ランがしたかったこと
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みんなと過ごしていると、時間はあっという間に過ぎていき、気が付けば夜になっていて、もう寝る時間となってしまっていた。
いつもなら1人でこの大きなベッドを独占できるのだが……今日は1人……俺よりも先にベッドに潜り込んでいた人物がいる。
「やっと来たわねヒイラギ。」
俺が自室の扉を開けて中に入ると、ベッドから体を起こしたのはランだった。何を隠そう、彼女がやりたいことリストに書いていた内容……それは……。
「まさか、ランのやりたいことっていうのが、デートとかじゃなくて添い寝だったとはな。」
「意外だったかしら?」
「ま、ちょっとな。」
ベッドに腰掛けると、ぐいっと体を引っ張られて、強制的にベッドに横にさせられてしまう。すると、すかさずランが足を絡めながらぎゅっと抱きついてきた。
「ハウスキットにお布団敷いて、みんなで寝てた時も、こうやってヒイラギのことを独占して……抱き枕みたいになんてできなかったのよね。」
「あの時は寝る時はみんな一緒だったからな。」
「あんなふうに、みんなで一緒に寝るのも大好きだけど、一度こうやってヒイラギと2人きりで寝てみたかったのよ。」
そう言いながら、緩急をつけてぎゅっぎゅっと抱きしめてくるラン。そんな時ふとある違和感に俺は気が付いた。
「なんか今日のラン……ちょっと大きくないか?」
「あ、やっと気付いた?今日はヒイラギをめいいっぱい抱きしめたかったから、いつもの身長よりもちょっと大きめの身長に、人化を調整したのよ。」
「そんな事もできるのか。」
やはり便利なスキルだな人化は。
そして体温高めのランに抱きしめられているのもあって、俺がウトウトとしてくると、彼女があることを問いかけてきた。
「ねぇ、ヒイラギ。ずっと聞きたいことがあったの。」
「……何をだ?」
「初めてあなたと会ったとき、どうして見ず知らずのワタシのことを助けてくれたの?」
「どうして……か。それはランが人間の俺を信用して、助けを求めてくれたから……かな。」
そう答えると、ランが俺を抱きしめる力が少し強くなって、彼女の心臓の鼓動がこちらに伝わってくるほど密着してしまった。
「ふふっ、嬉しいわね。あの時のワタシの選択は間違ってなかった……。でも唯一心残りなのは、ドーナみたいに間近でワタシを守るために戦ってくれた、ヒイラギの姿を見れなかったことね。ドーナから何度も聞いたけど、すごくかっこよかった…………ってあら?」
ランが視線を下ろしてみると、いつの間にやら自分の胸の中にスッポリと埋まってしまっていたヒイラギが、気持ちよさそうに眠っていた。
「気持ちよさそうに寝てる。……ふぁぁ、そんな顔を見てたら、ワタシも眠くなってきちゃったわ。」
ランはそのままゆっくりと目を閉じて、ヒイラギの耳元で最後にポツリと呟く。
「大好きよヒイラギ……おやすみなさい。」
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