レイがやりたかったこと
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エルフの国の屋敷に帰って、ドーナをベッドの上に寝かせた後、1日の終わりにとお風呂に入ろうとすると、まだ起きていたレイがこちらに歩み寄ってきた。
「お帰りなのじゃ主。待っておったぞ。」
「レイ、まだ起きてたのか?」
「もちろんじゃ、なにせワシのお願いが残っておるからの。」
「そうだな。あと残ってるのはレイだけだ。」
他のみんなのやってほしいことリストは叶えた。あと残っているのはレイだけなのだ。まぁ正直なところこれが一番問題だと言っても過言ではない。
「残り物にこそ福が訪れると、昔からの言い伝えがあるが、どんな福が訪れてくれるのじゃろうな。」
「福も何も、レイのお願いは俺と一緒にお風呂に入りたいってことだけだろ?」
「むふふ、そこで何か福が訪れるやもしれんじゃろ?」
「そうは思えないけどなぁ。」
そんなことを思いながら、俺が服を脱いでいると、レイはパチンと指を鳴らして服のようになっていた鱗を体の中へと収納していく。
「ランも最初はそうだったけど、それ鱗なんだよな?」
「そうじゃ、鱗を服のように形を変えているだけなのじゃ。故に防御力はお墨付きじゃぞ〜?」
試しにレイがさっき変化させていた鱗を身体からにゅっと出して、指で叩いてみると、キンキンとまるで金属を叩いているかのような音がなっていた。
「特にワシの鱗はオリハルコンをも凌ぐ硬さじゃ。故にこの世にワシの鱗を貫くことのできる武器は無いっ!!」
「でも、レイは大層俺の拳骨を怖がってたよな?」
「当たり前じゃろ。今まで長〜い時を生きてきたが、本当に死の危険を感じたのはあの時が初めてじゃった。」
あの時のことを思い足したのか、レイはプルプルと体を震わせた。
「さて、お互いこんなところで裸で語り合うのは野暮というものじゃ、とっとと風呂に入るぞ〜!!」
文字通りすっぽんぽんになったレイは、お風呂場へと駆けていく……そして濡れた床で盛大にすっ転んでいた。
「あいだだぁ……浮かれて転んだのじゃ。」
「大丈夫か?」
「おぉ、ワシなら無事じゃ!!」
「いやそうじゃなくて床のほうが……。」
「ワシの心配ではないのか!?」
「ははは、冗談だ。ほら体が冷える前に風呂に入った入った。」
「ぐぬぬぬ、ワシとて人化がもう少し上手ければ……こんな子供扱いをされずに済むというのに。」
そして1日の終わりに、俺はレイと一緒に温かいお湯に浸かって体を癒すのだった。
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