ランが見ていた夢
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翌朝、俺は耳に違和感を感じて目を覚ました。
「なん……だ?耳が熱い……何かに包まれてるみたいだ。」
いつの間にかランが俺に覆いかぶさる形になって寝ているし……これじゃ身動きが取れない。
どうにかして抜け出そうと画策していると……。
「うへ……ヒイラギ〜食べちゃいたいわ。ちょっとだけ、ちょっとだけだから。」
なにやら物騒なことを寝言で言っているラン。すると、またパクっと俺の耳が熱い何かに包まれた。
「ま、まさか……これは。」
視線をギリギリまで動かして顔の横を確認してみると、そこにはランの顔があって、何かをモグモグと口に含んでいるようだった。
その口に含んでいるものがなんなのかは、俺の耳に伝わってくる刺激と口の動きから、間違いなく俺の耳であることが理解できる。
「いったいどんな夢を見てるんだ……俺を食べる夢か?」
耳を離してもらおうとして首を動かすと、ランが逃さないと耳にちゅ〜っと吸い付いてくる。
「ん〜〜〜っ!!」
「頼むから、離してく……れっ!!」
勢いよくランの口から自分の耳を引っこ抜くと、その衝撃で彼女は目を覚ました。
「んぁ……あれ?全身に料理がついたヒイラギがいない。」
「まったく、どんな夢を見てたんだ?」
未だ寝ぼけているらしいランへと声をかけると、半開きの目でこちらを見つめてきた。
「あ、ヒイラギ……ってことはさっきのは夢……かぁ。残念だわ。」
ランはゆっくりと俺の体の上から起き上がると、普段の体の大きさへと戻った。
「寝言で物騒なことを言ってたから、耳が食べられるんじゃないかと思ったぞ。」
ちょんちょんと、唾液まみれの耳を指差すと、ランは思わず苦笑いしてしまう。
「あははは……ご、ごめんなさいね?夢に美味しそうな料理を体に貼り付けたヒイラギが出てきたものだから。」
「なんだその夢は、とんでもない夢をみたな。」
「ワタシにとっては、すっごくいい夢だったわよ?できれば覚めないで欲しいぐらいには……。」
そんな事を話していると、バンッ!!と勢いよく俺の部屋の扉が開いてシアとメリッサが飛び込んできた。
「ぱぱ…つりいこ!!」
「お兄さんおはよ〜!!」
「2人ともおはよう。早起きだな。」
「おはようシア、メリッサ。」
「ランお姉さんもいる〜。」
「まま…ここでなにしてるの?」
「うふふ、ママはねちょっとパパのこと食べてたのよ?」
軽い冗談のつもりでランが笑いながらそう言うと、シアとメリッサの2人は顔を真っ青にしてしまっていた。
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