、すぐに軽い当たりが来る。
「何か食いついたな。」
魚も寝ている時間だろうに……こんな時間にエサに食いついてきたのはなんだろうな。
「よい……しょっ!!」
両手に力を込めて釣り竿を引っ張ると、勢いよく魚が岸に打ち上がる。
「これは、ナマズか?」
餌に食いついていたのは、大きなナマズのような魚だった。でもよく見ると、顎の下に生えているピロピロと動くヒゲのようなものが、パチパチと音を立てて発光している。明らかに普通の魚ではなさそうだ。
「電気ウナギならぬ、電気ナマズ的な生き物かな?う〜ん、ナマズのフライとか美味しいって聞くんだよな。」
明日の朝食にこいつを使ってフィッシュバーガーとか作ってみるか。いや、そもそも食べれるのか確認してからだな。
試しに鑑定してみると、鑑定結果に美味しい白身魚と記載があったので、締めて血抜きをしてからマジックバッグの中に入れておいた。
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